【高校生の学習習慣】重要性や身に付けるコツと教員のサポート方法

2024/06/20(木)

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学生の中でも、勉強が難しかったり計画を立ててもうまくいかなかったりと、多くの高校生が悩んでいます。学校の授業は日々進むため思うようにいかないと悩む生徒も多いかもしれませんが、学習習慣を整えることで解決できる場合もあります。

本記事では、高校生が学習習慣を身に付けることで得られるメリットや指導のコツ、指導の実態などを紹介します。

高校生に求められる学習習慣とは?


学習習慣とは、生徒自らが学ぶ姿勢を身に付けることで、自然に学習ができることをいいます。生活の中に学習が組み込まれていることで、自分に必要な学習を自分で考え、ストレスなく学習ができるようになります。

高校生に求められている学習習慣とは、PDCAサイクルを活用することです。PDCAサイクルとは主に生産の業務で使われており、計画・実行・評価・対策を連鎖させていきます。高校生の場合、毎日のように更新される学習内容を結び付け、フィードバックを繰り返し行うことが大切です。フィードバックを行うことで自分の中に気付きが生まれ、主体的に学ぼうとする姿勢が生まれていきます。

フィードバックにより、毎回自分の成長が分かるため、モチベーションの維持も可能になります。次に行う学習の準備や対策もより効率良くできるため、高校を卒業した後も活用できる力が身に付くでしょう。

学習習慣が身に付かない生徒に見られる特徴


高校生の中には、学習習慣が身に付いている生徒もいれば、全く習慣がない生徒もいます。ここでは、学習習慣が身に付いていない生徒の勉強のクセや生活の特徴を解説します。

テスト前の勉強だけでやり過ごすクセがついている

高校生の多くが、毎日の勉強だけではなくテスト前の勉強だけでやり過ごしているのが現状です。特に、一夜漬けの勉強で対策をしている高校生は多く、どうしてもその場しのぎになり、自分の身に付かなくなってしまっています。

テスト前だけの勉強は短期記憶になり、テストが終わるとすぐに忘れてしまって自分の身に付くことはありません。受験のための長期的な記憶になることがないため、意味のないものといえるでしょう。

さらに、テストが終わるとすぐ前と同じ生活に戻ってしまうことから、毎回テスト前になると慌てて勉強を始める高校生がたくさんいます。

<h3>部活や塾で疲れて余裕がない

部活を頑張っている高校生や、塾通いをしている高校生はたくさんいます。昔に比べて部活の休みの日が増えたり、1日中活動をすることがなくなったりと勉強の時間は確保しやすくなりましたが、部活や通塾で疲れてしまい、自宅学習に取り組みたくても余裕が持てない生徒がいるのも現実です。

自宅学習の習慣を身に付けるためには、疲れていたとしても継続することが大切です。少しの勉強時間でも学習内容が身に付くような、効率の良い学習方法をつくることが求められます。効率の良い方法を身に付け、習慣化することができれば、部活と通塾、自宅学習の両立も可能です。

学校の授業が分からない

学校の授業内容を理解できていなければ、自宅での学習もスムーズに進みません。文部科学省が2005年に実施した「義務教育に関する意識調査」の結果、高校生の約60%が学校の授業を難しく感じており、勉強についていけないとの回答をしています。授業についていけないからとそのままにするのではなく、すぐに理解できるよう教師に質問するなどして解決する必要があります。

分からない部分をそのままにすると、後々成績や受験に響いてしまいます。面倒だと感じる生徒は多いかもしれませんが、なるべく早めに解決するクセをつけさせることが大切です。

自宅での勉強方法が分からない

内容が分からないのはもちろん、そもそも勉強方法が分からないから勉強しないという高校生もいます。そのような生徒は頑張ったことが成績に反映されにくく、次につながりづらい傾向があります。

また、教科ごとの効率の良い勉強方法や、参考書の選び方などが分からない高校生もおり、なかなか対策に踏み切れません。正しい勉強の方法を知ることで成績が上がるのはもちろん、モチベーションアップにもつながるでしょう。

勉強をやろうという気持ちや目標がない

目的がないと動けない人は多いのではないでしょうか。勉強も同じで、理由や目的がなければやろうという気持ちにならないでしょう。

勉強にも頑張る理由をつけ、モチベーションを上げていかないと取り組む気持ちがどんどん下がってしまいます。勉強の理由としてテストの点数や志望校、将来の夢をはじめ、勉強したら好きなケーキを食べても良い、少し息抜きで出かけても良いなど、すぐにかなえられるような目的を掲げれば手軽に取り組めるでしょう。

生活リズムが崩れている

高校生は自分の意思で動け、行動範囲が広がります。学校が終わった後に毎日のように遊びに行く高校生も多くいます。また、自宅で遊びに勤しんでいる生徒もいることでしょう。そのため、睡眠時間や就寝時間がバラバラになってしまっている高校生が少なくありません。生活習慣が乱れている高校生は学習習慣が身に付いていないため、勉強ができない傾向があります。

生活習慣がバラバラだと、生活リズムが崩れて学校生活に支障が出るだけではなく、睡眠不足で授業中や自宅での学習中に眠気が起きやすく勉強に集中できなくなってしまいます。何事も集中して取り組めるようになるためには、生活リズムを整えることが大切です。

テレビやスマホの時間が長い

国立教育政策研究所は、平成26年度に「スマートフォンの使用時間と成績の変化について」という調査を行いました。その結果、1日4時間以上スマホを使用する生徒が数学のテストを受けた場合の平均正答率は55.7%、一方、1日30分以内しか使わない生徒の平均正答率は72.7%となりました。スマホやテレビなどの使用時間が長くなればなるほど、学力が下がることがわかります。

ついスマホを見てしまう、使ってしまうという場合には、メリハリを持って向き合うことが大切です。

高校生が学習習慣を身に付けるメリット


学習習慣を身に付けるのは大変ですが、大きなメリットがあります。毎日少しずつ繰り返し勉強を行うことで、成績アップにつながります。加えて、学んだことを復習する習慣も身に付けられるため、学習した内容の記憶が定着しやすくなります。

高校生の早いうちから学習習慣が身に付くと、受験勉強の習慣化にもつながります。学習習慣が身に付いたおかげで受験勉強が苦痛にならなかったとの声もあります。

習慣化させることで、義務的・ノルマ的に勉強することがなくなり、自主的に勉強に取り組むサイクルができあがり、生活の一部に勉強を組み込めるでしょう。

毎日の積み重ねは確実な成果を生み出します。勉強を習慣化できれば、継続してきたことの達成感が本人の自信にもつながります。

生徒に学習習慣を身に付けさせる指導のコツ


生徒に学習習慣を身に付けさせるのは簡単なことではありません。生徒が自分で勉強できるようになるためにも、教員は適切な指導を行う必要があります。

ここでは、生徒が学習習慣を身に付けられるようになるための指導のコツを紹介します。

勉強の仕方や目標の立て方をアドバイスする

勉強の目標を達成できるようになるためには、勉強のやり方を知らなければ実行することもできません。高校生は勉強のやり方次第で学力に差がつきやすいため、今後のことを考えると、正しい勉強のやり方を早いうちに身に付ける必要があります。

まず決めるのは、勉強をする最終的な目標です。志望校が決まっている場合は、そこに合格するための目標偏差値を設定できるため、目標がより具体的になります。ゴールを決めることができたら、そこに向かうための中・長期目標を決めます。

長期目標では、偏差値をいつまでにどれくらい上げるのかというような、長いスパンでの目標にしましょう。中期目標は、次のテストでの目標偏差値と点数など、月単位での目標設定がおすすめです。

最後に、1週間の短期目標を立て、モチベーションをキープします。毎日自習室で1時間勉強するというような具体的な目標だと達成しやすいでしょう。

学習を含め生活習慣を整える重要性を知ってもらう

生活習慣が乱れることのデメリットを生徒たちに周知し、危機感を持ってもらうのも1つの方法です。毎日のように夜更かしをする生徒には、睡眠不足が引き起こす不調を共有し、まず睡眠から生活リズムを整えるよう指導します。

睡眠不足による影響は、朝食をとらないことで日中の活動に影響が出てしまうことや、学力や運動能力の低下、心の健康状態の悪化などが挙げられます。

理想は食事の時間や睡眠の時間が決まっていることですが、いきなり生活リズムを整えるのは難しいため、まずは決まった時間に起きるようにすることで生活リズムを整えましょう。起きる時間を決めるのと同時に、朝学習や散歩の習慣が付くとより体内時計が整います。

学習の成果を実感できる機会を設ける

毎日の学習の効果を実感できる機会を設けているという高校生は少ないのではないでしょうか。ほとんどの高校生は、テストの結果や受験の結果で成果を実感しているため、どれほど勉強しても不安な気持ちになってしまうことが多くあります。常日頃から学習の成果を実感できるようにすることで、モチベーションの維持にもつながります。

勉強する予定の内容をリストにし、終わったら上から線を引いて消していく方法があります。線を引いた分だけ勉強したことが実感できるため、頑張りが分かりやすくなります。達成感も今までと変わってくるのではないでしょうか。

頑張ったらご褒美を設けるのも大切です。達成できないような目標を設定し、もしそれが達成できたときのご褒美は格別です。自分で自分にご褒美を与え、やるべきことが終わったら休むというメリハリも重要です。

家庭学習と一続きの授業づくりを意識する

どの高校でも、授業内容は中学校よりも難しくなっています。確実に自分の中に落とし込むためには、自宅での学習を充実させる必要があります。しかし、自分で計画を立てて家庭学習を行う高校生は少なく、なかなか身に付かないのが現実です。

そこで、家庭学習が授業への足場になるよう、授業と家庭学習を連動させると、生徒も家庭学習に取り組みやすくなります。主体的な学習を促し、自然にPDCAサイクルができあがるような学習スタイルなら、勉強のやり方がわからない生徒でも自然に身に付いていくでしょう。

学習習慣定着の取り組みの実態と課題


2022年6月13日〜17日、スタディプラス株式会社が「全国の高等学校における家庭学習の促進への取り組みに関する調査」を行いました。調査項目をそれぞれ紹介します。

まず、生徒の家庭学習促進に取り組んでいるかどうかです。結果は、全体の79.7%の382校が取り組んでいる、20.3%の97校が取り組んでいないと答えました。高校生が学習習慣を身に付けるためには教師からの働きかけも重要です。約8割の高校では、生徒に学習習慣の指導を行い、身に付けてもらおうと考えていました。家庭学習促進に取り組む理由は、97.6%の学校が学習習慣定着のためと回答し、半数が進学実績向上のためと回答しています。

家庭学習促進への取り組みに関する課題として各高校教師が感じているのは、教員の業務量の多さや生徒のモチベーション管理と、7割弱の高校が回答しています。加えて、生徒とのコミュニケーションへの課題を感じているかどうかという質問に、半数以上の高校が「はい」と答えました。時間が取れないことやコミュニケーション量が少ないという理由もあり、業務の多さから1人ひとりの生徒に気を配れないのが現状のようです。生徒のことを把握するためにも、コミュニケーションは重要といえるでしょう。

まとめ


学習習慣を身に付けることは、成績や受験に直結するため、生徒の将来に影響が出るといっても過言ではありません。学習習慣は将来のために身に付けておきたい力ではありますが、やり方がわからない、授業についていけないなどのさまざまな要因があり、実行している生徒が少ないのが現実です。

教師が指導したいと思っていても、業務が多くてなかなか時間が取れないために実現できない高校も多くあります。生徒が自発的に学習習慣を身に付けられるよう、指導の機会や考える機会をつくってみてはいかがでしょうか。

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