個別最適な学びとは?内容や実践例、協働的な学びとの違いを解説

2026/07/10(金)

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それでは、今回の内容を一緒に見ていきましょう。

目次

個別最適な学びとは?内容や実践例、協働的な学びとの違いを解説

文部科学省が「一人も取り残さない学習」といったコンセプトを掲げ、導入が進む個別最適な学び。GIGAスクール構想の重要な狙いの1つとして位置づけられている新たな教育スタイルです。この記事では、教育者・学校の先生に向けて、改めて個別最適な学びの内容や具体的な取り組みについてわかりやすく解説します。併せて、協働的な学びとの一体化がなぜ求められているのかについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
個別最適な学びの導入ポイントや実践例については「個別最適な学び」を分かりやすく解説」で詳しく紹介しています。

文部科学省が推進する個別最適化学習とは

個別最適な学びとは、生徒1人1人の特性や理解度に応じて、最適化させた学習を提供する教育スタイルのことです。子どもたちの多様な特性を尊重し、学習意欲を引き出すことを目的としています。特別支援学校・特別支援学級に通う児童生徒や日本語指導を必要とする児童生徒、不登校児童生徒など子どもが多様化している背景から、個々の状況に応じた学びが必要な理由とされています。
個別最適な学びの実現のためにはICTを活用しながら進めていくこともポイントです。
ここでは、文部科学省が推進する個別最適な学びの目的や、特徴である「指導の個別化」「学習の個性化」の2点についてご紹介します。

指導の個別化

指導の個別化とは、学習目標を達成するために、生徒一人ひとりの特性や学習課題に合わせて教員が支援を行う教育方法です。すべての生徒に同じ内容を同じペースで教えるのではなく、個々の理解度や能力の進展に応じた柔軟なアプローチが求められます。

具体的には、習熟度に応じた学習時間の調整や、指導方法の変更などが含まれます。すでに目標を達成した生徒には発展的な課題を提示し、苦戦している生徒には丁寧な補助を行うなど、個別の状況に合わせた配慮が重要です。

こうした指導を通じて、学びの質を向上させ、すべての児童生徒が確実に資質や能力を身に付けられる環境を整えることが、指導の個別化の大きな目的となります。
参照:「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm

学習の個性化

学習の個性化とは、子どもたちが自身の興味や関心に基づいて、学びを深めたり最適な表現方法を選択したりすることです。学習の目的や内容を自ら吟味し、自分に合った進め方やアウトプットの形式を選ぶ過程を通じて、主体的に学習を調整する能力が育まれます。

単に教員が個別に教えるだけでなく、子ども自身が「どのように学ぶか」を決定する自主性を重視している点が大きな特徴です。このアプローチによって、個々の資質や能力を最大限に引き出すことが可能になります。

教師には、子どもたちが自律的に試行錯誤できる環境を整える役割が求められます。指導の個別化と並行して進めることで、一人ひとりの個性に応じた質の高い学びを実現し、自己主導的な学習者の育成を目指します。
参照:「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm

「個別最適な学び」を教師視点で考えたのが「個に応じた指導」

「個別最適な学び」を教師の視点から捉えた概念が「個に応じた指導」です。この指導法は、学習指導要領の総則で示されており、「指導の個別化」と「学習の個性化」の両面を考慮します。
この指導法のポイントは以下の通りです。

・個々の学習者のニーズに合わせたアプローチ
・理解度や興味に応じた課題設定
・学習者の潜在能力を最大限に引き出す

「個に応じた指導」を通じて、個々の学習者の成長を促進させ、教育の質的向上につながることが期待されます。
実践にあたっては、ICTの活用が重要です。ICTの活用で生徒の主体的な学習を促進し、各自に適した学習方法の発見を支援します。
またその土台となる教師の専門性の向上や教育環境の整備も不可欠となってきます。(※1)
教育DXについては「教育DXとは?文部科学省の狙いや事例とメリット・デメリット」で詳しく紹介しています。
※1:文部科学省「2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/mext_01491.html

「個別最適な学び」が注目される背景


「個別最適な学び」が注目される背景には、文部科学省による教育ビジョンの変革があります。2021年1月の答申(※1)では、全ての子供たちの可能性を引き出すために、個別最適な学びの実現が強調されました。学習指導要領の中で示された資質・能力の育成を進めるためには、ICTを活用し、多様な子供たちを対象にした教育が不可欠です。
※1:「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)|文部科学省」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm

児童生徒の多様化への対応

現在の教育現場では、児童生徒の背景が非常に多様化しており、一律の教育では対応しきれない場面が増えています。具体的には、特別支援学級に在籍する子どもの増加に加え、海外にルーツを持ち日本語指導を必要とする外国人児童生徒も年々増えている状況です。

一人ひとりの能力や学習スピード、理解の深度には大きな差があるため、すべての子どもに適切な教育機会を保障することが急務となっています。こうした背景から、個々の状況に応じて柔軟に学びの場や内容を調整できる個別最適な学びの実現が強く求められています。多様な子どもたちの可能性を最大限に引き出すためには、従来の画一的な指導からの脱却が必要です。

児童生徒の学習意欲の低下への対策

児童生徒の学習意欲が低下している現状も、個別最適な学びが必要とされる大きな要因です。公的機関の調査によれば、学年が進むにつれて勉強に対する前向きな気持ちが薄れる傾向が指摘されています。

これには、一斉授業において内容が易しすぎることによる退屈や、逆に難解でついていけなくなるなどの乖離が影響しています。特に高校教育では、生徒の多様なニーズに応えるために、学校ごとの特色化や魅力ある環境づくりが急務です。

自ら課題を見つけ、他者と協力しながら解決する力を養うためにも、個々の状況に合わせた学びと、周囲と高め合う協働的な学びを一体的に充実させることが、意欲喚起の鍵となります。

予測困難な情報化社会への適応

Society 5.0と呼ばれる情報化が急速に進む社会や、将来の予測が困難な時代において、子どもたちには自ら考えて行動する力が求められます。
AIなどのテクノロジーが発展する中で、単に知識を暗記する教育だけでは不十分です。
そのため、自ら問題を見つけて解決する力や、情報技術を実践的に活用するスキルを身に付けることが不可欠です。

GIGAスクール構想によって整備された端末を活用し、個別最適な学びを日常的に実践することで、これからの時代を生き抜くための資質を養うことができます。
GIGAスクール構想については「GIGAとは?NEXT GIGAとの違いを文部科学省の方針から解説」で詳しく紹介しています。

個別最適な学びと協働的な学びの違いとは

個別最適な学びと協働的な学びは、どちらか一方を重視するのではなく、互いに補完し合うことで教育の質を高める車の両輪のような関係です。

個別最適な学びは、児童生徒一人ひとりの習熟度や個性に合わせ、最適な方法や時間、課題を設定して個々の資質を伸ばすことを指します。これに対して協働的な学びは、他者と協力しながら問題解決に取り組み、集団の中でお互いの考えを刺激し合う学習スタイルです。

リアルな人間関係の構築は社会の形成に不可欠であり、ICT技術が高度化する時代だからこそ、多様な他者と体験を共有する価値が重要視されています。それぞれの違いと一体化のメリットを、以下の小見出しで詳しく解説します。

協働的な学びとは

協働的な学びとは、生徒が多様な他者と協力しながら、未来の社会を創造する力を育む学習方法です。
持続可能な社会の担い手を育成するため、協働的な学びでは以下の3つの要素があります。

・子ども同士や地域の方々との協働による探究的な学習
・あらゆる他者を価値ある存在として尊重する姿勢の育成
・社会的な変化に対応する力の養成

学校は、未来への準備の場であると同時に、現実社会との関わりの中で日々の生活を築く場です。生まれ育った環境にかかわらず、さまざまな人との関わりを通じて学びが深まっていきます。自己肯定感や社会参画への意識が育まれ、主体的な学びの姿勢が形成されていくでしょう。
協働的な学びを通じて、子どもたちは学習内容と実社会を結び付けて理解を深め、必要な資質・能力を身に付けることが可能です。(※2)
※2:教育課程部会における審議のまとめ

個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実

個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させることは、児童生徒が自身の可能性を最大限に引き出すために不可欠です。具体的には、教科の特性や地域、学校の実情を考慮しながら、個人の学びで得た成果を他者との対話や協働へとつなげ、そこでの気づきを再び個人の学びに還元するサイクルを構築することが重要です。

この二つをバランスよく組み合わせることで、一人ひとりの習得状況に応じた確実な理解と、集団の中での多様な視点を取り入れた深い学びを両立できます。こうした相互作用を通じて、子どもたちは孤立することなく、より豊かで質の高い学習体験を積み重ねることが可能になります。

個別最適な学びを効果的に進めるポイント

個別最適な学びを効果的に進めるポイントは、以下の2つです。(※3)
・データの十分な活用
・指導体制の整備
それぞれ見ていきましょう。
※3:教育課程の実施と学習評価

ICT・データの十分な活用

個別最適な学びを効果的に進めるためにも、ICTや教育ビッグデータを十分に活用しましょう。教育ビッグデータを活用すれば、生徒1人1人の学習状況や理解度などを的確に把握できます。また、生徒自身が自らデータの活用を行ったり、学力定着を促したりすることも期待できます。より個別最適な学びを効率的に進めるために、AIを活用するのも1つの手段です。AIが学習履歴を分析すれば、生徒1人1人に合わせた教材や学習内容を明確に教えてくれるため、個別最適化された学びの実現が可能になります。
データドリブン教育については「データドリブン教育とは?導入プロセスと注意点を解説」で詳しく紹介しています。

先生の指導力向上と連携強化

個別最適な学びを効果的に進めるためのもうひとつの要素は、先生の指導力向上と連携です。どれだけ学習内容を個別化しデータを取得しても、先生がそれを活用しなければ効果が薄れてしまいます。ただ、各自で個別最適の方法やデータ活用の方法を学ぶのには限界があることも問題点として挙げられます。多様な生徒の成長を促すためには、事例をもとに先生方の指導力向上の取り組みを実施したり、先生同士の連携を意識したりすることが大切です。

少人数によるきめ細かな指導体制の整備

個別最適な学びを推進するには、少人数でのきめ細かな指導体制を整備することが欠かせません。一人の教師が多くの児童生徒を一斉に指導する従来のスタイルでは、個々の課題や理解度に細かく目を配ることが困難です。

そのため、少人数指導や小学校高学年での教科担任制などを導入し、一人ひとりの学習状況を的確に把握しやすくする工夫が求められます。

複数の教員で役割を分担しながら指導にあたることで、より質の高いサポートが可能になり、子どもたちの多様なニーズに柔軟に対応できます。こうした環境の構築が、学びの質を向上させる土台となります。

参照①:小学校高学年における教科担任制に関する事例集~小学校教育の活性化に繋げるために~(令和5年3月)
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_00005.html?_fsi=IEqrviA2&_fsi=IEqrviA2&_fsi=IEqrviA2&_fsi=IEqrviA2
参照②:「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)|文部科学省」
https://www.mext.go.jp/content/20210126-mxt_syoto02-000012321_2-4.pdf?_fsi=IEqrviA2&_fsi=IEqrviA2

「個別最適な学び」の実践事例

「個別最適な学び」の実践例として、次の2つを紹介します。
・「自由進度学習」で取り組む個別最適な学び
・生徒の学習ニーズに合わせたアプローチ
それぞれ詳しく見ていきましょう。

「自由進度学習」で取り組む個別最適な学び

長野県坂城高校では、生徒の習熟度の多様性に対応し、基礎学力の定着を図るため「自由進度学習」を導入しています。
授業では、AIドリルや個別の学習プリントを活用。生徒は自身の理解度に応じたレベルからスタートし、必要に応じて小中学校の内容までさかのぼってマイペースに学びを進めます。教員は教壇からの講義を行わず、教室内を巡回して個別の質問対応や学習計画のサポート(コーチング)に専念します。
この取り組みにより、周囲に合わせることなく「自分のわからない」をその場で解消できるようになり、学び直しと主体的な学習態度の育成を両立させる公立高校の好事例として注目されています。
自由進度学習については「自由進度学習とは?メリット・デメリットや具体的なやり方と実践」で詳しく紹介しています。

生徒の学習ニーズに合わせたアプローチ

高知県須崎総合高等学校では、「すらら」を教科書から受験レベルへの橋渡しや、授業の理解度チェック、定期テスト・模試対策など多角的に活用しています。クイズ形式のインタラクティブな学習や即時フィードバックにより、生徒は楽しみながら自律的に苦手克服や知識の定着に取り組んでいます。
授業ではフローチャートを用いて流れを可視化し、個々の習熟度に応じた個別最適化された学びを提供するとともに、生徒同士の対話を促す協調学習も両立させています。さらに、動画配信機能の活用により家庭学習の定着と学校とのシームレスな連携も実現しました。
導入後、生徒の勉強時間は増加し、苦手が得意に変わることで学習への自信と意欲が向上するなど、自ら学ぶ力を育む大きな教育効果があらわれています。
詳細な活用事例について:https://surala.jp/school/voice/list/5332/

まとめ

この記事では、個別最適な学びの内容や具体的な取り組み、協働的な学びとの関連についても紹介しました。個別最適な学びは、その概念が示されてから比較的日が浅く、今後の展開に多くの課題が残されています。しかし、誰一人取り残さない学習スタイルとして、今後の教育現場や学生の成長・発展のきっかけになることが期待されます。今後も発展して多くのメリットをもたらすであろう個別最適化の動向をチェックしていきましょう。

執筆者

多胡 晋太郎

株式会社すららネット マーケティング本部 学校ソリューショングループ

【学校向けサービスサイト運営/教育コンテンツ企画/ホワイトペーパー制作】を担当。
すららネットは、AIを活用したICT教材「すらら」「すららi」等を通じて、【約2000校・約25万人】の学習支援に取り組んできた教育ソリューション企業。
学校・自治体への導入支援や教育現場との接点を通じて蓄積された知見をもとに、ICT教材の活用等に関する記事の企画・執筆を行っている。

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