導入校事例

「すらら」で多様な生徒の基礎学力向上、反対を乗り越え創り上げた個別最適な学び
岡山県立岡山御津高等学校

コロナ禍でのICT整備が進んだ岡山県立岡山御津高等学校。多様な生徒を受け入れ、学力幅の拡大が課題となっていた同校では、端末の活用により個別最適な学びと教員負担の軽減を両立する方法を模索していた。そのような状況での「すらら」との出会いから現在の成果までの話を、岡祐介教諭(数学・教務主任)に聞いた。

先生の声と誠実に向き合った1年、「すらら」導入までの経緯

2021年秋、御津高等学校では経済産業省のEdTech導入補助制度により、「すらら」の利用検討が始まった。「校長指示で始まった案件のため、容易に導入できると考えていた」と岡先生は振り返る。実際、教員向けの説明会や試験導入を経てスムーズに進んでいるように思えたが、会議で学習効果や業務負担の増加につながるのではないかという懸念の声が上がり、導入決定は翌年度に持ち越されることとなった。岡先生は自身の担当科目の数学で行った実証試験の成果を用いて、学習効果や教員の負担軽減をデータとして示すことでの導入を目指した。

「すらら」には多くのテストが搭載されており、用途に応じて単元、問題数、テスト時間などを調整できる。また、テストは自動採点され、生徒ごとの解答状況に応じて自動で復習課題が配信される。岡先生はこの機能を活用し、数学の復習課題への取り組み期間を設け、取り組み期間前後の実証テストの結果を比較することで「すらら」の学習効果を示した。

 

復習課題による成績向上

 

「すらら」の活用によって実証テストでの5単元すべての正答率が向上し、一回目のテストで正答率が低かった「平方根の変形」と「有理化」では特に大きな成果が見られた。実証試験後、保護者への説明や保護者の費用負担などへの懸念もあったが、それらと一つひとつ向き合い解消していくことで2022年5月、ついに導入へと至った。

この1年を振り返り、岡先生は「今から思うと大変な一年間だったが、出てきたことを誠実に一つ一つクリアしていくことが、導入するために重要だと思う」と話す。

独自の運用により生徒の学習姿勢に効果

こうした苦労を乗り越え導入した「すらら」を、現在はどのように活用しているのか。「すらら」が導入されたキャリアデザイン科は、特別進学系列と地域協働系列の二つの系列により、進学と就職の両方に対応する学科である。学科の特徴的な学習プログラムとして、毎朝国数英の小テストを30分ずつ行う「モジュール学習」がある。中学校内容の学び直しと高校内容の基礎の定着のための施策として始まったものだが、多様な生徒が通う同校では学力幅が広がる一方であり、30分で使える教材がなく毎日のプリント作成や個別最適化は大きな業務負担となっていた。

現在、同校はモジュール学習で「すらら」のドリル機能とテスト機能を活用している。週のうち1日目を自作プリントでの授業、2〜3日目をすららドリル、4日目をテストでの学習とし、5日目に一週間の復習にあてる。前述のとおり、テスト機能は柔軟にテストを作成できたりテストの解答状況に応じて生徒個々への復習課題を出したりなどを手軽に行える。加えてドリル機能では、生徒の解答データを蓄積し根本のつまずきを分析することで、生徒個々に最適な復習を提示できる。これらの機能により、モジュール学習のためのプリント作成の効率化・省力化と個別最適な学びを両立した。

また、同校では特徴的なテストの運用を行っている。それは、生徒間での相談を許可し、復習登録をかけずに正答率が100%になるまで何度もテストを行うというものだ。この運用により生徒は粘り強くテストに取り組んでおり、他の生徒に積極的に質問する姿も見られるようになった。復習登録の有無を調整することで生徒の学習への姿勢が良い方向へ変化していると話す。

 

それぞれの方法でテストに取り組む生徒の様子

勉強への苦手意識を払しょく、生徒の喜びの声も続々と

岡山御津高等学校では、「すらら」は学力だけでなく生徒の気持ちのサポートにも効果を与えている。同校の生徒には、中学時代に勉強についていけず、高校でも勉強への意欲を失い苦手意識がある生徒が多かった。しかし、岡先生の数学の授業で「すらら」を体験した生徒からは、「しっかりと復習できるので、わからなかった所が得意になりました」「数学の時間が楽しいと感じるようになり、苦手なものを好きになれるのはすごくいいなと思った」「勉強がわかるようになり、御津に来てよかったと思います」など、勉強が楽しいという声も上がっているとのことだった。

 

岡先生に寄せられた生徒の声

 

さらなる効果の創出に向けて、他教科への活用拡大を目指す

学力や生徒の意欲などに効果がみられる同校だが、今後どのような活用を考えているのだろうか。岡先生は、「他教科を巻き込む」「担任を巻き込む」「生徒の頑張りを評価する」という3つを進めていきたいと話す。そのための施策として、1か月の学習時間と各教科の学習時間それぞれのランキングを出し、入賞者にはシールなどで表彰を行っているという。この施策によって、他の教科の学習意欲などが可視化されることで担当の先生を巻き込みやすくなる、表彰式を担任の先生に依頼することで協力的な体制をつくれる、表彰やご褒美で生徒の意欲を高められるなどの効果を期待している。

多様な生徒が通い、基礎学力向上を目指して「すらら」の活用が始まった同校。導入1年目にして、その効果は少しずつ表れている。まだ授業で使ったことはないが、すららに興味を示している先生も徐々に増えているとのことだ。他教科の先生を巻き込んだ学校全体で生徒の学びを支える体制の構築に向けて、挑戦は続く。

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