【成功例あり】私立の学校が生徒募集を行う際に意識すべきポイント

2024/08/05(月)

小学校

中学校

高校

私立学校教員の業務の1つに生徒募集があります。本記事では、私立学校の生徒募集について解説します。生徒募集を行う際のポイントや校種別の成功例も紹介するので、今後の生徒募集の参考にしてみてください。

私立学校の受験に関する最新動向


私立学校の受験動向は、コロナ禍前後で大きく変化したといえます。首都圏の中学受験者数は9年連続で増加し、2023年度は過去最高を記録しました。受験者数増加の要因として、コロナ禍における公立学校と私立学校の対応の差が指摘されています。学校閉鎖時にいち早くオンラインに切り替え授業を再開した私立に比べ、公立は対応が遅れました。そのことが私立学校受験を後押ししているのではないかと推測されています。また、コロナ禍前は多くの学校で学力試験とともに面接試験も実施していましたが、コロナ禍をきっかけに面接試験を行わない学校が増えました。さらに変化として挙げられるのが、生徒募集や学校説明会などのイベントを対面・オンラインの両方で実施する学校が増えたことです。感染症対策のため事前予約制にしたり、個別見学や個別相談会に切り替えたりした学校もあります。一方で塾や小中学校へ直接訪問し、生徒募集をする学校の割合も増えています。
参考:NHK首都圏ナビ

私立学校における生徒募集の重要性


文部科学省の「私立学校・学校法人に関する基礎データ」によると、全国にある私立学校数の割合は小学校が1.3%、中学校が7.8%、高校が27.4%で、実際に在籍している生徒数の割合もほぼ同程度です(令和4年5月時点)。平成24年から比較して、私立学校に通っている生徒数はどの校種も増減はなくほぼ一定の数値で推移しています。このデータは、首都圏は別として地方では公立志向がまだまだ根強いことを意味しています。特に小学校や中学校への進学時に私立学校を選択する生徒は少なく、高校受験とは違い学校での受験指導もありません。そのため私立学校が入学生徒を集めるためには、生徒募集が重要な鍵を握っているといえます。少ない受験者に自分の学校を選んでもらうためには、より学校独自の特色を生かした生徒募集を行うことが必要です。

私立学校が生徒募集を行う際のポイント


私立学校が生徒募集を行う際に、いくつか押さえておきたいポイントがあります。ここでは5つに絞って解説するので、ぜひ生徒募集を行う際の参考にしてください。

ターゲットの明確化

高校入試はほぼ全ての中学3年生が受験しますが、小学校・中学校入試は首都圏を除き受験者数がそれほど多くありません。そのため校種によってターゲットを明確にする必要があります。ほぼ全員が受験する高校入試では、中学校に訪問し生徒募集をすることが一般的なため、ターゲットは中学校です。生徒に配付するためのパンフレットやポスターの作成、中学校を訪問しての学校説明会などを行って生徒募集をします。一方で、小学校・中学校入試は全員が受験するわけではないため、学校訪問に力を入れるより塾をターゲットにするほうが得策です。また、学校選びに保護者がどれくらい関与するかも校種によって違います。高校入試に比べ、小学校・中学校入試は学校選択に保護者が関与する割合が高いため、保護者の意見で学校選びが左右されます。そのため児童・生徒をターゲットにした内容より、保護者にターゲットを絞った生徒募集を行うことが重要といえるでしょう。

入試制度による施策の細分化

校種によって入試制度も異なります。高校入試は一般入試と推薦入試があり、入試の時期や合格基準などが違います。入試日の関係で私立の併願数にも制約がある場合が多く、他の私立高校と競合しなくてはなりません。時期によって生徒募集のターゲットが異なるため、それぞれの入試形式に対する細かな施策が必要です。中学入試はほとんどの学校が一般入試のみですが、高校入試と違い私立の併願に制約がありません。多くの私立中学校で複数回の入試を実施しており、同じ学校を2回以上受験できたり、1日に2回受験できたりする学校もあります。そのため、学校が入試日程をどのように組むかも生徒募集において大切です。小学校入試は、学校数が少ないことから、選択肢が少ないという特徴があります。私立の併願ができるのは中学・高校と同様ですが、低年齢ゆえに負担が大きいのも事実です。その点に配慮した入試制度を構築し、児童・保護者にアピールすることが生徒募集のポイントとなるでしょう。

インターネット・SNSの活用

インターネットやSNSの利用が当たり前となっている昨今では、生徒募集も対面以上にデジタル面での充実が必要不可欠です。なかなか生徒が集まらない学校において、ホームページやSNSを活用して積極的に情報発信をした結果、受験者数が増加したというケースもあります。生徒や保護者にとって学校選びのポイントで上位にくるのは「安心して過ごせる学校か」ということです。InstagramなどのSNSは、パンフレットやスライドによる説明だけでは感じ取れない生きた学校の情報を伝える手段になります。動画や写真でより詳しく学校の魅力を発信できるため、インターネットやSNSは生徒募集にぜひ取り入れたい戦略の1つです。

オープンスクールや文化祭への注力

オープンスクールや学園祭は児童・生徒が直接学校に訪れるため、学校の魅力をアピールする絶好のチャンスといえます。多くの学校ではオープンスクールで授業体験、制服体験、部活動体験、校舎見学、個別相談会などを実施しますが、ここでのアピールが生徒募集の良し悪しを決めます。学校側は自校の魅力をアピールしたいがゆえにたくさんのことを説明しがちです。しかし児童・生徒にとって長い説明は禁物。「百聞は一見に如かず」といいますが、ポイントはインパクトのある視覚情報を残すことです。学校の良さを長い説明で聞くよりも、生き生きと活動する在校生や部活生の様子を見るだけで魅力は十分に伝わることを心にとどめておきましょう。

学校説明会の実施・工夫

私立学校における学校説明会はさまざまな形式で実施されます。例えば生徒・保護者向けの説明会、塾対象説明会、私立学校合同説明会、中学校訪問がありますが、全ての説明会で同じ内容を発信していては成功しないでしょう。生徒や保護者は行事や学校生活全般に興味を示すことが多く、説明に親しみやすさが必要ですが、塾は進学情報に重きを置き、その学校の信頼度を見ています。そのため資料や姿勢に変化をつけることが大切です。また合同説明会では、他校との違いを強調する必要があります。中学校訪問では、そもそも私立と公立の違いが分かっていない生徒がいるケースもあり、私立学校全般の魅力を説明に加える必要もあるでしょう。それぞれの学校説明会に適した資料や説明を準備することが、生徒募集を成功させるポイントです。

私立学校の生徒募集の成功例


ここでは私立学校の生徒募集の成功例を紹介します。小・中・高と学校種別でそれぞれ違った特徴があるので、ぜひ参考にしてください。

私立小学校の生徒募集の成功例

私立小学校で生徒募集が成功している学校は、充実した英語教育を行っていることが特徴といえます。2020年度から全ての小学校では、3年生で英語が必修化されました。5年生ではさらに教科化されていますが、私立小学校ではそれ以前から英語教育に力を入れている学校が数多くあります。小学校の生徒募集を成功させるポイントは、公立小学校との英語教育の差別化や充実した英語教育のアピールだといえるでしょう。また、アフタースクール活動の充実も成功例の1つです。共働き世帯が増加するにつれ、通常の教育内容と同じくらい放課後活動が注目されるようになりました。それと同時に、共働き世帯に対する学校側の理解に重きを置く家庭も増えています。アフタースクールに力を入れている小学校では、水泳、体操、英会話、実験教室、ピアノ、絵画など外部の教室と連携してサービスを提供しているケースも多く、受験者の人気を集めています。

私立中学校の生徒募集の成功例

わずか62名だった入学者数が3年で177名にまで増えた中学校の例を紹介します。もともと仏教系の女子校であった同校。薬学部もある大学附属でありながら、経営難を抱えていましたが、共学化したことで受験者数が飛躍的に伸びたといいます。共学化とともに力を入れたことの1つが「数学の自学自習システム」です。具体的には、中学1年生の数学の授業で週2時間タブレット型AI教材を導入しました。もう1つが教師の本音や思いを話し合う場を設けたこと。学校としての目的を考え直す機会をつくることで、教師が一丸となって教育に向き合えるようになりました。教育に向き合う基本姿勢から見直すことで学校の立て直しを成功させた例といえます。

私立高校の生徒募集の成功例

授業料無償化などにより地方でも私立高校の人気は年々高まりつつありますが、苦戦している私立高校が多いのも事実です。私立高校での生徒募集の成功例は次のようなものが挙げられます。

・InstagramやTikTokを利用し、教員や行事、部活について紹介している
・オープンスクールや体験授業で、在校生徒の声を聞く時間を設けている
・他の高校と差別化したパンフレットを作成している
・進学実績を上げてアピールしている
・説明会の回数を増やし、個別相談を取り入れている

小学校や中学校選びは親の意向にかなり影響を受けますが、高校選びはより生徒本人に学校の魅力を訴えかける必要があります。その点でSNSの活用は生徒募集を成功させる大きなポイントとなるでしょう。

私立学校の生徒募集の今後


ネット時代の中で、今後も生徒募集の在り方は変化していくと考えられます。受験生やその保護者は候補に上がっている学校についてネットで検索をし、受験の情報サイトやSNSから詳しい情報を得るようになります。何でもネットで完結できる社会が進めば、興味のある学校へ実際に足を運んで見学したり、説明を受けたりする機会も減るでしょう。逆に考えれば、ネット上で集められる学校の情報が魅力的であればあるほど、生徒募集は成功するといえます。その点では、通学している生徒や保護者、卒業生の進路先、地域社会から発信される情報が学校選択の大きな判断材料となります。受験生に学校の魅力を伝えることも大切ですが、これからの時代は、学校の魅力を学校以外からも発信してもらうことに注力したいところです。

まとめ


生徒募集を成功させるための大切なポイントは以下の通りです。

・ターゲットを明確にすること
・オープンスクールや学校説明会をインパクトのあるものにすること
・SNSを活用すること

小学校・中学校入試であれば、保護者をターゲットに魅力をアピールすること、高校入試ではSNSを使って生徒にアピールすることが大切です。最近では学校説明会などで、在校生や保護者の話を直接聞く場を設けている学校もあります。生徒募集は、学校運営がうまくいっているかどうかも重要なポイントといえるでしょう。今回紹介した生徒募集の成功例やポイントを、ぜひ今後にお役立てください。

CONTACT USお問い合わせ

「すらら」「すららドリル」に関する資料や、具体的な導⼊⽅法に関するご相談は、
下記のフォームよりお問い合わせください。

「すらら」「すららドリル」ご導⼊校の先⽣⽅は
こちらよりお問い合わせください。

閉じる