「学びに向かう力・人間性等」の評価方法は?ポイントを徹底解説!

2025/04/20(日)

授業方法/学習指導

新学習指導要領の3つ柱の1つである「学びに向かう力、人間性等」とは、学校教育において何を指すものか疑問に思っている教員も多いのではないでしょうか。本記事では「学びに向かう力、人間性等」について具体的に解説します。併せて「学びに向かう力・人間性等」の具体的な内容や狙い、評価方法なども紹介しますので、教育に携わる方はぜひご一読ください。

新学習指導要領の3つの柱の1つ「学びに向かう力・人間性等」とは?


新学習指導要領の3つの柱の1つである「学びに向かう力・人間性等」とは何を指すのか、具体的に解説します。

「どのように社会や世界と関わり、よりよい人生を送るか」に関わる資質・能力

新学習指導要領において、生徒が学校教育の中で身に付けるべき力として次の3つが挙げられています。

1.学びに向かう力・人間性等
2.生きて働く知識・技能の修得
3.思考力・判断力・表現力等の育成

1つ目の「学びに向かう力・人間性等」とは、生徒が社会や世界と関わりを持ちながら、よりよい人生を送るために必要な資質や能力を指します。これは、新学習指導要領の他の2つの柱をどのような方向性で働かせていくか軸を定めるための重要な要素です。

主体的に学習に取り組む態度を重要視

「学びに向かう力・人間性等」では、主体的に学習に取り組む態度を重要視しています。教科範囲だけに捉われない幅広い意味での人間教育を実施していきます。多様性を理解してクラスメイトと協力する力や、優しさや思いやりなど、人間性を豊かにするための資質や能力を伸ばすことに重点が置かれます。そのため、主体的に学習に取り組む態度が重要視されています。

「生きる力」を重視した新学習指導要領


学習指導要領は全国のどの学校でも一定水準を保てるように文部科学省が定めた教育課程の基準です。10年に1回程度の頻度で改訂されており、今回の新学習指導要領は「生きる力」に重点を置いています。ここからは新学習指導要領について解説します。

なぜ新しくする必要があったのか

グローバル化やスマートフォンの普及など、変化の激しい時代を生き抜く力を育むために、新学習指導要領を改訂する必要がありました。海外の専門家の中には、今後10年から20年で半数近くの仕事が自動化され、いまの子どもたちが大人になる頃には新しい職業が登場するだろうと予測する人もいます。子どもたちには、時代の流れに合わせて変化を前向きに受け止めながら順応し、生活を豊かなものにしていくことが期待されています。このような社会の変化を見据えて、子どもたちの将来のために必要な資質や能力を養っていくために、学習指導要領が改訂されました。

目指すのは3つの柱の一体的な育成

新しい学習指導要領では、次の3つの柱を一体的に育成し「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指しています。

1.知識及び技能
2.思考力、判断力、表現力など
3.学びに向かう力、人間性など

何ができるようになるのかという考えから、それぞれの資質や能力をバランスよく取り入れ、学習したことを社会や人生に生かしていくことが目標です。

何を学ぶのか

新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえて、小学校では外国語教育の教科化、高校では「公共(仮称)」の新設を予定しています。また、それぞれの教科などで育む資質や能力を明確化し、内容を見直したり構造的に示したりと、学びを深めていきます。学習内容の削減は行わずにこれまで通り継続します。

どのように学ぶのか

アクティブラーニングの視点から学習過程を改善し、次のような学びを目指します。

・深い学び
・対話的な学び
・主体的な学び

まずは知識の量を増やすことから始め、内容を十分に理解していくために学習過程の改善を行います。これらを通して生きるための知識や技能の習得など、新しい時代に求められる資質や能力を育成します。

新学習指導要領における学習評価とは


新学習指導要領にもとづく学習評価は3つの観点から行われます。ここからは、さまざまな視点から見た学習評価について具体的に説明しますので、ぜひお役立てください。

学習評価の基本

学習評価の対象となるのは、次の3つの観点です。

1.知識・技能
2.思考力・判断力・表現力等
3.主体的に学習に取り組む態度

前述した新学習指導要領の内容とほぼ一致するため、分かりやすい評価の実現が期待できるでしょう。

カリキュラム・マネジメントの中核としての指導と評価

各学校では日々の授業における生徒の学習状況を評価し、カリキュラム・マネジメントの中核として、指導と評価を行っています。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の4段階を繰り返すことで、内容が適切であったか判断する方法です。その結果を生徒の学習や教員による指導の改善などに生かしていきます。このように学習指導と学習評価は学校教育の土台であることから、組織的かつ計画的に教育活動の向上を目的とした「カリキュラム・マネジメント」の中核的な役割を担っています。

「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善と評価

指導と評価の一元化を図るためには、生徒1人1人の学習意欲を促すことを目的とした評価でもあるという観点を、より重視することが大切です。その上で教員が指導のねらいに応じて、生徒の学びを振り返り指導の改善に生かすという繰り返しが欠かせません。学習評価は「主体的・対話的で深い学び」を育成するために重要な役割を担っているといえます。

学習評価の3つの観点

学校教育における学習評価は、新学習指導要領の3つの柱に対応した形で評価しています。学習評価の3つの観点とは「知能・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」であり、新学習指導要領とほぼ一致します。ただし人間性などについては教科の中での評価が困難なため、学習に対する主体性を抜粋して評価することになっています。

「学びに向かう力・人間性等」の評価のポイント


「学びに向かう力・人間性等」は主体的に学習に取り組む態度や感性・思いやりなどの2つの観点から評価します。ここからは、評価内容の工夫の仕方を紹介しながら、評価する際に役立つポイントを解説します。

「主体的に学習に取り組む態度」の観点に照らした評価

教科教育に関しては主体的に学習に取り組む態度の観点に対応して評価します。ただし「学びに向かう力・人間性等」の人間性の評価については、観点別学習状況の評価を通じて見取ることができる部分と観点別学習状況の評価にはなじまない部分があるため、3つの観点とは別に個人内評価を行っています。また「学びに向かう力」では、生徒自身が自ら学習する意欲やスキルを行動面で評価することから、主体的に学習に取り組む態度という言葉に置き換えられました。

①粘り強い取組を行おうとする側面

たとえば、発表会に向けてスピーチの練習を繰り返したり、表現を考えたり、伝わりやすいように修正を加えたりする姿勢は「粘り強い取り組み」として評価できます。結果そのものも評価に値しますが、成功するまでの課程に目を向けて粘り強く意欲的に取り組む姿勢に着目するのも大切です。

②自らの学習を調整しようとする側面

生徒自らの理解の状況を振り返ることができるような質問の工夫をしたり、自らの考えを話したり、他社との協働を通じて自身の考え方を相対化する時間を設けたりすることも効果的です。生徒の理解が不十分な場合は、教員の学習の進め方を見直すのも1つの手です。

個人内評価の工夫

評価しきれない部分があります。その際は個人内評価を活用して生徒1人1人の良い点や可能性を評価しましょう。また、生徒が学習したことの意義や価値を実感できるよう、日々の教育活動の中で生徒に良い点を伝えたり褒めたりして評価することが大切です。特に感性や思いやりなどの部分は積極的に評価し生徒に伝えていきましょう。

「指導に生かす評価」と「記録に残す評価」

毎時間、全生徒の学習評価を行うことは現実的ではありません。そのため、評価方法を2つに分類し、日々の授業の中では生徒の学習状況を把握して指導に生かす「指導に生かす評価」に重点を置きつつ、単元の中で「記録に残す評価」を計画的に位置付けることが大切です。いずれの評価方法も、評価の結果を生徒の学習や教員の適切な指導につなげるという点は共通です。

「主体的に学習に取り組む態度」評価方法の具体例


「主体的に学習に取り組む態度」の具体的な評価方法としては以下の3つが考えられます。

ノートやレポート等における記述や授業中の発言

たとえば、教員が記録した行動観察や児童による自己評価などを考慮する材料として使用します。上記を用いることで、知識や技能をどの程度獲得しているか、思考力や判断力を身に付けるためにどのような粘り強い努力をしたか評価できます。

ルーブリックの作成

主体的に学習に取り組む態度はペーパーテストだけでは測れないため、ルーブリックを導入することで到達度が明確になります。またルーブリックに「目標とする生徒の姿」を描いておくことで、学習活動を進めていく上で1人1人に応じた適切な支援にもつながるでしょう。

Googleフォームを活用した振り返り

GoogleフォームとGoogleスプレッドシートをGoogle Apps Scriptで連携させることで、授業の振り返りフォームを作成可能です。単元を通した学習の調整を見取るには、毎時の振り返りを活用するのが効果的です。ツールとしてGoogleフォームを活用することで、学習内容を可視化できます。これらにより、評価できる仕組みづくりがある程度可能になるでしょう。

「学びに向かう力・人間性等」の育成方法


「学びに向かう力・人間性等」の育成方法として、以下の教育活動を通して生徒たちの学習意欲の向上や学習習慣を確立させることが重要です。

・個に応じた指導の充実
・体験的な学習や知識・技能の活用を図る学習活動
・職業や自己の将来に関する学習
・学ぶ意義を認識
・学んだことの意義を実感できるような学習活動

また、学ぶ意識を高めるために家庭学習を適切に課すなど、学校だけではなく家庭学習も視野に入れた指導を行い、学習習慣を身に付けるのも1つの手です。

まとめ


新学習指導要領の3つ柱の1つである「学びに向かう力、人間性等」は、生徒たちが将来社会や世界と関わりながら、よりよい人生を過ごしていくために必要な資質・能力です。この力を学校教育を通して育成していくためにも、本記事で紹介した内容や狙いをよく理解し、適切な評価方法を取り入れながら教育にお役立てください。

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