ICT支援員とは?業務内容や活用による効果、導入事例を解説

2022/11/24(木)

ICT支援員とは、学校における授業や校務などをサポートし、ICT教育の推進を支援する専門スタッフのことです。子どもたちの主体性を高め、協働的な学びを進めていくためにICT支援員は欠かせません。この記事では、ICT支援員の仕事内容や必要スキルなどを具体的に説明しながら、業務内容や活用による効果、実際の導入事例について解説します。

ICT支援員は学校におけるICT関連業務のサポート役

ICT支援員は、学校におけるICT関連業務を実現するために必要な専門スタッフです。パソコン・タブレット端末・インターネット・動画・電子黒板などのICT機器を利用した学習をスムーズに行えるようにサポートし、子どもたちの情報を活用する能力を伸ばすための役割を担っています。
ICT支援員の主な業務内容は大きく以下の2つです。

・ICT機器を先生や生徒がスムーズに使えるようにサポートすること
・ICT環境の運用管理を行うこと

ICT機器を操作するためのサポートの他に、動作チェックや都度行われるメンテナンスにも対応します。

ICT支援員が必要とされている理由

ICT教育を用いた学びを実現するために、文部科学省は4校に1人ICT支援員を配置することを目標にしています。校内にパソコンやタブレット端末などのICT機器が増えることで、先生の必要な業務が増加し、大きな負担となっています。この負担を軽減するために、ICT支援員によるサポートが求められるようになりました。ICT支援員に機器の管理や基本的な操作方法の指導を依頼することで、先生の負担を軽減でき、指導力の向上にもつながります。
文部科学省は、具体的に以下のような教育を目標にしています。

・ICTを使用した分かりやすい授業の実現
・次世代を担う生徒に必要な能力・資質を育成
・校務の情報化で生徒と向き合う時間の確保

また、これらのICTを活用した学習をしていく上で、学校や地域によって差が出てしまっては問題です。どのような場所でも、同じ条件で同じ学習を受けられるようにするために、「4校に1人」の配置を目標にして取り組んでいます。

ICT支援員の役割と主な業務

ICT教育を進めるために必要なICT支援員。学校において支援員はどのような役割を担っているのでしょうか。ICT教員の役割と、ICT支援員の具体的な業務内容について詳しく解説していきます。

ICT支援員の役割は「指導」に関連しない業務を担うこと

ICT支援員の役割は、「指導」に関連しない業務を担い、先生や生徒をサポートすることです。先生とコミュニケーションをとりながら授業前に準備し、生徒がより深い学びを得るための環境作りに務めます。「指導」「サポート」をしっかり役割分担することで、先生は指導に集中でき、円滑に授業を進められます。

ICT支援員の具体的な業務内容

ICT支援員の業務は、大きく5つの項目に分けられます。

(1)授業関連

授業計画の作成支援や、パソコン・タブレット端末などのICT機器の準備・メンテナンスをします。ICT機器の知識が少ない先生のサポートも重要です。生徒からの操作方法に関する質問対応や、生徒へのICT教育の内容に関する相談役を担います。

(2)校務関連

校務に関する分野では、ICTを導入した利便性の高い情報管理ができるように支援します。これまでは、生徒の出欠や成績の管理に時間を取られていた先生も少なくないでしょう。ICT支援員に依頼することで、例えば出欠を管理するフォームを作成してもらうことも可能でしょう。これまでの管理にかかる時間を削減し、先生の負担を軽減することが期待できます。

(3)環境整備関連

日常的なメンテナンス支援や各種ソフトの更新も、ICT支援員の業務です。加えて、先生や生徒がスムーズにICT機器を使用できるように、ICT機器整備計画や運用ルールの作成も支援員の業務です。

(4)校内研修関連

校内研修の企画や企画支援を担います。ICT支援員の配置促進に関する調査研究を確認すると、ICT支援員が企画を遂行できるように、研修の準備から研修の効果を評価するまでトータル的に支援する学校もあるようです。

(5)その他

ICT支援員のメイン業務は上記の4つが殆どですが、学校によって依頼されるその他の業務もあります。例えば、生徒に配布する操作マニュアルの作成や、学校行事に関するICT支援、動画作成のサポートなどを担います。

ICT支援員の活用によってもたらされる効果

ICT支援員の配置促進に関する調査研究をみると、生徒・先生のそれぞれがICT支援員に業務を依頼したことで「効果を感じた」という結果になりました。どのような効果が得られたのか、4つの分野に分けて詳しくみていきましょう。

(1)授業支援

(2)校務支援

(3)環境整備

(4)校内研修

ICT支援員は1校あたり週に1度訪問し、約2〜3時間ほど滞在しています。限られた滞在時間ですが、学校全体に大きな効果を与えていることが調査の結果分かりました。

ICT支援員とスムーズに連携するポイントICT支援員とスムーズに連携するポイント

ICT支援員とスムーズに連携するポイントは以下の4つです。

・ICT支援員にできること・できないことをはっきり線引きする
・ICT支援員の学校教育やICT活用教育への理解を促す
・ICT支援員の勤務日や勤務時間を周知する
・情報担当以外の先生とも直接コミュニケーションを取りやすい体制を作る

詳しくみていきましょう。

ICT支援員にできること・できないことをはっきり線引きする

学校の先生に対する最初の研修で「ICT支援員ができること・できないこと」を、実例を交えながらはっきりと説明するべきです。中には、パソコンやタブレットなどのICT機器に関することなら、何でもサポートしてもらえると捉える先生は少なからず存在します。しかし、ICT支援員は個人情報や評定に関しては触れられないため、支援できない部分との線引きが必要です。個人情報保護条例や雇用契約書を見直し、ICT支援員が扱ってよいものかを理解したうえで、先生に向けての研修を実施しましょう。

ICT支援員の学校教育やICT活用教育への理解を促す

学校の先生はICT支援員に対して、学校教育やICTを活用してどのような教育をしているのか、理解できるようにするとよいでしょう。参考資料を渡したり研修を実施したりして、ICT支援員が学べる環境を整えるのも1つの手です。例えば、ICT支援員向けのハンドブックの中に「ICT支援員自己評価ルーブリック」といったものがあります。月毎や学期末などの節目に活用して、ICT支援員の資質能力をチェックすることをおすすめします。

ICT支援員の勤務日や勤務時間を周知する

ICT支援員を有用的に活用するためには、勤務日や時間帯を明確にして先生に共有することが大切です。ICT支援員は非常勤のケースもあるため、サポートを依頼したいときに不在といったケースも少なくありません。先生とICT支援員との間の認識の齟齬を防ぐために、普段からコミュニケーションをとる必要があります。何時間目にどのクラスを支援しているかが分かる時間割を作成して、先生に共有するのも1つの手です。必要な先生や生徒に支援が届くように情報を周知させましょう。

情報担当以外の先生とも直接コミュニケーションを取りやすい体制を作る

ICT支援員は、学校と関わる職種の中でも特殊な仕事です。先生の疑問を直接聞いたり、サポート役として授業に参加したりできるからです。先生との交流も多いので、ICT支援員が情報担当以外の先生ともコミュニケーションを取りやすい体制を整える必要があります。ICT支援員がスムーズに先生達の輪の中に入れるように、交流の場を設けるのも1つの手です。先生側も、ICT支援員の業務内容を把握するように心がけ、お互いに理解しあえる関係を構築しましょう。

ICT支援員の導入事例

下記にて、ICT支援員の導入事例を2つ紹介します。

熊本県宇城市の環境整備支援の事例

熊本県宇城市の環境整備支援の事例を挙げると、ICT支援員は通常教育委員会に常駐しており、要請を受け次第学校を訪問する体系を導入しています。業務内容は主にサーバーのメンテナンス・ソフトウェアのインストール・ICT機器のトラブル対応など行っています。先生は、ICTに関して幅広い知識を持つ支援員のおかげで問題をスムーズに解決できます。先生の作業が大幅に軽減され、他の業務が効率よく回せるようになったと導入の効果を感じているようです。

岡山県の校務支援の事例

岡山県の公務支援の事例を挙げると、県下の全県立学校を月1回ICT支援員が訪問する体系を導入しています。業務内容はホームページやSNSの更新・情報機器の設定やトラブル対応などの業務を担っています。ICT支援員は、ホームページで公開する写真やコンテンツの更新方法について技術的なアドバイスを行います。サポートを受けた先生方は、情報の発信力が大幅に改善されたなど、ICT支援員導入の効果を感じています。

ICT支援員の配置の現状や今後の課題は?

文部科学省の調査研究を確認すると、2021年3月時点でICT支援員を配置済みの都道府県・市町村は全体の43%未満と、半数に満たないことが分かります。2022年までにICT支援員を4校に1人配置することを目標としていますが、教育委員会の80%は活用を検討しただけに留まっています。ICT支援員を配置できていない理由は、予算不足や適切な人材の確保が困難であること、事務手続きが煩雑であることです。これらの課題を解消できれば、ICT支援員の活用の場がより増えるでしょう。

まとめ

学校における授業や校務などをサポートし、ICT教育を実現させるために支援するICT支援員。ICT支援員を導入した学校の先生からは、作業が大幅に軽減されてほかの業務が効率よく回るようになったと支援員に感謝している先生が多いようです。まずは、ICT支援員の仕事内容を十分に理解することが大切です。支援員のサポートをうまく活用しながら、質の高いICT教育を実践していきましょう。

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