デジタル教材とは?学校で使うメリットやデメリットを詳しく解説!

2024/09/30(月)

GIGAスクール構想の推進により、多くの学校でデジタル教材が導入されています。しかし、「デジタル教材にはどのような効果が期待できるのか」「デジタル教材を使うときはどのようなことに注意したらいいのか」など、分からない教員も多いのではないでしょうか。この記事では、デジタル教材の概要とともに、導入した場合のメリット・デメリットを紹介します。デジタル教材について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

デジタル教材とは?デジタル教科書の違い


デジタル教材とは、ノートパソコン・タブレット・スマートフォンなどのICT機器を用いて作成・利用される教材を指します。紙の教材とは異なり、音声やアニメーション効果を利用できたり、情報の追加・削除がしやすかったりするのがデジタル教材の特徴です。

デジタル教材とデジタル教科書の違い

デジタル教材とデジタル教科書の違いは、文部科学大臣の検定に合格しているか否かにあります。そもそも教科書とは、文部科学大臣の検定に合格した教材を指します。各教科を指導する際に中心的に用いられるのが教科書です。デジタル教科書は、紙の教科書の内容をそのままデジタル化したものに当たるため、紙の教科書と同様に扱われます。一方で、教材は教科書を使った学習を補佐するものです。教育現場で使用するに当たり、検定に合格する必要がないため、「検定外教科書」に分類されます。したがって、デジタル教材もあくまで学習をサポートするものであり、教材のみでは授業を行いません。

デジタル教材が普及し始めた背景

デジタル教材の普及が拡大した背景には、文部科学省が2019年から推進している「GIGAスクール構想」があります。GIGAスクール構想とは、教育現場にてICT環境の充実を図り、教員や生徒の力を最大限引き出すことを目的とした取り組みです。具体的には、「1人1台端末の配布」や「高速通信ネットワークの整備」などが進められてきました。デジタル教科書および教材の促進は、GIGAスクール構想の実現に必要不可欠な施策の1つです。端末や通信ネットワークなどのハード面の整備だけでなく、デジタル教材のようなソフトウェアを普及させることで、ICTを最大限活用した教育の実現が目指せます。すでに多くの学校で、デジタル教材を活用した指導が実施されています。

デジタル教材でできること


デジタル教材でできることの例は、下表の通りです。


従来の紙の教材にはない機能が多く搭載されているため、生徒の学習活動のさらなる効率化が期待できます。

学校教育にデジタル教材を導入するメリット


デジタル教材には、生徒の学習効率を高めるだけでなく、教員の業務改善にも役立つことが期待されています。ここでは、デジタル教材を導入するメリットを紹介します。

生徒1人ひとりに合わせた学習ができる

デジタル教材では、生徒の学習進捗や理解度の管理が可能です。これにより、1人ひとりの得意・不得意を把握しやすくなり、それぞれに合ったアプローチで指導に当たれます。また、音声機能や文字拡大機能が搭載されていることで、学習障害や視覚障害がある生徒が学習に取り組みやすくなったり、内容を理解しやすくなったりするのもデジタル教材の魅力です。

音声やアニメーションで理解しやすくなる

従来の紙の教材で得られる情報は、文字あるいはイラスト・写真に限られていました。一方で、デジタル教材では文字やイラストに加えて、音声やアニメーションも活用可能です。音声やアニメーションからはより多くの視覚情報・聴覚情報を得られるため、生徒は学習内容をより鮮明に理解できるようになります。

学習意欲が高まる

紙の教材では、どうしても教員から生徒への一方的な授業になりがちでした。しかし、デジタル教材を使えば音声やアニメーションを活用できる他、生徒同士での画面共有や、それをもとにした意見交換も可能です。これまで以上に生徒の興味・関心および主体性を引き出す授業を実施できるでしょう。また、デジタル教材の利用に当たってはICT機器を用いるため、インターネットへのアクセスも容易になります。そのため、探究学習もさらに活発化するでしょう。

生徒の手荷物を軽量化できる

小学校・中学校・高等学校における教科書のページ数は年々増加し、その分荷物の重量も増えています。当然ながら持ち物は教科書だけではなく、さまざまな副教材を持ち運ぶことも生徒の負担になっているでしょう。その点、デジタル教材であれば複数の教材をICT端末1つに収められるため、荷物の軽量化が実現します。

ペーパーレスなどデジタル化に適合できる

1人1台端末の配布やデジタル教科書・教材の利用が進められてきた背景には、急速に変化する社会情勢が関係しています。高度なAI(人工知能)が人間社会の要になるとされているSocity5.0時代を生き抜く力を身に付けることが、デジタル教材を含むGIGAスクール構想の目的です。日頃からデジタル教材を用いて学習すれば、生徒はおのずとITリテラシーを身に付けていくことになります。また、インターネットを活用して、自ら課題解決に取り組むスキルも習得でき、ますますデジタル化が進む社会に適合できるようになるでしょう。

教員の負担を軽減できる

これまでの紙の教材では資料の追加や編集を手作業で行わなければならず、現に教員にとって教材準備が大きな負担となっています。デジタル教材であれば、教材資料の作成や編集が容易に可能です。授業で急きょ新たな教材資料の提示が必要になった場合でも、作成作業に手間がかからなくなり、教員の負担は大幅に軽減されます。

学校教育デジタル教材を導入するデメリット


あらゆるメリットが期待される一方で、デジタル教材を活用するにはまだまだ解決すべき課題もあります。ここでは、デジタル教材を導入するデメリットを紹介します。

画面に集中し過ぎてしまう可能性がある

音声やアニメーションは、生徒の関心や学習意欲を高めるのに効果的ですが、ときにはその効果が裏目に出てしまう恐れがあります。音声やアニメーションが興味深いあまり画面にばかり集中し、授業の内容が頭に入らなくなってしまうかもしれません。教員と生徒の間で、デジタル教材はあくまで学習をサポートするためのものであるという共通認識を持っておくことが大切です。

視力低下や眼精疲労など健康面に懸念がある

デジタル教材が導入されると、どうしてもノートパソコンやタブレットを近距離で見る時間が長くなります。それにより、紙の教材よりも目が疲れやすくなり、視力の低下が引き起こされる恐れがあります。デジタル教材を用いる際は適度に休憩時間を設ける他、姿勢や画面の距離などにも気を付けることが重要です。

教員・生徒のメディアリテラシーが大切になる

デジタル教材を活用することで、インターネットへのアクセスが容易になります。インターネットにアクセスし、自発的にあらゆる情報を入手できるのはデジタル教材の良いところです。しかし、インターネット上には誤った情報や不適切な情報も散乱しています。生徒が安心・安全にインターネットを利用するためには、まず教員自身がメディアリテラシーを身に付け、適切に指導していくことが必要です。

故障時やセキュリティへの対策が必要になる

ノートパソコンやタブレットは精密機器のため、ときには故障してしまうこともあります。予備の端末を用意したり、不具合が起きたときの操作方法を確認しておいたりと、万が一の事態に迅速に対応できるようにしておく必要があります。また、インターネットに接続することを考えると、セキュリティ対策も欠かせません。デジタル教材にはあらゆるメリットが期待されますが、こうした事前準備が必要なことも覚えておきましょう。

まとめ


デジタル教材とは、ノートパソコンやタブレットなどを用いて作成・利用される教材のことです。すでに多くの学校で導入が始まっており、ある高等学校では「学び直し」のためにデジタル教材を活用しています。1年次には各学期の始めに学力診断テストを実施し、それぞれの結果に合わせて隔週1回の授業と家庭学習にてデジタル教材を使った復習を行っています。生徒の学習効率の向上や教員の業務負担の軽減など、あらゆる効果が期待されているデジタル教材は、ますます多くの学校に普及していくでしょう。

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