自己調整学習とは?実践する際のポイントや具体例を紹介

2025/02/18(火)

授業方法/学習指導

探究学習

自己調整学習は、効果的な学習を実現する手法として、近年注目を集めています。この学習方法は、生徒が自らの学習プロセスを主体的にコントロールし、目標達成に向けて計画的に取り組む姿勢を育むものです。本記事では、教育現場での実践に役立つ具体例や、効果的な指導のポイントを詳しく解説します。教員の方に向けた、生徒の自己調整学習を成功させるための要素を体系的に紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

自己調整学習とは?学びに向かう力を育てる

自己調整学習とは、学習者が自分自身の学習プロセスに能動的に関与し、目標達成に向けて思考や感情、行動を自律的にコントロールしていく学習スタイルのことを指します。従来の教育現場で多く見られた、教員から与えられた課題を受動的にこなす形とは異なり、生徒が主体となって「何を、いつ、どのように学ぶか」を判断し、調整していく点が大きな特徴です。

具体的には、自分自身の学習状況を客観的に把握し、必要に応じて計画の修正や学習方法の変更を自ら行います。例えば、ある単元の理解が不足していると感じた際に、教科書を読み直すのか、それとも演習問題を増やすのかといった選択を生徒自身が判断できる状態を目指します。このように、自らの学びを客観的にモニタリングし、最適化を図るプロセスが自己調整学習の核心といえます。

生涯にわたって自分自身をアップデートし続けるためには、単なる知識の蓄積以上に、自分に合った学び方を確立する「自己調整能力」の育成が重要です。

自己調整学習の定着は、生徒が「自分はどのように学べば成果が出るのか」という手応えを得ることにつながり、それが学びに向かう力の源泉となります。教員が一方的に正解を提示するのではなく、生徒が試行錯誤しながら自分なりの学習戦略を見つけ出せるよう、適切な環境を整えることが、これからの教育現場において意義深い役割を果たすと考えられます。

自己調整学習が注目されている理由


予測困難な現代社会において、生涯にわたり自律的に学び続ける力の重要性が高まっていることが、自己調整学習が注目される大きな理由です。技術革新や社会構造の変化が激しい時代では、受動的な姿勢ではなく、自ら課題を見つけ出し能動的に解決策を模索する態度が必要とされるためと考えられます。

また、近年の教育現場で重視されている個別最適な学びを実現する手段としても、この学習スタイルは適しています。学習者自身が「動機付け」「学習方略」「メタ認知」の3要素を能動的に働かせ、自分に合った方法を選択してプロセスを管理する経験を積むことは、多様な学びを尊重する教育方針とも合致するようです。

アメリカの教育心理学者バリー・ジマーマンらによって理論化されたこの概念は、変化の激しい時代を生き抜くために必要な資資質を養う基盤として、多くの教育機関で関心を集めています。次節からは、この学習を支える具体的なメカニズムについて詳しく確認します。

自己調整学習の土台

自己調整学習を成立させるためには、動機付け、学習方略、メタ認知という3つの要素が不可欠な土台となります。これらが互いに影響し合い、バランス良く機能することで、生徒は自律的な学習者へと成長していくと考えられます。

教育現場においては、生徒が自身の学習状況を把握し、自らの意思で学びを深めていく姿勢を育むことが大切です。以下では、自己調整学習を支える3つの基盤について、それぞれの役割を詳しく確認していきます。

① 動機付け

動機付けとしては、主に「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2つの種類が知られています。外発的動機付けは、「良い成績を取りたい」「褒められたい」といった外部からの刺激によるものです。一方、内発的動機付けは、学ぶこと自体への興味や、知識を得る喜びから生まれる自発的な意欲です。一般的に、内発的動機付けのほうが学習効果は高いとされますが、外発的動機付けも学習の出発点として重要な役割を果たします。教員には、外発的な動機付けを足がかりに、徐々に内発的な動機付けへと導いていく指導が求められています。

② 学習方略

学習方略を大きく分けると、知識の習得や理解を深めるための「認知的方略」と、学習意欲を維持し困難を乗り越えるための「情意的方略」の2つです。例えば、認知的方略には要点をまとめる、図式化する、問題を解きながら理解を深めるなどの方法があります。一方、情意的方略には、目標を小さく区切る、達成感を味わうための振り返りをするといった工夫が含まれます。ただし、全ての生徒に同じ方略が効果的とは限りません。教員は、さまざまな学習方略を紹介しつつ、生徒1人ひとりが自分に適した方法を見つけ出せるよう支援することが重要です。最終的には、生徒自身が自分の学習スタイルを確立していくことが目指すべき姿といえるでしょう。

③ メタ認知

メタ認知は、自分の学習プロセスを客観的に観察・理解し、コントロールする認知能力です。具体的には「モニタリング」と「コントロール」の2つの段階で機能します。モニタリングでは、例えば「この問題は理解できているだろうか」「この学習方法は効果的だろうか」といった形で、自分の学習状況を観察します。コントロールは、モニタリングの結果にもとづいて、学習方法の修正や改善をする段階です。メタ認知により、クラスメートがどのように学習に取り組んでいるかを知ることで自分の学習方法を相対化し、より適切な学習方法を見いだせます。メタ認知は自己調整学習の要となる能力です。

メタ認知の具体的な高め方や指導のポイントについては、以下のページで詳しく紹介しています。

https://surala.jp/school/column/4472/

自己調整学習のプロセス


自己調整学習のプロセスは、経済協力開発機構が提唱する「見通し、行動、振り返り」のAARサイクルとも深い親和性があります。学習者が能動的に目標への見通しを立てて実行し、その結果を客観的に省察しながら改善を繰り返すという点において、学びの構造が共通しているためです。

AARサイクルの詳細や教育現場での具体的な活用方法については、以下のページで詳しく紹介されています。
https://surala.jp/school/column/4752/

自己調整学習を教育現場で取り入れる授業例

自己調整学習を効果的に授業で取り入れるには、生徒の知的好奇心を刺激し、明確な目標設定をサポートすることが重要です。また、継続可能な学習方法のアドバイス、ICTの活用、そして個々の生徒に合わせた細かなサポートをすることで、自律的な学びを促進します。
小学校や中学校、高校と段階に応じて指導することも重要となってくるでしょう。

自修館中等教育学校

自修館中等教育学校では、1年生から6年生まで継続して取り組む探究学習プログラム「自修学」を通じて、生徒が自ら学びを調整する力を養っています。このプログラムの核となるのは、学習の到達目標を可視化した評価基準であるルーブリックの活用です。生徒はルーブリックをもとに、自身の現在地を客観的に把握するモニタリングを行い、次のステップに向けた具体的な計画を立案します。ICT教材を活用した個別最適な学習環境も整備されており、教員は正解を教える存在ではなく、生徒の試行錯誤を支えるファシリテーターとして伴走に徹しているのが特徴です。こうした環境下で、生徒は「目標設定・実行・振り返り」のサイクルを自律的に回す経験を積み重ねています。

■課題

  • 生徒が受け身の学習姿勢になりやすく、自ら課題を見つけ出す力の育成が急務であった。
  • 個々の学習進度や理解度の差に対応し、主体性を引き出すための評価軸が不足していた。

■取り組み

  • 6年間の探究学習「自修学」を柱に据え、全学年でルーブリックによる自己評価と他者評価を導入。
  • ICT教材「すらら」を活用し、個別の習熟度に応じたアダプティブな学習サイクルを確立。
  • 教員がティーチングからコーチングへ役割を転換し、生徒のメタ認知を促す声掛けを徹底。

■成果

  • 生徒が自身の弱点を客観的に分析し、自発的に学習計画を修正する行動が見られるようになった。
  • 「やらされる学習」から「自ら調整する学習」への転換が進み、探究活動における質の向上につながった。

詳しくはこちらで紹介しています。
https://surala.jp/school/voice/list/5491/

まとめ


自己調整学習は、生徒が自らの学びを主体的に管理し、生涯にわたって学び続ける力を養うための教育手法です。
この学習を支えるのは、動機付け、学習方略、メタ認知という3つの要素であり、これらが相互に作用しながら機能します。
生徒が自ら目標を設定し、計画に沿って学習を進め、その結果を振り返るという循環的なプロセスを経験することで、自律的な学習姿勢が育まれます。

教育現場では、これらの理論的背景を理解し、個々の生徒に合わせた指導方法を工夫することが期待されます。
また自分で学習を進めていく際の学習環境づくりも大切になってきます。
すららは無学年式でレクチャー・ドリル・テストがひとつになった教材です。

自分の学習方略にそって個々のペースで学習を進めることができるため、
自己調整学習の学習環境整備をしたいとお考えの方はぜひお問い合わせください。

 

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