調べ学習のまとめ方とは?進め方の手順・指導のポイント・例を解説

2025/11/11(火)

授業方法/学習指導

探究学習

調べ学習のまとめ方を生徒にどう教えればよいかお悩みの先生も多いでしょう。明確な手順とポイントを押さえれば、生徒の探究的な学びを深められます。

この記事では、調べ学習のまとめ方や進め方の手順、指導のポイントを具体例とともに解説します。読み終えれば、明日から授業で実践できる効果的な指導方法が身に付くでしょう。

調べ学習の概要

まずは調べ学習の基本的な定義や目的、類似する学習方法との違いを理解しておきましょう。

調べ学習とは

調べ学習は、生徒が設定したテーマについて情報を集め、分析・整理して自分の考えをまとめる学習方法です。単に資料を探す技術を学ぶだけでなく、集めた情報から必要なものを選び取り、分析・評価して再構成する力が求められます。

環境問題をテーマにした場合、複数の文献やデータを比較検討し、自分なりの解決策を導き出していきます。このプロセスを通じて、論理的思考力や課題解決力も養えるでしょう。

「総合的な学習の時間」の導入以降、重要性が高まっています。

調べ学習の目的

情報の探し方や整理の仕方を実践的に学ぶことが、調べ学習の主な狙いです。テーマに沿った資料を探し、レポートにまとめる過程で情報リテラシーが身に付きます。

さらに、テーマに関する知識の習得や、論理的な文章構成力の向上も期待できるでしょう。

探究学習との違い

調べ学習では教員が課題を提示しますが、探究学習では生徒自身が身近な疑問や関心から問いを立てる点が大きな違いです。

例えば、調べ学習では「江戸時代の文化について調べよう」と教員が設定するのに対し、探究学習では生徒が「なぜ地元の祭りは続いているのか」といった問いを自ら見いだします。

高校の「総合的な探究の時間」では、この主体的な学びがより重視されています。探究学習では結論を出して終わりではありません。新たな疑問が生まれ、さらに探究を深めるサイクルが繰り返されます。

調べ学習はこの探究プロセスの一部分として位置付けられ、より発展的な学びへとつながります。

調べ学習で育てたい4つの力


調べ学習で育てたい力は以下の4つです。

  • 問題を解決する力
  • 筋道を立てて考える論理的思考力
  • 自ら学びに向かう主体性
  • 情報を見極め活用する力

①問題を解決する力

問題を解決する力は情報を集めて分析し、必要なものを選んで整理する過程で培われます。課題に対して筋道を立てて取り組む経験は、日常生活や将来の仕事でも生かせるでしょう。

問題を解決する力は、社会で生きていく上で欠かせない能力といえます。

②筋道を立てて考える論理的思考力

調査結果をまとめる際には、論理的に分かりやすく伝えることが重要です。調べた内容を矛盾なく整理し、筋道を立てて表現することで、論理的思考力が養われます。

この力は報告や発表に欠かせず、相手に正確な意図を伝えるために不可欠です。

③自ら学びに向かう主体性

自ら学びに向かう主体性は調査方法から分析、まとめまでを生徒自身が考えて進めることで培われます。自分で判断しながら取り組む経験が、主体的な学習姿勢を育てます。

特に興味のあるテーマを選ぶと、学ぶ意欲がさらに高まるでしょう。

④情報を見極め活用する力

インターネットで情報を集める際、信頼できる内容かどうかを判断する力が求められます。誤った情報に惑わされないためには、情報源の確認が欠かせません。公的機関や専門家が発信する情報と、出典不明の個人ブログでは、信頼性が異なります。

複数の資料を比較することで内容の妥当性を検証できるでしょう。情報の取捨選択を繰り返すことで、情報を見極め活用する力が自然に養われていきます。

調べ学習の進め方例|5つの手順と押さえておきたいポイント


以下では、調べ学習を効果的に進めるための具体的な手順を順番に見ていきましょう。

①興味のあるテーマを設定する

生徒自身の興味や関心を起点に、テーマを選ぶことが重要です。普段は与えられた課題に取り組むことが多いため、自由にテーマを決める場面では戸惑う生徒も少なくありません。好きなことや気になっていることを手がかりにすると、取り組みやすくなるでしょう。

テーマは具体的に絞り込むことがポイントです。例えば「米」というテーマなら、「育て方」「流通の仕組み」「栄養価」など、調べる視点を明確にします。範囲が広すぎると何から手をつければよいか分からず、調査が進まなくなってしまいます。

②テーマについて自分なりの仮説を立てる

仮説を立てる力は社会でも求められる重要なスキルです。テーマが決まったら、生徒が既に知っている知識や授業で学んだ内容を手がかりに予想を立てさせましょう。

「地域の人口減少」をテーマにした場合、「若者の就職先が少ないからではないか」といった仮説が考えられます。

仮説を持って調べることで、結果との違いに驚いたり新たな発見をしたりする経験ができます。この驚きは記憶に残りやすく、学びを深める原動力です。

③調べ方とまとめ方の計画を立てる

計画を立てることで、効率的な調査が可能です。いきなり調べ始めると行き当たりばったりになり、混乱してしまいます。何をどんな順番で調べるか、どのような形式でまとめるかを最初に決めておくことが大切です。

「地域経済」をテーマにする場合、統計データ、企業への聞き取り、文献調査という順序を決めておけば、脱線せず要点を押さえられます。表やグラフで示したいといった完成のイメージを持つことで、必要な情報が明確になり、精度の高い調査につながります。

④必要な情報を集める

幅広い情報源から客観的な事実を集めることが重要です。まず基礎的な内容を押さえてから、詳細な情報へと深めていきましょう。情報源としては、百科事典、図書館の書籍、統計資料、博物館、新聞、インターネット、専門家へのインタビューなどがあります。

情報収集には2つの注意点があります。1つ目は、複数の資料を参照することです。単一の資料だけでは視点が偏る恐れがあるため、複数を組み合わせて客観性を保ちましょう。

2つ目は、情報源の信頼性の確認です。タブレットで手軽に検索できる時代ですが、誰が発信しているかの確認が欠かせません。

発信者や機関を必ず確認し、情報リテラシーを高める指導を心がけましょう。

⑤情報を整理・分析し、自分の考えをまとめる

集めた情報を分析し、自分の言葉で結論を導き出すことが大切です。まとめる際は分かりやすい構成を意識しましょう。単に資料を書き写すのではなく、そこから読み取れることや自分なりの解釈を加えることが必要です。

統計データを示した後に「この数値から若年層の意識の変化が読み取れる」といった分析を加えます。ただし、客観的な事実と自分の意見は明確に区別する必要があります。

事実と感想を混同すると、説得力のあるレポートにならないため注意しましょう。

調べ学習を効果的に仕上げるまとめ方とは


以下では、調査した内容を分かりやすく説得力のあるレポートにするための具体的なまとめ方を紹介します。

序論・本論・結論の3構成で整理する

序論・本論・結論の3部構成にすることで、読み手に伝わりやすいレポートになります。

序論では調査テーマとそれを選んだ理由や問題意識を示しましょう。例えば「地域の高齢化に関心を持ち、その実態を調べた」といった導入です。

本論では調査方法、収集した情報、分析結果を具体的に記述します。統計データや聞き取り内容など、事実を丁寧に整理することが大切です。

結論では調査を通じて分かったことや自分なりの考察をまとめます。仮説との違いや新たな発見にも触れるとよいでしょう。

見出しを立てて文章構成を決める

文章を書き始める前に見出しを設定することで、論理的な構成がつくれます。序論・本論・結論の枠組みに沿って、それぞれの項目に適切な見出しを付けていきましょう。

序論では「研究の背景と目的」、本論では「調査方法」「調査結果」「考察」、結論では「まとめと今後の課題」といった形です。

あらかじめ見出しを決めておくことで、各項目で何を書くべきかが明確になります。その結果、迷わずスムーズに執筆を進められるでしょう。

図や写真を入れて視覚的に伝える

文章だけでは伝わりにくい内容は、図表や写真で補うと効果的です。視覚化することで理解しやすくなり、説得力も高まります。

ただし、他者の画像を使用する際は著作権に十分注意しましょう。

参考にした情報の出典を明記する

調べ学習で参考にした情報は必ず出典を明記しましょう。書籍の場合は、書名・著者名・出版社・出版年などを示すのが一般的です。出典名の明記は情報の信頼性を示し、読者が元の資料を確認しやすくなります。

引用を使いすぎないように注意する

引用は必要最低限にとどめ、生徒自身の言葉を中心にまとめることが大切です。資料から文章を抜き出して使うことは可能ですが、多用すると自分の考えを伝えにくくなります。専門家の意見や統計データなど、原文のまま示す必要がある部分だけに限定しましょう。

引用する際は、カギかっこで囲むなどして引用箇所を明確に区別します。レポート全体の中で引用が占める割合を抑え、残りは自分の分析や考察で構成するよう指導することが重要です。

調べ学習に関するよくある質問


調べ学習の指導でよく寄せられる質問について、具体的な対応方法を紹介します。

生徒がテーマを決められないときはどう指導したらいいですか?

身近な疑問を見つけるよう促すことが効果的です。ニュースで気になった話題、授業で感じた疑問、友人との会話で出た問題など、日常にヒントがあると伝えましょう。「通学路の店が減った理由」「SNSで流行する理由」など、生活に密着したテーマは取り組みやすくなります。

過去の調べ学習の事例を見せて、そこに独自の視点を加える方法も提案できます。興味のある分野から始めて、少しずつ焦点を絞っていくプロセスを一緒に歩むといいでしょう。

生徒が情報をうまくまとめられないときはどう助言したらいいですか?

情報の優先順位付けと論理的な整理を段階的に指導しましょう。

まず、収集した情報を「重要」「普通」「補足的」の3段階に分類させます。次に、時系列、因果関係、課題と解決策など、論理的な流れで並べ替えるよう促しましょう。

「地域経済の衰退」なら、現状→原因→影響→対策という順序が考えられます。その上で、自分の言葉で要約し、考察や意見を加えさせることが大切です。

つまずいている生徒には、個別面談で一緒に整理する時間を設けると効果的です。

まとめ


調べ学習のまとめ方は、生徒の探究的な学びを深める重要な要素です。テーマ設定から仮説立案、計画的な情報収集、論理的な整理という手順を踏むことで、効果的に学習できます。序論・本論・結論の3部構成を基本とし、見出しを立てて構成を明確にすることが大切です。

図表の活用や出典の明記といった細かな配慮も欠かせません。生徒がつまずいた際は、身近な疑問からテーマを見つける方法や、情報を段階的に整理する手法を具体的に示すことが必要です。これらの指導を通じて、生徒の課題解決力と主体的な学習姿勢を育てられるでしょう。

 

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