探究学習とは?学習指導要領での位置付けや実践時の先生の役割を解説

2026/07/10(金)

探究学習

こんにちは。「すららネット」コラム運営事務局です。
「子どもたちの可能性をもっと広げたい」「勉強が苦手な生徒にも『わかった!できた!』の成功体験をさせたい」――そんな熱い想いを持って日々の教壇に立たれている先生方を、私たちは心から応援しています。
時代とともに学校教育のあり方も変化していますが、先生方が抱える「知りたい!」「困った!」を解消し、明日からの指導にワクワクしていただけるようなお役立ち情報をお届けしていきます。

それでは、今回の内容を一緒に見ていきましょう。

目次

探究学習とは?目的から進め方、課題設定のポイントまで解説

探究学習とは、生徒が自ら課題を見つけて解決を目指す学習活動です。
2022年度から高等学校で必修化され、本格的に導入されたこの教育は、変化の激しい時代を生き抜く力を育むことを目的としています。
探究学習の目的やメリットについては「探究学習の目的やメリット」で詳しく紹介しています。

この記事では、探究活動の基本的な内容から、授業の具体的な進め方、生徒がつまずきやすい課題設定のポイントまで、高校での実践を中心に解説します。

探究学習とは?

探究学習は、生徒が主体的に問いを立て、その答えを見つけるために情報を集め、考えを深めていく学びのスタイルです。
決められた内容を覚えるだけでなく、自らの興味関心に基づいて学習を進める点に大きな意義があります。
中学校での「総合的な学習の時間」を基礎とし、高等学校でさらに発展させた内容について取り組みます。
探究学習の学習指導要領での位置付けについては「探究学習の学習指導要領での位置付け」で詳しく紹介しています。

探究学習とは?自ら問いを立てて答えを探す学習活動

探究学習の定義は、生徒自身が設定した問いから出発し、答えのない課題に主体的に向き合う探究的な学びのプロセスそのものを指します。
この学習活動の核心は、単に知識を受け取るだけでなく、自ら課題を見つけ、解決に必要な情報を収集・分析し、他者と協力しながら結論を導き出す点にあります。

この一連のプロセスを通して、思考力や判断力、表現力といった、これからの社会で必要とされる能力を育むことにその意味があります。

総合的な探究の時間と各教科の探究学習の違いとは?

総合的な探究の時間と各教科における探究学習は、その目的やアプローチの範囲において明確な違いがあります。

総合的な探究の時間では、特定の教科の枠組みにとらわれず、実社会や地域の課題といった横断的なテーマを扱います。地域の高齢化対策や環境問題など、正解のない広範な問いに対して、自ら課題を見つけ解決策を模索する活動が中心となります。

これに対して各教科の探究学習は、それぞれの学問領域の特性に基づいた専門的な視点で問いを深めます。地理であれば統計データの分析、生物であれば実験による仮説検証といった、教科固有の見方や考え方を活用して探究を進める点が特徴です。

これら両者の学びが組み合わさることで、多角的な視点と専門的な技能の双方が養われます。

探究学習が求められる目的・背景

総合的な探究の時間に求められる時代背景や目的を確認していきます。

変化の激しい予測困難な時代を生き抜く力を育む

探究学習に取り組む大きなメリットは、正解のない問いに対して、自分なりの答えを導き出す経験を積める点にあります。
このプロセスを通じて、情報を批判的に読み解く力、多様な人々と協力して物事を進める力、そして粘り強く課題に向き合う主体性が養われます。

これらの能力は、変化の激しい社会で自らの道を切り拓くための土台となります。
探究学習は、学びを深めることを通じて、生徒一人ひとりが未来の創り手となることを目標とする教育的な効果が期待されます。

主体的な学習意欲の育成

探究学習において、生徒が自らの興味関心に基づいて課題を設定することは、学習に対する主体性を引き出す大きな原動力となります。従来の受動的な学習とは異なり、自分自身で「なぜだろう」という問いを立てて探究を進める過程では、知的好奇心が刺激され、自ら進んで知識を吸収しようとする姿勢が自然と養われます。

自発的な学びは、単なる知識の習得に留まらず、学習そのものを楽しむ態度の形成に繋がります。自分の設定した問いに対して仮説を立て、試行錯誤しながら答えを導き出す経験を重ねることで、生徒は学ぶことの意義を実感できるようになります。このプロセスを通じて育まれた高い学習意欲は、学校教育の枠を超え、生涯にわたって自律的に学び続ける力の基盤となるはずです。

大学入試や社会での即戦力

探究学習を通じて得られる思考力や課題解決能力は、大学入試においても大きな武器になります。近年、多くの大学で導入されている総合型選抜や学校推薦型選抜では、自ら問いを立てて活動したプロセスや、そこから得た深い洞察が高く評価される傾向にあります。

また、この学びの効果は進学のみに留まりません。正解のない問いに対して論理的な仮説を立て、他者と協力しながら最善の解を導き出す経験は、社会に出た際の即戦力として直結します。

企業が求める「主体的に考え行動する力」の基盤が作られるため、探究学習は生徒の将来のキャリア形成を支える実戦的な教育としての側面を併せ持っています。

探究学習の具体的な進め方【4ステップで解説】

探究学習は、一般的に4つのステップで構成されます。
この一連の流れは、課題の設定から始まり、情報の収集、整理・分析、そして、まとめ・表現という段階を経て進みます。
この基本的なプロセスを理解することが、探究の進め方の第一歩です。

ここでは、それぞれのステップでどのような活動を行うのか、具体的な方法を解説します。

ステップ1:自分だけの問いを見つける「課題の設定」

探究学習の最初のステップは、自分の興味や問題意識から「問い」を立てる「課題の設定」です。
テーマは基本的に自由ですが、多くの生徒にとって、問いを立てるプロセスは最も難しいと感じる部分です。

日常生活の疑問や社会問題など、様々な事柄に関心を持つことが第一歩となります。
この段階が苦手な生徒も多いため、教員は生徒の興味を引き出し、問いが具体的になるようサポートすることが重要ですM
探究学習の課題設定については「探究学習の課題設定」で詳しく紹介しています。

ステップ2:必要な情報を多角的に集める「情報収集」

課題を設定したら、次はその問いに答えるための情報を集めます。
情報源は、書籍や論文、インターネットだけでなく、新聞やニュース、アンケート調査、専門家や研究者へのインタビューなど多岐にわたります。
信頼できる情報を見極める力が求められるとともに、一つの視点に偏らないよう、多角的な情報収集を心がけることが大切です。
調べ学習のまとめ方については「調べ学習のまとめ方」で詳しく紹介しています。

公的機関が提供する統計データなど、無料でアクセスできる質の高い情報も積極的に活用します。

ステップ3:集めた情報を整理して深く考える「整理・分析」

集めた情報は、ただ眺めるだけでは意味がありません。
情報を関連付けたり、分類したりしながら、課題に対する自分なりの仮説を立て、検証していくプロセスが「整理・分析」です。
この段階では、情報収集と分析を何度も行き来する思考のループが生まれます。

思考を整理するためにノートやマインドマップを活用し、客観的なデータと自分の考えを組み合わせながら、結論を導き出すための論理を組み立てていく、研究の中心的な活動です。

ステップ4:分かったことを伝わる形にする「まとめ・表現」

探究活動の最終段階は、整理・分析して見えてきた結論や考察を、他者に伝わる形にする「まとめ・表現」です。
表現方法は、論文やレポート、ポスター、スライドを用いた口頭発表など様々です。

どのような形式であれ、自分の探究の成果を論理的かつ分かりやすく伝えるスキルが求められます。
この発表の場は、他者からフィードバックを得て、さらに学びを深める貴重な機会にもなります。

探究学習を成功に導くためのポイント

探究学習をより良い活動にするためには、生徒と教員双方の視点からの工夫が必要です。
生徒が失敗を恐れずに挑戦できる環境や、教員による適切な支援が成功の鍵となります。
ここでは、探究学習を実りあるものにするための具体的なポイントを、生徒向けと教員向けに分けて解説します。

【生徒向け】興味が広がるテーマ設定のコツ

良いテーマ設定は、探究学習の成功の半分を占めます。
まずは自分の「好き」や「なぜ?」から始めるのが簡単でおすすめの方法です。
例えば、好きなゲームやアニメ、あるいは宇宙のような壮大なテーマでも、「なぜこのキャラクターは人気なのか」「宇宙ゴミを減らすにはどうすれば良いか」など、具体的な問いに落とし込むことが大切です。

身の回りの不思議や社会問題など、少し視野を広げてみることで、自分だけの興味深いテーマが見つかります。

【教員向け】生徒の主体性を引き出すための関わり方

探究学習における教員の役割は、知識を教える「ティーチャー」ではなく、生徒の学びを支援する「ファシリテーター」です。
答えを与えるのではなく、生徒が自ら考えを深められるような問いかけをすることが重要です。
また、教室全体で対話的な学びの場を作るために、グループワークを取り入れるなどの工夫も有効です。

生徒一人ひとりの進捗を把握し、必要なタイミングで適切なサポートを提供することで、生徒の主体性を最大限に引き出します。

【教員向け】学習プロセスを可視化する評価方法の考え方

探究学習の評価は、最終的な成果物だけでなく、そこに至るまでの学習プロセスを重視します。
評価基準を明確に示す「ルーブリック」を活用したり、生徒自身が活動を記録し振り返りを行う「ポートフォリオ」を導入したりする方法が有効です。
探究学習の教材については「探究学習の教材おすすめ集」で詳しく紹介しています。

これにより、生徒は自分がどの段階にいるのかを客観的に把握し、次に取り組むべき課題を自覚できます。
ICTツールを使えば、学習記録の蓄積や共有が容易になり、評価の透明性を高めることにもつながります。

全国の中学校・高等学校における探究学習の取り組み事例

全国の学校では、地域の特色や生徒の興味関心に応じた多様な探究学習が実践されています。
ここでは、教科横断的な取り組みの例として、事例を紹介します。

国語や数学、理科、地理、世界史、家庭、生物といった様々な教科での学びが、探究活動によってどう繋がるのか、具体的な取り組みからヒントを得てください。

成蹊中学・高等学校(東京都):リベラルアーツを重視した学び

成蹊中学・高等学校では、創立以来の伝統であるリベラルアーツを基盤とした、独自の探究プログラムを展開しています。中高一貫教育の強みを活かし、知的好奇心を刺激しながら多角的な視点を養うことを重視している点が特徴です。

具体的には、中学段階から身近な疑問を掘り下げる「自学自習」の精神を大切にし、高校では「成蹊教養カリキュラム」を通じて学問の境界を越えた深い学びを実践しています。大学の研究室と連携した講座や、社会の第一線で活躍する専門家を招いたプログラムも豊富で、生徒は実社会と学問のつながりを肌で感じることができます。

こうした活動を通して、単なる知識の習得に留まらない、論理的思考力や豊かな感性を備えた人材の育成を目指しています。他者と対話し、多様な価値観に触れながら自らの考えを構築していくプロセスは、まさにリベラルアーツの本質を体現する学びといえます。

詳しくはこちらで紹介しています。
https://www.seikei.ac.jp/jsh/ss/exploration/

堀川高校(京都府):20年以上探究学習に取り組む先進高校

京都市立堀川高校は、20年以上にわたり探究学習を教育の柱に据えてきた先駆的な存在です。1999年の学科新設を機に独自のカリキュラムを導入し、生徒の主体性を引き出すことで進学実績を飛躍的に向上させた功績は「堀川の奇跡」として広く知られています。

同校では「人は取り組みを通して成長する」という理念を掲げ、失敗を恐れず挑戦する姿勢を尊重しています。全生徒が1年半をかけて「探究基礎」という授業に臨み、少人数のゼミ形式で専門的な指導を受けます。

活動の最終目標はグループワークに留まらず、生徒一人が一本の個人論文を完成させる点にあります。この徹底したプロセスを通じて、大学進学後も自ら学び続けるための盤石な基礎体力を養っています。

詳しくはこちらで紹介しています。
https://toyokeizai.net/articles/-/412023

教育NPOカタリバ|小規模校の課題に学校横断型オンライン連携

教育NPO法人のカタリバは、生徒数や教員数が限られる小規模校を対象に、オンラインで学校の枠を越えて連携する仕組みを提供しています。小規模校では、同じテーマを深められる仲間が身近にいなかったり、専門的な知見を持つ教員が不足していたりといった課題を抱えがちです。

そこでカタリバは、全国の学校をオンラインでつなぐ学校横断型の探究学習を展開しています。他校の生徒と交流することで、共通の興味を持つ仲間に出会えるだけでなく、多様な視点に触れる刺激が得られます。

授業以外にも放課後の相談会や教員向けの情報交換会を実施しており、地域や学校の規模に左右されない豊かな学びの環境作りを支援しています。

詳しくはこちらで紹介しています。
https://toyokeizai.net/articles/-/634388

惺山高等学校(山形県):企業と共に創った探究課題を解決するための探究教材

山形県の惺山高等学校では、商業科を改組した「ICTビジネスコース」の設置を機に、実社会で役立つスキルの育成を目指して探究学習を強化しました。企業と連携し、実際のビジネス現場の課題を教材として活用することで、生徒が当事者意識を持って取り組める環境を整えています。

■課題
・従来の座学中心の授業では、実社会で通用する実践的なスキルの習得が難しかった。
・生徒が主体的に取り組める、リアリティのある探究テーマの確保が困難だった。

■取り組み
・地元企業と提携し、企業が抱える実際の課題を解決するプロジェクト型の授業を展開。
・デジタル教材を活用し、情報収集から分析、企画提案までの一連のプロセスをICT環境下で実施。

■成果
・実在する企業の課題に向き合うことで、生徒の学習意欲と論理的思考力が向上した。
・プレゼンテーション能力やICT活用能力が養われ、進学や就職における自信に繋がった。

詳しくはこちらで紹介しています。
https://surala.jp/school/voice/list/4984/

まとめ

探究学習は、生徒が自ら課題を発見し、解決に向けて思考・判断・表現する力を育む重要な教育活動です。
文部科学省も推進するこの学びは、予測困難な時代を生きる子どもたちが、主体的に自らの未来を切り拓くための土台を築きます。
探究学習への取り組みを通じて、これからの日本を担う一人ひとりの可能性が大きく広がっていくことが期待されます。

執筆者

多胡 晋太郎

株式会社すららネット マーケティング本部 学校ソリューショングループ

【学校向けサービスサイト運営/教育コンテンツ企画/ホワイトペーパー制作】を担当。
すららネットは、AIを活用したICT教材「すらら」「すららi」等を通じて、【約2000校・約25万人】の学習支援に取り組んできた教育ソリューション企業。
学校・自治体への導入支援や教育現場との接点を通じて蓄積された知見をもとに、ICT教材の活用等に関する記事の企画・執筆を行っている。

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