導入校事例

「学び直し」ならぬ、学びの「捉え直し」。生徒の意識を変えた「すらら」
京都府立清明高等学校

自分らしく、歩くような速さで学ぶ「アンダンテ」な学校

「アンダンテ」という音楽用語がある。「歩くような速さで」という意味だ。これを教育に置き換えるなら「自分らしく、無理のないペースで」と表現できるかもしれない。そんな「アンダンテ」な学びを掲げ実践しているのが、京都府立清明高校だ。昼間制の定時制高校で、産声を上げたのは2015年とフレッシュな学校である。

マス教育の特質上、学校という器はどうしても子どもたちに画一性や平準化を求めざるを得ない面がある。しかし本来、人はそれぞれ個性や特性を持っているものだ。学びへのアプローチも一人ひとりに適したやり方があるが、無理して他者のペースに合わせることを求められる中で、本来の魅力や才能を発揮できずいる子どもたちは少なくない。同校が目指す「学びアンダンテ」は、まさにそこへの問題提起だと言えるだろう。

マイノリティであることがマジョリティ

国語科 田島美咲教諭

 

自分の個性が一般的な学校の“枠”に合わず、義務教育でつまずいてしまった生徒や、不登校を経験してきた生徒も少なくない同校だが、田島美咲教諭(国語科)は、こんな印象的な表現でその魅力を語る。「本校では、マイノリティが当たり前なんです。マイノリティであることがマジョリティであるとも言えるでしょう。だからこそ生徒全員が気持ちよく過ごせるようにしたいのです」。

例えば、生徒のライフスタイルなどに応じて「午前コース」「午後コース」が選べることや、定期テストを廃止してこまめな単元テストを行うこと、幅広い選択科目が用意されていることなどが特徴だが、中でも「アンダンテ」な魅力を感じるのが「フレックス・スタディ」(通称フレスタ)である。

「学び直し」ではなく「学びの捉え直し」で、勉強への意識をポジティブに

フレスタは総合的な探究の時間に位置付けられた、自学自習スタイルの新しい学び直し科目だ。ビブリオバトルやゼミ学習、探究学習のほか、自由進度学習の時間などが設けられているが、同校では単なる「学び直し」ではなく「学びの捉え直し」と表現している点が興味深い。

教科学習につまずきを覚えている子どもたちの多くは、そもそも学ぶことを苦痛に感じている。だからこそ、単純に「分からないところを学び直す」だけでは足りない。彼らが学びに対して抱くバイアスから変えていくことが求められるだろう。例えば「分かった!」「できた!」といった成功体験を通して、「頑張れるかも」といったポジティブな気持ちを引き出すことである。

そのためには、教員が一方的に学習内容や学習量を指示するのは好ましくない。生徒自身が学びたいことを、学びたいときに、学びたいペースや量で学べることが大切だ。そこで同校が、自由進度学習に導入したのがAI教材の「すらら」だった。

フレックス・スタディ(フレスタ)概念図

「すらら」導入で、個別最適化された学び直しの環境を作る

すららは、生徒個々の理解度や誤答の原因などを高精度のAIが分析してくれることが最大の特徴だ。これに基づき、出題→解説→再出題などを自動で行うことができる。主要5教科で小学校~高校までの学習範囲をカバーしており、選択式・記述式といった出題形式などもAI分析の結果をもとに自動的にアレンジされるため、「たまたま正解した」などの積み残しも作らない。

一般的な「学び直し」へのアプローチとしては、習熟度別学習が挙げられるだろう。しかし田島教諭は言う。「生徒がどこにつまずいているのかは個々に違います。(成績だけで輪切りされた)習熟度別授業だけではそれをカバーしきれず、生徒の『学びの捉え直し』には至らないという課題もありました」。

つまり「個別最適化」、同校の言葉で表現するなら「アンダンテ」な学びを実現できるのが「すらら」だったというわけだ。

キャラクターによる対話型学習など、親しみやすいシステムも人気の「すらら」

「すらら」導入で、個別最適化された学び直しの環境を作る

個人で取り組むのも、仲間と一緒にやるのも自由なのが清明高校スタイル

フレスタ(自由進度学習)および「すらら」の活用において教員は、あくまでサポーターやファシリテーターに徹し「指示」はしない。生徒は、授業の最初にその日の目標を自分で設定して取り組む。科目や単元も自由だ。

フレスタ内では一定時間「すらら」の使用を推奨しているが、例えば「すらら」で分からないことがあるときに別のアプリや教科書で調べたり、別の練習問題に取り組んだりするなど、使い方は生徒の判断に委ねている。他校では、きっちりと「すららの時間」を設定して運用している事例も多く、それはそれで効果的なアプローチだが、徹底して生徒の自由意思を尊重している点は実に同校らしい。

フレスタでは、個人で黙々と勉強する「Aタイプ」、教員からサポートを受けながら勉強する「Bタイプ」、クラスメイトらと協働する「Cタイプ」を設定し、教室を分けて対応しているが、その中での「すらら」の使い方も生徒に委ねている。基本的には個人で取り組む生徒が大半だが、分からないところを教え合う生徒や、1台の端末(すらら)をグループで使いながら協力して問題を解く生徒たちもいると言う。生徒の姿勢だけでなく、教員の授業の作り方にも変化が生まれる。

生徒の姿勢だけでなく、教員の授業の作り方にも変化が生まれる

「すらら」を導入して1年強、生徒の変容に「確かな手応えを感じる」と田島教諭。「タブレットで学べるだけでも勉強への抵抗感は減るようです。教科書に比べたら『学習ツールを開く』という癖が身に着いたと感じます。『レクチャーが丁寧で分かりやすい』という声も多いですね。アンケートでも満足度の高い数値が出ていました」。

教員の負担減という意味でも助かっている。「個々の生徒に向けて問題作成をしなくてすみますし、生徒も自由に選んで学べます。『社会科しかやらない』という生徒もいますが、それでいいと思うのです。まずは『学びの捉え直し』ですから」。また、こうした学び方が定着してきたことで、授業の構成を見直す教員も増えた。「押し付けない授業」を意識するようになったそうだ。
今後はアネックス(保健室登校など)にも対応できるよう、利活用の幅も広げたいという同校。合言葉は「学びを止めない」だ。

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