2026/02/16(月)

授業支援システムとは?GIGAスクール構想で注目される理由
授業支援システムとは、教員のPCと生徒の端末を連携させ、教材の配布や課題の回収、生徒の回答共有などを通じて、双方向の授業展開を支援するツールのことです。文科省が推進するGIGAスクール構想で1人1台端末が整備され、ハードウェアの環境は整いました。
この端末を効果的に活用し、「主体的・対話的で深い学び」を実現するソフトウェアとして、授業支援システムの導入が全国的に進んでいます。
学習管理システム(LMS)や校務支援システムとの違いを解説
授業支援システムは、主に「授業中」の活動を円滑にすることに特化しています。これに対し、学習管理システム(LMS)は、教材の配信や成績管理、学習進捗の把握など、授業時間外の学習も含めた総合的な管理を目的とします。eラーニングプラットフォームなどがLMSの一例です。
一方、校務支援システムは、成績処理や出欠管理、保健室の来室記録など、教員の事務作業である「校務」を効率化するためのシステムです。それぞれ役割が異なり、授業支援システムは「授業」、LMSは「学習管理」、校務支援システムは「事務」が主な対象領域となります。
ICT教育で授業支援システムが不可欠とされる背景
GIGAスクール構想によって整備された1人1台端末を、単なる調べ学習の道具で終わらせないために、授業支援システムは不可欠な役割を担います。このシステムを活用することで、生徒一人ひとりの考えをリアルタイムで可視化し、クラス全体で共有できます。
授業支援システムで実現できること|主な機能一覧

授業支援システムには、日々の授業を効率的かつ効果的に進めるための多様な機能が搭載されています。代表的な機能を解説します。
リアルタイムで回答を共有し、意見交換を活発にする機能
生徒が各自の端末で回答を入力すると、その内容が一覧で表示される機能です。挙手による発表が苦手な生徒も意見を表明しやすくなり、多様な考えに触れる機会が生まれます。
教材の配布から課題の提出・回収までを一括管理する機能
ワークシート等のデジタル教材を教員端末から一斉配布でき、プリント印刷の手間を大幅に削減します。提出状況も一覧管理できるため、未提出者への確認も容易です。
生徒一人ひとりの学習状況を可視化し、個別指導に役立てる機能
小テストの正誤や課題への取り組み時間といった学習履歴がデータとして蓄積されます。教員はこれに基づき、個々の習熟度に応じた「個別最適な指導」を行いやすくなります。
オンライン授業やハイブリッド授業に対応する配信・録画機能
リアルタイム配信や録画(オンデマンド)配信機能を備えたシステムもあります。不登校の生徒への学習保障や、欠席した生徒のフォロー、復習にも活用できます。
授業支援システムを導入する3つのメリット

【教員向け】教材準備や課題回収の手間を削減し、業務を効率化
プリントの印刷・配布・回収といった物理的な負担が軽減されます。これにより生まれた時間を、教材研究や生徒との対話といった教育的価値の高い活動に充当でき、働き方改革を推進します。
【教員向け】生徒の思考を可視化し、指導の質を向上させる
生徒の反応を的確に捉え、授業展開を柔軟に調整できます。勘や経験則だけでなく、データに基づいた客観的な視点から指導を改善できるのが大きなメリットです。
【生徒向け】主体的・対話的な学びを促し、学習意欲を高める
自分の意見を気軽に発信でき、クラスメイトの多様な考えに触れられる環境は、生徒の知的好奇心を刺激し、能動的な取り組みを促します。
導入前に知っておきたい授業支援システムの注意点
導入時の初期設定や研修に時間とコストがかかる
ライセンス料のほか、アカウント作成や操作研修の時間が必要です。計画的な予算確保とスケジュール管理が重要になります。
端末の不適切な利用に関するルール作りが必要になる
学習と無関係なサイトの閲覧やSNS利用などのリスクを防ぐため、明確な利用ルールの策定と、継続的な情報モラル教育が不可欠です。
【失敗しない】自校に合った授業支援システムの選び方5つのポイント
- 解決したい教育課題や導入目的を明確にする:目的が曖昧だと導入そのものが目的化してしまいます。
- 使いたい端末(OS)でスムーズに動作するか:iPad, Chromebook, Windowsなど、自校の環境でストレスなく動くか確認。
- 複数教科の授業で使いやすいか:汎用性が高く、多くの教員が直感的に操作できるものを選びます。
- 情報漏洩を防ぐセキュリティ対策は万全か:「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」への準拠等を確認。
- 導入後の運用を想定したサポート体制:トラブル時の窓口や、活用研修の有無をチェックします。
おすすめの授業支援システムをタイプ別に紹介
シンプルな機能で直感的に使えるタイプ
代表例:ロイロノート・スクール。カード形式で思考を整理し、共有する機能に優れており、スモールスタートしたい学校に適しています。
多機能で幅広い授業スタイルに対応できるタイプ
代表例:チエル株式会社の製品群など。PC教室の管理からオンライン学習まで、高度で多様な学習活動を展開したい学校向けです。
特定の教科や目的に特化したタイプ(AI活用型)
代表例:「すらら」。AIを活用した個別最適化学習に特化しており、国数英などの主要教科で、生徒一人ひとりの理解度をリアルタイム分析します。
「すらら」は、過去の学年まで遡る必要のある基礎的な欠落箇所を自動で判明させるなど、教員の分析負担を大幅に軽減。私立学校や高校での進学実績向上や、学習の遅れへの対策に強力な威力を発揮します。
授業支援システムの具体的な活用事例
事例1:グループワークで多様な意見を共有【協働学習】
各グループの意見をプロジェクターに一覧表示し、比較検討することで、多角的な視点を養います。
事例2:生徒の回答傾向を分析し、個別最適化学習に活かす【個別学習】
学習ログを分析し、つまずきやすい生徒を早期発見。データに基づいた丁寧なフォローを実現します。
事例3:デジタルドリルやアンケート機能で授業の理解度を測る
浪速高等学校・中学校では、授業の最後に5分間のデジタルドリル(すらら)を実施。自動採点により、正答率が低い問題をその場ですぐに解説し直すことで、学び残しを防いでいます。
- 課題:授業内での全員の理解度把握が困難だった。
- 取り組み:「すらら」でのドリルとアンケートによるリアルタイム集計。
- 成果:教員が解説の不足を即座に判断でき、生徒も自分の弱点を数値で把握可能に。
まとめ
授業支援システムは、ICT教育の質を向上させるためのツールです。導入にあたっては、自校の課題を明確にし、サポート体制まで含めて総合的に検討しましょう。

