【連載企画③】ICT教材「すらら」の「情報Ⅰ」来週リリース!監修者 情報教育の専門家 若杉祥太先生に聞く(3) 「情報Ⅰ」のココに注目!

2024/10/28(月)

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全3回の連載、こちらは第3回目の記事です。[第1回はコチラ][第2回はコチラ

2022年度から高等学校の必修科目になり、2025 年度からの大学共通テストに加わる「情報Ⅰ」。現代の情報化社会に必要な学びとなる「情報Ⅰ」も、「すらら」の新コンテンツとしてすららネットから2025年4月にリリースされます。その監修を行う若杉祥太先生から、情報教育についてのポイントを3回連載でお届け。3回目は情報教育の目指すべき理想の環境とそれを実現させる「すらら」の「情報Ⅰ」の可能性を語っていただきました。

1986年生まれ大阪出身。大阪教育大学・同大学大学院で情報教育学や教科教育学(情報)の教育研究に従事するとともに、同大学附属高等学校で情報科の実践教育を担う。日本教育情報学会副会長、日本情報科教育学会評議員

「情報」への周囲の関心と 共通テストへの危惧

高等学校では、2022年度から「情報」が科目として必修化されました。しかし、その「情報」に生徒の興味・関心が薄く、教員にも授業への不安感が強いという現場の声が未だに聞こえてきます。

その要因について若杉先生は、まず生徒について「高校の情報教育には初めて触れる概念が多いため理解に時間がかかり、興味を持つ前に挫折してしまうと考えられます。また、自身の生活や将来と結びついているという実感が『情報』という科目に薄いことです。『数学』や『英語』といった科目に比べて、『情報』がどのように自分の進路や日常生活に役立つのかを具体的にイメージできない生徒も多いのかもしれません。そのため、学習の意義を見出しにくく、興味や関心が低下するのではないでしょうか」と語ります。

一方、教員については「これまで『情報』は大学入試の必須ではなかったため、生徒だけでなく教員側も優先度が低いと感じていたのではないでしょうか。その結果他の科目に比べて学習の支援体制が整いにくく、指導内容に不安を感じる教員が多くいたと思われます」と若杉先生。評価対象として「情報」の科目認識の低さを指摘しますが、2025年度からの共通テスト開始で、今後はその傾向が変わるとも示唆します。

さらに、若杉先生は情報教育の歴史は比較的浅く、『情報』が実社会で必要な知識という本質なことを生徒に教える経験が教員に豊富にあるとはいえない背景と、「受験」という捉え方に偏り過ぎることでの、本来の情報教育が目指す目的と違う方向へ向かう可能性を危惧しています。

若杉先生がセミナーで語る情報教育の現状。教員や生徒双方に不安感が強いことが分かります。

若杉先生が実践する 個別最適化を目指した学習指導

もうひとつ情報科の授業の難しさに、「生徒一人ひとりの理解度に差が生じることが避けられない点があります」と若杉先生はいいます。

しかし、その差を埋め、学習効果を高めるための対策を講じた、自らの授業での取り組みを以下のように教えてくれました。

それはまず、個別最適化を積極的に行える学習環境の用意です。具体的には、ICT環境を活用した学習プラットフォームやAI教材で各生徒の理解度や学習ペースに合わせた授業を行うことです。例えば、「すらら」のようなAI教材の利用で、生徒は自分のペースで学習を進め、理解不十分なところを繰り返し学習できる有効性を挙げます。

次に、グループワークやペア体制で行う、アクティブラーニングやプロジェクト型学習の導入です。このような活動を増やせば、理解が進んでいる生徒が他の生徒をサポートするといった協力関係が生まれ、全体の理解度の差を縮めることが可能になります。さらに社会の課題解決をプロジェクトのテーマにすれば、生徒の興味・関心を引き出しながら、自己調整学習を促進する機会にもなるというのです。

また、定期的なテストや評価の場を設け、学習状況の可視化とフィードバックを徹底して行っています。これは、生徒が自分の得意・不得意を認識しながら、自己学習の動機付けを図ることが目的ですが、教員側も生徒の理解度を客観的に把握し、そのデータを基に補習や追加課題を出すなど、個別サポートが効果的に行えるというものです。

若杉先生の描く「すらら」を用いた学習の流れの例。グループワークによる教え合いで生徒間の理解度の差を埋めると同時に自己調整学習にもつながります。

教員のゆとりが教育を豊かに そのために必要なものとは?

若杉先生は授業の流れやフィードバックの仕組み作りが、生徒の学習意欲向上の鍵としながらも、コンテンツの変化が激しい「情報」では教師側の知識のアップデートなど教員の多忙にも大きな課題があり、やるべきことの効率性をもっと重視しなければ、有意義な情報教育の実現は難しいと考えています。

そんな状況で若杉先生が、再度強調するのは使いやすいツールやAI教材の導入です。操作が複雑ではない直感的なツールや、有効なAI教材の採用で、教員側の負担のハードルが下がるといいます。そして、「すらら」の「情報Ⅰ」を例とし、教員が効率的に授業やその後のフォローが進められるような設計など、利用価値が高いポイントを解説してくれました。

「何といっても『すらら』は個別最適化された学習が可能な教材です。理解度や学習ペースに合わせて、各生徒が自分のペースで学習を進めることができます。次に、インタラクティブでわかりやすいコンテンツが豊富です。アニメーション動画やシミュレーションなどで生徒の興味・関心を引き出す工夫がなされ、抽象的で難解に感じられがちな情報の概念を、直感的に理解できます。そして、「すらら」の他の教科と同様に、実践的な演習問題やプロジェクト型学習の要素が組み込まれています。生徒は学んだ知識を実際に応用し、課題解決能力や想像力を養えるのです。単なる知識の習得にとどまらず、学んだことが実社会で役立つスキルの育成につながっていきます」。

集中力を持続させる工夫がない教材は、生徒のモチベーション維持が難しいものです。生徒一人ひとりに対応する「すらら」は、「情報I」を前向きに学ぶ気持ちの後押ししてくれそうです。

生徒の学習に対する興味関心度を高め、継続して学べる工夫が「すらら」の特徴を描いた若杉先生の資料。

教員も生徒も満足できる、「すらら」で前向きな「効率化」

生徒の学習意欲を高めるだけでなく、教員向けの管理機能が充実している点も、若杉先生が「すらら」の「情報Ⅰ」を推す理由です。情報教育の在り方や指導法を専門に研究する若杉先生は、「まず、生徒の学習状況や理解度をリアルタイムで把握できるため、個々の生徒に合わせた的確なサポートが可能となります。限られた時間での教員の負担軽減に作用するため、全体に余裕が生まれ、より効果的な指導に集中できるようになります。そうすると、そのノウハウを他教員と共有する協力体制やコミュニケーションの促進につながって、情報共有や共同作業を積極的に行える環境が整うわけです。このように、良い循環も期待できます」。

教員に高度な指導が求められる教科「情報」においてICTを活用した授業は不可欠です。若杉先生は「教員として、学習指導はもちろんですが、生徒一人ひとりの成長を支える責任があります。そのために良い意味での「効率化」を心掛け、教員はその努力を惜しみません。そんな教員に対する支援体制の強化はとても重要なのです」と自らが思い描く理想の教育現場を語ります。

「すらら」の「情報Ⅰ」は、前向きな「効率化」と、生徒の自己調整学習を促進し、主体的な学びを支援する強力なツールです。そんな「すらら」を若杉先生は「生徒たちが情報リテラシーを深め、未来に向けて必要なスキルを身につける一助となれば幸いです」と最後に答えてくれました。

「すらら」の「情報Ⅰ」は情報教育の頼もしい筋肉

すららネットは、10月18日(金)に若杉先生が登壇するオンラインセミナー「AI教材で叶える業務軽減と個別最適化学習の両立」を開催。「情報Ⅰ」の現状の課題と解決法として、「すらら」の新コンテンツ「情報Ⅰ」を紹介しました。

生徒の「分かる」「できた」の授業、演習問題の採点作業の効率化、生徒の理解度に合わせた個別対応問題、共通テストの対策など、生徒への質の高い学習機会と教員の負担をサポートする機能について、監修者である若杉先生からの解説が加わったセミナーに、参加者からは、「他教科の取り組みは、研修機会があるが、『情報』に関してはほとんどなく、参考になった」、「新しい情報が聞けて良かった」、「課題の整理ができた」という感想をいただきました。

また、「何が情報の教育に欠けているか? 分析とその解決策についても聞きたかった」という、情報情報教育全体の課題についてのリクエストなども寄せられました。
「筋肉と教育は裏切らない」と本連載1回目から答える若杉先生が評価する「すらら」の「情報Ⅰ」は、情報教育を元気よく動かす筋肉のような教材。その頼もしさに期待と注目が集まっているようです。

「すらら」の活用で期待される効果は、これからの理想の情報教育。生徒が自ら学ぶ力を身につける教材選びが重要です。

「すらら 情報Ⅰ」

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