高校生のインターンシップはどう進める?注意点や事例を解説

2025/11/06(木)

進路・キャリア教育

高校生のインターンシップは、働くことへの理解を深める実践的な学びの場です。授業では得られないリアルな職場体験を通して、自分の進路や将来像を考える貴重な機会です。

この記事では、高校生インターンシップの目的や意義、進めるポイントを紹介します。この記事を読むと、指導に役立つ注意点や他校の事例が分かります。高校生に社会との関わりを実感させたい先生方に役立つ内容ですので、ぜひご一読ください。

高校生のインターンシップとは

高校生のインターンシップとは、実際の職場で社会の仕組みや働く意義を学ぶ教育活動です。生徒は職業経験を通して、自分の適性や興味を確認し将来の進路選択に生かせます。

インターンシップとは

インターンシップとは、学生が一定期間、企業や行政機関などで働く体験を通じて社会や職業への理解を深める教育活動です。高校生のインターンシップでは、職業体験を通して「働く」意味や責任を自分の目で確かめることが目的です。

実際の職場で社員と関わりながら仕事を体験することで、教室だけでは得られない学びがあります。期間は数日から1週間程度で、地域や学校の協力により開催されるケースが多く見られます。

高校生のインターンシップが求められる背景

高校生向けインターンシップは、1999年の旧文部省による教育改革プログラム「教育立国をめざして」を契機に全国へと広がりました。その後、2003年には「若者自立・挑戦プラン」が策定され、国家規模でのキャリア教育推進が本格化しています。

若年層の職業意識の希薄化や早期離職といった社会課題を背景に、高校生向けインターンシップは実践的な職業体験の機会として重視されるようになりました。

高校生のインターンシップの目的

高校生のインターンシップの目的は、実際の職場で働く経験を通じて、将来の職業観や働く意義を深く理解することです。生徒は職業への適性を見極め、進路選択の判断材料を得られます。

現場での仕事体験や課題解決活動、社員との交流を通じて、社会で必要なスキルやマナーを学ぶことが挙げられます。職場体験が自己理解を促進し、将来のキャリア形成に役立つため、インターンシップは重要です。

高校生のインターンシップとアルバイトの違い

インターンシップとアルバイトでは、目的が大きく異なります。アルバイトは労働の対価として、賃金を得ることが主な目的です。一方、インターンシップは、キャリア形成に役立つ職業体験を通じた学びが目的です。

アルバイトでは時給が発生しますが、インターンシップは教育活動の一環として企業が協力するため、原則として賃金は発生しません。生徒には、インターンシップを学びの場であることを理解させることが重要です。

高校生インターンシップのメリット


高校生のインターンシップには、生徒の成長を促す多くのメリットがあります。以下で詳しく見ていきましょう。

キャリア選択の判断材料になる

実際の職場で働く経験を通じて、進路選択に必要な判断材料が得られます。

例えば、事務職を体験してデスクワークの適性を確認したり、接客業で人と関わる仕事の魅力を発見したりできるでしょう。

自分に合う仕事と合わない仕事を肌で感じることで、具体的な将来像を描けるようになります。

働く意義を実感できる

自らの労働が成果を生み、社会や他者に貢献する過程を体験できます。商品陳列の手伝いをして店舗運営を支えたり、書類作成で業務効率化に寄与したりする経験を通じて、仕事の重要性を実感できるでしょう。

こうした体験が職業倫理の理解につながり、働くことへの責任感を育みます。

社会人としてのマナーが身に付く

職場では社員と同じ振る舞いが求められるため、実践的なマナーを習得できます。出勤時のあいさつ、電話応対の言葉遣い、報告・連絡・相談の徹底といった基本動作を学べるでしょう。

時間厳守やチームでの協働も体験でき、将来どの職業にも共通するビジネススキルの土台が築かれます。

自己理解が深まる

実際の仕事を通じて、自分の長所や課題が明確になります。学校では成績が評価の中心ですが、職場では対応力や協調性といった別の能力が求められるためです。

接客で柔軟な対応が得意だと分かった、細かい作業に集中力を発揮できたといった発見があるでしょう。こうした気づきによって、生徒の自己理解が深まります。

社会や地域とつながりができる

地域の企業や団体での体験を通じて、社会との接点が生まれます。学校生活だけでは出会えない多様な世代の人々と関わることで、視野が広がるからです。

地元企業で働く社員から仕事のやりがいを聞いたり、商店街での活動を通じて地域課題を知ったりできるでしょう。この関係性が、地域社会の一員としての意識を育てます。

お礼状の書き方

インターンシップでお世話になった企業や職場には、体験後にお礼状を送ることが大切です。感謝の気持ちは具体的なエピソードとともに伝えると印象に残ります。

例えば、業務の指導を受けた内容や一緒に取り組んだプロジェクトの成果を簡潔に書くとよいでしょう。

手紙やメールなど形式を問わず、誠意を込めて丁寧にまとめることがポイントです。お礼状は良好な関係を築くだけでなく、将来の進路や推薦状にも生かせます。

高校生インターンシップの探し方

高校生のインターンシップの探し方には、次の3つが挙げられます。

  • 学校が紹介する
  • 自治体やNPOの制度を活用する
  • 募集サイトを活用する

以下で詳しく見ていきましょう。

学校が紹介する

学校が紹介するインターンシップは、信頼できる進路指導室や先生が企業と連携して提供しています。従って、学業との両立がしやすい安心なプログラムが多いのが特徴です。

過去に実績のある地元企業や学校のカリキュラムに合った就業体験に参加できるため、生徒にとって有意義な経験になり得ます。インターン先を探すなら、まずは学校の紹介を活用するとよいでしょう。

自治体やNPOの制度を活用する

高校生のインターンシップは、自治体が地域の企業やNPOと連携し、多様な職種を体験できるプログラムを提供しています。市役所での公務員体験や地域のNPOでの社会貢献活動など、地域に根ざした体験ができることが特徴です。

生徒は社会とのつながりを深め、地域への理解と貢献する意識を育めます。

募集サイトを活用する

高校生のインターンシップ探しは、専門の募集サイトや企業の採用ページ、求人サイトを活用するのもおすすめです。募集サイトなどでは多様な業種や職種の情報がそろい、自分の興味に合ったプログラムを見つけられます。

例えば、IT企業でのエンジニア体験やSNSマーケティングの補助など、さまざまな活動が用意されています。生徒は幅広い選択肢から自分に適したインターンを見つけやすくなり、充実した経験を得られるでしょう。

高校生インターンシップの進め方

高校生のインターンシップの進め方は、まず学校側が生徒の興味や課題に合わせて受け入れ先を検討します。校内での説明会や進路指導を通じて、参加を希望する生徒を募り、保護者への説明も必要です。次に受け入れ先の企業と連携し、日程や内容、受け入れ体制を調整します。

インターンシップ期間中は、生徒の安全と学びを保障しながら、課題の遂行や振り返りを支援します。終了後には評価や感想を共有し、今後のキャリア指導に生かしましょう。この流れを丁寧に行うことで、安心かつ効果的なインターンシップとなります。

高校生インターンシップの心構えと注意点

高校生がインターンシップに参加する際は、社会人としての基本的な態度やマナーを意識することが大切です。以下で詳しく紹介します。

企業の一員として振る舞う

高校生のインターンシップでは、企業のメンバーとして行動する意識が重要です。企業のルールや文化を尊重し、責任感を持って業務に取り組むことで、チームへの貢献度が高まります。

指示を受けた作業は期限内に丁寧に仕上げ、分からないことは積極的に質問しましょう。企業の外部から見た場合も、インターン生はその組織の一員と見なされます。「高校生だから」と甘えず、常に社会人としての振る舞いを意識することが大切です。

参加者としての立場を自覚する

インターンシップに参加する高校生は、受け入れ先の企業の準備やサポートがあることを理解しましょう。お世話になる社員には感謝の気持ちを持ち、謙虚で素直な態度を心がけることが大切です。

こうした姿勢は信頼関係を築き、良好な人間関係につながります。積極的に学ぼうとする姿勢も評価されるため、主体的な行動が必要です。

社会人としてのマナーを守る

インターンシップでは、基本的な社会人のマナーが評価に直結します。時間厳守は当然で、遅刻や早退は印象が悪くなります。加えて、専門知識と同様に服装や言葉遣い、あいさつなども重要です。

清潔感のある服装で出勤し、先輩社員には礼儀正しく接しましょう。社会人のマナーを守ることで企業内での信頼を得やすくなり、インターンシップの成果を最大限に生かせます。

アドバイスを受け入れ、改善する

インターンシップは、社員からのアドバイスを受け入れ、改善していく姿勢が成長するポイントです。社員からのフィードバックは、業務や態度の改善点を具体的に示してくれます。

アドバイスを素直に受け入れ、自分の行動に生かすことで専門的なスキルや社会人としての基礎力が身に付きます。改善を繰り返すことで、自己成長を実感できるでしょう。積極的な姿勢が、インターンシップでの成功につながります。

自主的に行動する

インターンシップでは指示を待つだけでなく、自ら積極的に行動することが重要です。業務の改善点を見つけて提案したり、新しい課題に挑戦する姿勢を示したりすれば学びの幅が広がります。

自発的に動くことで、周囲からの信頼を得やすくなり、将来必要な主体性や問題解決力も身に付きます。限られた時間の中で学びを最大化するために、自主性を意識して取り組むことがポイントです。

高校生インターンシップの事例を紹介

ここで紹介する高校生インターンシップの事例は次の2つです。

  • 鎌倉市役所
  • 株式会社メタルヒート

以下で詳しく見ていきましょう。

Setting auto-secondary-query to FALSE.

①鎌倉市役所

鎌倉市役所のインターンシップには、市内の高校生が職員として参加しました。選挙権が18歳に引き下げられたことを受け、青少年が地域社会に積極的に関与する機会を提供するためです。参加した生徒は青少年会館を訪れ、地域の「第3の居場所」として活用する可能性について職員と話し合いました。

高校生はその後青少年問題協議会に参加し、委員とともに居場所づくりを議論しました。生徒たちは市の制度や政策に影響を与える自信を深め、鎌倉市への理解が深まったと感じています。鎌倉市役所のインターンシップにより、自分のキャリアを見直すとともに、将来への期待も高まったとの感想が聞かれました。

②株式会社メタルヒート

株式会社メタルヒートは、地元高校との交流と将来の人材確保を目的にインターンシップを実施しています。大卒採用が難航していた際、高校の進路指導部から依頼されたことがきっかけです。学校側は安全に「ものづくり」を学べる場を求めていました。期間は学校と調整の上、毎年7~9月の2~5日間程度です。

生徒は製造部や品質管理部で、生産工程の段取りや検査、梱包作業などを体験します。参加した生徒からは「社員の責任感が強い」といった声も寄せられました。高校生インターンシップが、卒業後の採用に結びついた事例もあります。入社前に相互理解を深めることが、採用のミスマッチ防止に役立っています。(※1)

まとめ

高校生のインターンシップは、生徒が働くことの意義を実感し、キャリア選択の判断材料を得られる貴重な機会です。職業観の育成や社会人マナーの習得など、教室では得られない学びが詰まっています。

実施に際しては、学校紹介や自治体制度、募集サイトなどを活用して受け入れ先を探しましょう。事前指導では参加目的を明確にし、事後には振り返りの時間を設けることが大切です。

本記事で紹介した事例や注意点を参考に、自校でのインターンシップ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

※1:経済産業省「インターンシップをきっかけとした学生の採用」

 

CONTACT USお問い合わせ

「すらら」「すららドリル」に関する資料や、具体的な導⼊⽅法に関するご相談は、
下記のフォームよりお問い合わせください。

「すらら」「すららドリル」ご導⼊校の先⽣⽅は
こちらよりお問い合わせください。

閉じる