エデュテイメントとは?学校教育現場で取り入れられる事例を紹介

2024/08/24(土)

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近年、娯楽と学習を組み合わせた「エデュテイメント」が注目を集めており、それに取り組む学校も出てきました。しかし、中には「エデュテイメントって何?」「エデュテイメントをどのように教育現場に取り入れるの?」と疑問を抱いている教員の方も多いでしょう。この記事では、エデュテイメントの概要とともに、学校現場に取り入れられるエデュテイメントの例を紹介します。エデュテイメントに興味がある教員の方は、ぜひ最後までご覧ください。

注目を集めているエデュテイメントとは?


エデュテイメントとは、教育を意味する「エデュケーション」と娯楽を意味する「エンターテインメント」からなる造語です。学習要素と遊びが組み合わさったコンテンツを指しており、楽しい体験を通じて自然と知識を身に付けていけるのがエデュテイメントの特徴です。エデュテイメントには、テレビ番組・テレビゲーム・音楽・ウェブサイトなどさまざまなものがあります。体験型博物館や施設なども、エデュテイメントの一種です。

学校授業で桃鉄などゲームが取り入れられた実例も!その意図とは?


エデュテイメントとして、学校の授業にゲームが取り入れられるケースもあります。その代表的な例が「桃太郎電鉄(通称桃鉄)」です。桃鉄は、1988年にファミリーコンピューター用のソフトとして発売され、現在も大人気のゲームシリーズです。学校現場では、エデュテイメント用に開発された「桃鉄 教育版」が活用されています。桃鉄のような遊び要素を取り入れた教育には、児童・生徒が学問に興味を持つきっかけになることが期待されています。桃鉄でいえば、地理の知識を覚えることではなく、日本そのものへの興味を深め、自ら学ぶ意欲を芽生えさせることを目的としているわけです。児童・生徒の「やってみたい」という積極性を引き出すきっかけの1つとして、エデュテイメントは活用されます。

エデュテイメントの利点


エデュテイメントを活用することで、学校教育にも多くのメリットがもたらされます。ここでは、エデュテイメントの利点について見ていきましょう。

身をもってさまざまな体験ができる

エデュテイメントとして活用できるコンテンツは多種多様で、児童・生徒は身をもってさまざまなことを体験ができるのが利点です。体験ひとつひとつをいかに細分化するかによっても、体験の幅は変わってくるでしょう。例えば、畑仕事1つとっても「育てる」「収穫する」「食べる」とあらゆる体験活動が詰まっています。また、年齢が上がれば「水をあげる回数を変えたらどうなるだろう」「調理法によって味は変わるのか」などとあらゆる側面に興味・関心が向くようになり、その分体験の種類や数も増えていきます。なお、遊び要素を含んでいる分児童・生徒が主体的に行動するようになる点も、エデュテイメントのメリットの1つです。

好奇心を刺激できる

前述の通り、ひとえにエデュテイメントといってもあらゆるコンテンツがあり、児童・生徒はさまざまな体験ができます。だからこそ、エデュテイメントは児童・生徒の好奇心を刺激しやすいのです。好奇心は、主体的な学習活動に欠かせない要素です。ところが、児童・生徒の好奇心はいつ、そして何がきっかけで芽生えるかは分かりません。多種多様な体験ができるエデュテイメントは、児童・生徒の「調べたい」「やってみたい」といった好奇心や意欲を引き出しやすく、主体的な学びを実現する方法の1つとして役立ちます。

教育現場で取り入れられるエデュテイメントの事例


前項で紹介した桃鉄以外にも、教育現場で取り入れられるエデュテイメントはたくさんあります。ここでは、エデュテイメントの事例を4つ紹介します。

漫画教材

漫画教材は、学習テーマの解説に活用できます。例えば、4コマ漫画を用いてある学習テーマについて解説した場合、児童・生徒は漫画の主人公と自分を重ね合わせながら、主体的に学習に取り組めるようになります。難解なテーマについて扱う場合は別途解説が必要になりますが、児童・生徒の主体性を引き出すためにはなるべく漫画部分のみで完結させたり、解説部分の文量を抑えたりすることが大切です。

クレイアニメ

クレイアニメは、抵抗感なく学習に取り組めるようになる効果があります。クレイアニメとはクレイ・アニメーションの略で、粘土でつくられた被写体を少しずつ動かしながら撮影してつくられたアニメーションです。有名なクレイアニメには、NHK教育テレビの「ニャッキ!」や「ピングー」などがあります。教師から一方的に説明されると退屈だったり難しかったりする学習内容も、粘土特有の温かみやかわいらしさがあるクレイアニメなら、興味・関心を持って取り組めるようになるでしょう。

ボードゲーム

一見単なる遊び道具に思えるボードゲームも、エデュテイメントとして活用できます。マテル・インターナショナル株式会社が出している「ブロックス」を例に見てみましょう。ブロックスは、ボードのマスに各色21個の形が異なるピースを並べて陣取りをしていくボードゲームです。空いているマスにどのピースが当てはまるのかを見極める過程で、思考力・空間認知能力・判断力などが磨かれます。その他、代表的なボードゲームである「オセロ(リバーシ)」では、物事を順序立てて考えていく論理的思考力の向上が期待できます。このように、ボードゲームには娯楽だけでなく、学習要素も含まれているといえるでしょう。

タイピングゲーム

タイピングゲームは、暗記学習に最適なエデュテイメントです。例えば、出題文を表示させ、それに対する答えをタイピングで答えさせる方法があります。ヒントも一緒に表示させることで、児童・生徒はヒントを頼りに自ら知識を習得していけます。また、学習が進むにつれてヒントの数を少なくしていけば、段階的な暗記学習が可能です。さらに、制限時間を設ければ、集中力の向上も期待できるでしょう。その他、重要な用語を虫食い状態にして問題を出題する方法などもあり、さまざまな形式で児童・生徒の暗記学習をサポートできます。

身をもってさまざまな体験ができるエデュテインメント施設


さまざまな体験ができるとして、近年注目されているのがエデュテイメント施設です。ここでは、国内で人気のエデュテイメント施設を紹介します。

キッザニア

キッザニアは1999年に誕生した施設で、世界17カ国26カ所で運営されています。日本国内では、東京・甲子園・福岡の3カ所にあります。キッザニアの特徴は、約100種類の職業やサービスをまるで本物のように体験できることです。ベーカリーや警察など普段の生活になじみ深い職業から、警備センターや証券会社など子どもにとっては新鮮な職業までそろっています。また、専用通貨「キッゾ」を使えば、買い物したりサービスを利用したりすることも可能です。まるで大人のような体験をできるのが、キッザニアの魅力です。

日本未来科学館

日本未来科学館は「科学技術を文化として捉え、社会に対する役割と未来の可能性について考え、語り合うための、すべての人々にひらかれた場」を理念として2001年に設立された施設です。展示物を見たり、実際に触ったりしながら科学について学べます。細胞の原理や仕組みを学べるブースやタッチパネルを操作して地球のあらゆるデータにアクセスできるゾーンなど、幅広い分野に触れられるのが特徴です。中には、老化による目・耳・運動器・脳の変化を疑似体験できるスペースもあります。まさに、科学を身をもって体験できる施設といえるでしょう。

いのちのたび博物館

いのちのたび博物館は、福岡県北九州市にある「自然と人間の関わりを考える共生博物館」です。生命の進化の過程や人間の歴史をたどりながら未来について考える、まさに「いのちのたび」をコンセプトにしています。ティラノサウルスをはじめとした大型肉食恐竜の全身復元骨格・さまざまな生き物の剥製・古代の住居や昭和30年代の原寸大の住まいなど、全部で6,000点以上の展示物に触れられます。総合博物館として西日本最大級の規模を誇るいのちのたび博物館なら、幅広い経験と学びを得られるでしょう。

JAXA宇宙センター

JAXAは、全国20カ所で宇宙センター・事業所・観測所などを運営しています。中でも1972年に開設された「筑波宇宙センター」は、最新の試験設備を備えた総合的な事業所です。正面から入ってすぐのロケット広場には本物のロケットが展示されており、その迫力を間近で体感できます。また、JAXAの過去から現在に至るまでの取り組みについて学べる展示館「スペースドーム」では、人工衛星の試験モデルやロケット・輸送システムの20分の1スケールモデルの他、国際宇宙ステーション「きぼう」の実物大モデルも見学できます。土曜日・日曜日・祝日限定かつ不定期開催ではありますが、ロケット打ち上げ時の音響を体験できるイベントも実施されているため、宇宙に興味がある児童・生徒には特におすすめしたい施設です。

まとめ


エデュテイメントとは、学習要素と娯楽要素を組み合わせたコンテンツを指す言葉です。ボードゲームから体験型施設まで、エデュテイメントにはさまざまな種類があります。学校において児童・生徒の主体的な学びを引き出すのに、エデュテイメントを取り入れるのは効果的です。多種多様な体験を楽しむことで、児童・生徒はいつの間にか知識を習得していきます。今回紹介した事例を参考に、ぜひ学校現場でエデュテイメントを活用してみましょう。

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