ChatGPTの学校教育での扱い方とは?メリット・デメリットや活用法を紹介

2024/06/13(木)

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便利なものとして話題となっているChatGPTですが、学校教育でも活用する考え方が進んできています。しかし、便利なだけに頼りすぎてしまうのではないか、子どもの力が伸びなくなってしまうのではないかとの声があるのも事実です。

本記事では、ChatGPTを教育現場で活用するメリット・デメリットや活用法などを詳しく紹介していきます。教育現場に携わる方はぜひご一読ください。

ChatGPTとは?


ChatGPTとは、アメリカのOpenAI社が開発した人工知能を使ったチャットサービスです。人間が発した質問に対して、まるで人間のように自然に回答する技術が搭載されています。

かなり自然な会話ができることで話題を集め、日本でも利用者が急増しているツールです。企業をはじめ、学校教育でも活用する現場が増えてきており、ビジネスツールとしての一面も持っています。

教育現場でのChatGPTの活用方法とは?


生徒の好みに合わせた資料をカスタマイズしたり、作文の例文を作成したり、AIが作成した文章を生徒が添削したりと、実際の教育現場ではさまざまな部分でChatGPTが活用されています。

利用される場面としては、授業の準備や資料集め、授業の一環などです。具体的にはどのような使われ方をしているのか見ていきましょう。

生徒の自己学習の支援

宿題以外にも塾や通信教育などで子どもが学習する場面は多くあり、ChatGPTを利用した学習アプリなどが開発されています。
例えばChatGPTを活用した漢字学習アプリの場合、学年を選択して覚えたい漢字を入力するとChatGPTが自動でレベルに合わせた物語をつくり、漢字の学習ができるようになっています。

英語学習のサポート

英会話の練習をはじめ、分からない単語や英語のフレーズについて質問したり、英文を添削してもらったりもできます。

ただ勉強するだけなら1人でもできますが、添削や英会話の練習は英語を理解している相手がいないと成り立ちません。ChatGPTを用いれば1人で行う英語学習の幅が一気に広がるので、より多くのことを学べるようになるでしょう。

教員の授業準備や教材作成のサポート

例えば、ChatGPTに授業の内容を入力すると授業資料が自動生成されるため、作成時間が大幅に短縮され効率がアップします。授業中に質問される可能性のある内容をChatGPTに入力すると回答が得られるため、突然の生徒からの質問にも対応できるでしょう。
生徒はもちろん、教員のサポートとしても役立つツールであることが分かります。

授業内容や課題のアイデアのヒント

例えば、指定されたキーワードと文字数で文章を書く課題を出す場合、ChatGPTではその模範解答を得られます。学年やレベルを指定すれば、それに合わせた答えが出てきます。
課題を考えたとしても模範解答を得るのが困難なことがありますが、ChatGPTならレベルに合わせた答えを得られるため、効率的に準備を進められるでしょう。

 

ChatGPTを教育現場で活用するメリット

ここでは、ChatGPTを教育現場で活用するメリットを3つ紹介します。

教員の業務負担軽減

授業の準備をはじめ、教員の業務は会議や生徒の生活面でのサポートなど多岐にわたります。そのため、例えば授業の準備だけでもChatGPTに頼ることで準備時間を大幅に減らすことが可能です。

ただでさえ多い教員の業務量が少しでも減るのなら、ChatGPTを活用したいと考える人もいるのではないでしょうか?

情報収集がより効率的になる

塾や部活で時間が圧迫され、十分な予習・復習ができないといった悩みを持つ生徒もいます。
ChatGPTを用いると、例えば英文の予習で翻訳の一例を出してもらう、部活終了後から寝るまでのタイムスケジュールを提案してもらうなど、うまく進まなかった状況を少しでも改善へと導けるでしょう。

AIと共存するための方法を教えることができる

AIが発展している今だからこそ、AIの使い方や共存する方法を学ぶことで、よりAIが進化した将来のために備えられます。AIを教育現場で利用することが将来のAIとの付き合い方を生み出すと言っても過言ではありません。

ChatGPTを学校教育で活用するデメリット


ChatGPTにはメリットが多い反面、デメリットも存在します。教育現場での利用において、どのようなデメリットがあるのか解説します。

情報の信頼性に問題がある

ChatGPTは自然な会話ができ、回答が得られるまでの時間が短いため、授業の準備や自主学習などを効率的に進めるのに役立ちます。しかし、ChatGPTから返ってくる答えに信頼性があるかどうかは別問題です。

インターネットには情報がたくさんあり、中には間違ったものも多くあります。ChatGPTが返事をするために収集した情報は、全てインターネット上にあるものです。間違った情報から答えを導き出すこともあるため、全てをうのみにしないよう注意が必要です。

他人の著作権を侵害する危険がある

インターネットの中には著作権を有する文章もあります。その文章をChatGPTが見つけてそのまま記事や論文に使用すると、違法になってしまう恐れがあります。

著作権を侵害しないためにも、記事や論文を書く際はChatGPTに頼らない、一次ソースを見つけておくといった対策で万が一のことを防ぎましょう。

偏見や固定概念が含まれる回答が生成されることがある

なぜ偏見や固定観念を含む回答が出てくるのか、それはChatGPTがインターネットにある情報をもとに文章を生成するからです。もしその情報をうのみにして記事などを作成した場合、批判を受けてしまうことになりかねません。

回答はあくまでも参考程度にとどめ、もしそのような文章が出てきたら使用は控えるようにしましょう。

自分で作文する偏見や固定概念が含まれる回答が生成されることがある

例えば、読書感想文を書くときにChatGPTを利用すればすぐに作文が終わります。本の内容だけではなく、文字数も指定できるため、原稿用紙に合わせた文章がすぐ作れてしまいます。

自分で作文する力を衰えさせる可能性がある

例えば、読書感想文を書くときにChatGPTを利用すればすぐに作文が終わります。本だけではなく文字数も指定できるため、原稿用紙に合わせた文章がすぐ作れてしまいます。

作文は物事を整理できる力を付けられるため、この力を鍛えるためにもChatGPTは用いず自力で行うのがベターといえるでしょう。

情報流出のリスクがある

例文や英会話の練習をするだけであれば問題ありませんが、個人情報や秘密などを入力すると、情報流出のリスクがかなり高まります。

個人情報や秘密は入力しないといったルールを決めて、徹底するようにしましょう。

最新の情報には対応していない

インターネットにある情報は必ずしも最新ではありません。1日前の情報もあれば、10年以上前の情報もあります。そのため、ChatGPTが質問の答えとして10年以上前の情報を出してくることも十分にありえます。

最新の情報を得たい場合はChatGPTだけに頼らず、自分自身で調べることが大切です。

ChatGPTを学校教育で活用するデメリット


ChatGPTを教育に生かすべく、教育現場や国は策を練り始めています。

文部科学省はガイドラインの策定を検討

ChatGPTは便利なツールであるものの、全ての業務に用いれば良いわけではなく、ルールをつくってその通りに動かすことが大切です。

現在、文部科学省がChatGPTに関するガイドラインの策定を検討中であるため、全国の公立の学校でも授業などでChatGPTを利用する日が来るかもしれません。

大学はレポートなどでの利用を規制する方針のところが多い

大学では、生徒がChatGPTを利用して課題やレポートに取り組むのを防ぐべく、規制を方針としているところが多くあります。

例えば、上智大学の場合はChatGPTを使用してつくった文章や結果を教員の許可なく論文・レポートに利用することを禁止しています。東京大学ではレポートの作成は基本的に自分の力のみで行うものとし、ChatGPTを含むAIを利用してつくっただけのレポートは無効としています。福岡大学は、ChatGPTがレポートや論文作成に大きな影響を与えるものと考えているため、大学でどう扱うかを検討する予定です。

学校によって対応は違いますが、基本的には課題やレポートなどは自分の力で行う点で一致しています。教員からの指示がない限り、ChatGPTを利用して課題やレポートなどに取り組まないようにしましょう。

ChatGPTを授業や校務に取り入れている学校もある

佐賀県にある東明館中学校・高等学校では、校長が入学式の新入生へのあいさつでChatGPTを使用しました。またある先生は「共同学習のための問い」をChatGPTにつくらせ、それをもとに授業を行っています。学校の公式サイトにある広報文の一部もChatGPTがつくっているとのことです。

ChatGPTを学校現場にうまく取り入れ、作業効率をアップさせた事例といえます。

ChatGPTを教育現場で利用するときの注意点とは

ChatGPTは便利なツールですが、どのような場面でも利用できるかというとそうではありません。ここではChatGPTを利用するときの注意点をまとめました。

生徒の評価には用いない

ChatGPTを生徒の評価に用いる例を考えてみましょう。評価する上ではまずChatGPTに生徒の個人情報を入力する必要がありますが、このとき情報漏えいのリスクが一気に高まります。

前述した通り、ChatGPTは情報流出のリスクを持っているため、授業の準備や文面を考えるための利用は問題ありませんが、個人情報や秘密の入力はおすすめできません。

あくまで授業準備や課題作成などのためのツールであることを留意し、生徒の評価は教員自身の目で行いましょう。

過度に頼らないようにする

便利なツールがあると利用しているうちにそれに頼りがちになってしまいますが、ChatGPTにも同じことがいえます。もしインターネット環境のないところで作業しなくてはならない場合、ChatGPTを用いることはできません。

過度に頼っていると万が一の事態に対応できなくなってしまいます。あくまでサポートの位置付けで利用するのがおすすめです。

事前のリテラシー教育をしっかりする

便利なChatGPTの恐ろしい一面や、絶対にしてはいけないこと、してしまったらどうなってしまうかなどを授業内で生徒に教えましょう。

ChatGPTに限らずインターネットやAIを利用する上でのリテラシー教育は、学校・学年問わずどの段階の子どもにも重要です。

まとめ


ChatGPTは学校現場でもその力を発揮しています。しかし、便利である反面恐ろしい面も併せ持っているため、ルールを決めてそれを守って活用することが重要です。

現在、国によるガイドラインはまだなく、検討の段階です。学校によっては独自のルールを定め、教員および生徒の学校生活のサポートに活用している事例もあります。どのようなルールが良いのか、それを守りながらどのように利用できるのか、自身の教育現場でも考えてみてはいかがでしょうか。

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