EdTechとは|学校教育に導入するメリットやデメリット、具体例を紹介

2024/06/08(土)

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EdTechとは教育と技術を組み合わせた新しい教育手法や学習環境を指す言葉です。EdTechの導入により、生徒へより興味深く魅力的な学習体験を提供できることが期待されています。

本記事では、EdTechの概要や国の取り組みについて詳しく解説します。併せて、導入するメリットやデメリットも紹介するので、教育に関わる方はぜひご一読ください。

EdTechとは|教育×テクノロジー


EdTech(エドテック)とは、教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。この言葉には広い意味があり、日常的に活用しているソフトウェアやアプリケーションなどに加え、スマートフォンやタブレットなどもEdTechのツールに含まれます。

また現在、日本国内で提供されているEdTech関連のサービスには、オンライン英会話サービス・学習記録ツール・自動採点システム・受験アプリなどがあり、広く活用されています。

EdTechの6つのカテゴリー

EdTechは幅広い意味を持ち、6つのカテゴリーに分類されています。業界の全体像を理解したり、EdTechを総合的に見渡したりする際に役立ちます。ここからは、カオスマップをもとに6つのカテゴリー別にどのようなサービスがあるのかご紹介します。

①授業支援
授業支援は多岐にわたるため、その中でもカテゴリー分けされています。目的に応じて探究・地理・音楽・英語・プログラミングの中から選択することが可能です。「ジャパンナレッジSchool」は、二大百科事典を軸に中高生向けのサービスを展開する教育プラットフォームの1つです。学習に役立つ辞典・辞書・統計資料・参考書など900冊以上のデータの中から信頼できる情報を24時間いつでも一括検索できるため、まさにオンライン図書館といえるでしょう。

②デジタル教材
デジタル教材は学校・塾・個人・プログラミングに区分され、個人に合わせた教材の選択が可能です。
「学研プライムゼミ」では受験指導のプロフェッショナル講師によるオンライン授業が受講できます。「SPTR(スパトレ)」は外国人講師による英語の授業をマンツーマンで行うサービスを提供しています。

③学習支援
探究的な学びを提供する「Inspire High(インスパイアハイ)」では、答えのない問いに取り組み、ICTならではの体験を通して思考力・判断力・表現力を養います。また、学校独自の探究カリキュラムの補助教材としても利用可能なため、生徒の学びを支援するために役立つでしょう。

④学習管理システム
「Classi(クラッシー)」は、成績データ・学習時間などの学びに関する記録を一元管理できる教育プラットフォームです。生徒1人1人の特性に合わせた柔軟な指導や、学習課題に取り組む機会の提供が可能です。学校教育のICT化を多角的にサポートする便利なシステムといえるでしょう。

⑤校務支援
「BLEND(ブレンド)」は、学校運営に欠かせない校務を支援するフルクラウド型のサービスです。欠席連絡・皆勤精勤などを管理したり、成績や学習記録などの情報を管理したりと、日常的に行う業務を手助けします。システムを活用することで、大幅な業務時間の軽減が期待できるでしょう。

⑥業務支援
「みちざね」では、スクール業務管理をサポートしています。出欠管理では、出欠をタブレットで操作したり入退出カードの情報と連携したりと、保護者の不安を取り除くことができるでしょう。また、成績管理ではテストを一元管理し、成績をグラフ化して視覚的に見ることが可能です。このように日常的な業務が軽減されることで、生徒と関わる時間を持てるでしょう。

国が推奨するEdTechの取り組み

世界各国に比べてEdTechの普及が遅れている日本。遅れを取り戻すためにも、経済産業省・文部科学省・総務省などからさまざまな取り組みが推進されています。ここからは、各省庁の取り組みを紹介します

経済産業省「未来の教室プロジェクト」

経済産業省はデジタル技術を活用した新たな教育「未来の教室」の構築に向けて、「学びのSTEAM化」、「学びの個別最適化」、「1人1台パソコン環境」の3つの柱を提言しました。

時代の変化とともに、能力観が変化したり新しい教育を実現するEdTech(技術)が登場したりと、1人1人が社会に合わせて未来をつくる人材に育つことが求められるようになりました。将来を担う生徒の能力育成のためにEdTechを活用した教育を目指しています。

文部科学省「GIGAスクール構想」

文部科学省が推進するGIGAスクール構想とは、全国の小中学生1人に1台学習用の端末と高速大容量ネットワークを整備する計画です。生徒1人1人が地域や住環境にとらわれることなく公平かつ確実に資質や能力を育成するために、ICT環境の整備を目指しています。
またGIGAスクール構想には、教師の業務を支援するシステムの導入により教師の働き方改革につなげる狙いもあります。

総務省「Society5.0への環境整備」

EdTechの活用により、生徒の学習面や人間関係などの悩みを見逃さずに発見することで、必要に応じた細かな支援ができるでしょう。また教師は、学習指導や生徒指導などの場面でEdTechを使用することで、指導の質を向上させられるとともに負担の軽減も期待できます。
Society5.0の超スマート社会に向けて、これらを全ての学校で実現するためのベースとして、EdTech活用が推進されています。

EdTechがもたらす4つのメリット

EdTechを学校教育に導入しうまく活用することで、これまでの学校教育には存在しなかった多くのメリットが期待できます。ここからはEdTechがもたらす4つのメリットを解説します。

デジタルツールの活用による時間・場所・金銭的事情に左右されない学びの実現

これまで住環境などの要因により学習を受けたいのに受けられない生徒も存在していたかもしれません。EdTech導入により教育機会の公平な提供が可能になります。また、無償で提供されているオンライン授業もあるため、金銭的な事情に左右されないのもEdTechの利点といえるでしょう。

学習管理システム活用による学習効果の向上

EdTechは教材だけでなく、学習管理システムも活用することで、カリキュラムや指導計画の作成に加えて、授業以外の日常的な業務のシステム化が可能です。システム化によって負担が軽減されれば、教師は時間に余裕が持てるため質の高い指導ができるようになり、生徒の学力向上が期待できるでしょう。

自己学習の環境整備による生徒の主体的な学びの促進

これまで自己学習の際に分からない問題があった場合、教師や保護者に聞いて解決していた生徒もいるのではないでしょうか。EdTechの中には、分からない問題をスマートフォンで撮影して投稿すると、電話やチャットで教えてくれるサービスも存在します。近くに質問できる人がいなくても問題を解消できるため、主体的な学びの促進や苦手意識の克服につながるでしょう。

校務支援・業務支援ツール活用による教員の業務効率化

授業以外の煩雑な業務による長時間労働や、学校教育の課題の多様化による負担などから、退職や休職する教師が増え問題になっています。これらの課題に対しEdTechの校務支援・業務支援ツールを活用することで明確に日常的な業務遂行が可能になるため、教師の負担も軽減できるでしょう。

EdTechのデメリット

これまでの教育に比べて多くのメリットが存在するEdTechですが、オンライン特有のデメリットも考えられます。

EdTechはインターネットを介したコミュニケーションが主になるため、リアルな人間関係を構築しにくくなる懸念があります。また、個人のペースで進められるため、集団行動などの指導には不向きでしょう。

EdTechは指導内容によって向き・不向きが生じます。そのため学びの方法の1つとして捉え、グループデスカッションや自然と触れ合う体験学習などバランスよく取り入れることが重要です。

学校向けEdTech教材・ツールの具体例

EdTechの教材は種類が多く特徴もさまざまあります。それぞれの特徴を理解しながら、目的に合わせて選択することが大切です。ここからは、学校向けの教材やツールを紹介するので、導入を検討している教員の方はぜひ参考にしてください。

すらら|株式会社すららネット|教科学習ツール

「すらら」は、1人1人の理解度に合わせて学習できるオンライン学習ツールです。経済産業省が進める未来の教室実証事業に採用され、約2,500校の学校や塾が導入しています。またアニメーションキャラクターを取り入れており、ゲーム感覚で楽しく学べる点が魅力です。2023年には総合的な探求の時間で活用できる「すらら Satellyzer」もリリースしました。他にもすららの特徴として以下が挙げられます。

・アニメーションによる授業
・AIドリル機能
・自動作問・自動採点テスト機能
・教師の学習管理機能
・ゲーミフィケーション機能

実際に利用した生徒からは「テキストやドリルは何度もできないけれどすららは何度も繰り返せるため覚えやすい」「終了時にどのくらい学習したか視覚的に分かるため達成感がある」と好評です。

ライフイズテックレッスン|ライフイズテック株式会社|教科学習ツール

「ライフイズテックレッスン」は約1,100校で導入されており、18万人が利用するプログラミング学習教材です。文系や理数系など教科担当以外の教師でも、個別最適で探究的な授業ができる点が特徴です。また、他には以下のような特徴が挙げられます。

・新旧の学習指導要領対応で移行もスムーズ
・先生役のキャラクターによる学習の動機付け
・プログラミングの知識がない教師でも授業が可能
・教師向けのサポートも充実
・1人1人の理解度に合わせた個別最適化を実現

実際に導入した学校の教師からは「これまで以上に生徒をサポートする時間が生まれ、前向きな声かけができるようになった」「生徒が楽しそうに学ぶ姿勢や集中力の度合いの変化を実感した」などの声が挙がっています。

Studyplus for School|スタディプラス株式会社|学習管理ツール

「Studyplus for School」は、教師が生徒を褒める機会を最大化する学習管理ツールです。生徒の学習進捗を教師が見守りつつ、生徒の努力に気付き褒める機能でコミュニケーションを活性化させるのが特徴です。また学習管理に役立つ以下の機能が豊富です。

・カレンダー
・タイムライン
・ガントチャート
・ヒートマップ
・メッセージ
・カルテ

学習管理ツールを導入した学校の教師からは、これまで紙で管理していた学習状況をデジタル化することで、生徒の学習状況を分析しやすくなったと好評です。また担任が生徒の学習状況を把握しやすいため、担任から教科担当に苦手な問題を伝えピンポイントで教えてほしいなど、教師間での連携も可能になりました。

まとめ


EdTechを学校教育に導入することで、生徒の学習意欲および学力の向上や教師の負担軽減など、多くのメリットが期待できます。生徒が時代に合った方法で自身の力を伸ばしていくためにも、EdTechの活用が効果的です。
本記事で紹介したメリットやデメリットを踏まえた上で、実際に教育現場で活用している姿をイメージしながら導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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