導入校事例

生徒と学びの距離感を近づける「すらら」、全学年を盛り上げた3つの仕掛け
岡山県立和気閑谷高等学校

江戸時代からの流れを汲む岡山県立和気閑谷高等学校。源流となる旧閑谷学校の設立から350年を越える歴史を持ち、“誰でも教育を受けるべき”という信念が脈々と継承されている。

現在、すららネットが提供するAI教材「すらら」を活用した学習を推進中。学校全体の活動の一部に組み入れるなど、生徒の学習意欲を引き出すさまざまな仕掛けを展開している。同校が実践する主に3つの「すらら」活用法を紹介する。

岡山県立和気閑谷高等学校

長年の課題は、学習習慣と基礎学力の定着

普通科とキャリア探求科を置く同校。普通科には特別進学系 文・理と協働探究系がある。協働探求究系は、週に1日6~7時間を通して地域協働研究の授業があるなど、体験的活動に積極的に参加し進路意識の向上を目指す。キャリア探求科は、生徒が望む進路実現を目指して、福祉系、流通系、会計系のコースが用意されている。
多様な生徒が在籍するという同校。定員は普通科が80人、キャリア探求科が40人。小規模な特性を活かした少人数での授業展開ができるため、生徒一人ひとりへの指導に力を注いでいる。その中において、長年の課題は「学習習慣」と「中学校レベルからの基礎学力の定着」。生徒にどのような学習法が適しているか、さまざまな工夫を図っているところだという。

「すらら」で生徒の学習意欲を引き出す仕掛け

2018年から生徒用端末にiPadを順次導入。その後、コロナ禍の影響やGIGAスクール構想の流れを受けてChromebook を採用し、2023年度には全学年がChromebookで統一された。同年度からAI機能を搭載した対話型のデジタル教材「すらら」を本格導入しており、同校では主に「週末課題」「学力診断テスト」「校内すららカップ」の3つの活用法が浸透している。

◆20分程度の「週末課題」

毎週末、金曜日に1教科10分程度の課題を配信している。「すらら」に搭載されているE-te機能(教員が「すらら」上でテスト問題を作成・出題でき、ペーパーテストの電子化、採点作業の削減、テスト結果をクラウド上で管理する機能)を使って、国数英理社のうち2教科ずつを週替わりで配信するスタイル。合わせて20分程度の学習を行っている。

出題内容は各教科の担当教員に任せているが、基本的には中学内容であり、基礎学力の補填または授業内容に繋がるような内容を取り上げている。
この20分は生徒が授業以外で学習に向かうための一歩。まずは楽しく学べるよう、また生徒の学習に対する距離感をいかに近づけて行えるかを考慮し、時間設定や仕掛けを一つ一つ設定しているという。

◆3学年統一で行う「学力診断テスト」

植田雅也教諭(数学科・3年生 ICT広報委員会・生徒会 運営 担当

「すらら」による「学力診断テスト」も実施。同校の特徴は、「3学年統一」で同じ内容のテストを行っていることだ。

「全学年で中学内容の全く同じテストをします。1年生でも3年生に勝てることはありますし、逆に3年生は下級生に負けないように頑張るといった関係性を作り出せます。成績上位者は教室に掲示することで、『今回、◯◯さんが何位だった』『あの1年生すごいね』と学習への意欲づけができたらと思っています」と植田雅也教諭(数学科・3年生担当)は話す。

もう1つの仕掛けとして、年間で繰り返し、同じ内容のテストを行っている。「本来であれば、たとえば2回目は難易度をやや上げた内容にするところ、本校の生徒は勉強がそれほど得意ではないこともあり、同じテストを再度することで『できなかったところができるようになった』という感覚を覚えてほしい思いがあります」。

福田裕也教諭(数学科・1年生 教務課 研究開発室 室長)

福田裕也教諭(数学科・1年生担当)も、「国数英の3教科を夏休み明けと冬休み明けに行うサイクルとしました。学力診断テストに繋がる課題を配信したりしています」と語る。成績結果が掲示されるため、それを楽しむ1年生の姿も見られるなど学習意欲がプラスに働いているようだという。頑張った分だけ成果が出ること、自分自身の“伸び”を感じてほしいとの思いが実現できている様子だ。

◆年間で競い合う行事に「校内すららカップ」

テストの点数や偏差値ではなく、学習した総時間を“努力の量”として競い合う「すららカップ」。同校ではその学校版である「校内すららカップ」を取り入れている。生徒個人が学習した時間またはクリアしたユニット数を集計し、各学年と3学年全体の2部門でランキングにしている。

同校ではこの「校内すららカップ」を、ICT広報委員会に所属する生徒たちが中心となって進めているという。盛り上げるために講じた策の1つが、各クラスによるポスター作成。「校内すららカップ」への意気込みなどを綴ったポスターを各クラスで作成してもらい、校内の壁に掲示して学校全体で士気を高めた。その中には「先生賞」として、ランキング上位者に「先生と一緒にフリースロー対決ができる権」といった“景品”も掲出されるなど、生徒のやる気をくすぐる特典も盛り込まれた。

さらに、ユニークな仕掛けが「年間ブロック計画」と称した企画だ。ブロックとは、体育祭や文化祭などで見られる、3学年のクラスを縦割りで編成したグループ分けのこと。例年、そのシーズンだけはブロックに一体感が出るが、それで終わってしまうのは勿体ない。そこで、これを1年間のスパンに延ばしたらどうなるかと2023年度から開始した取り組みだという。

全学年で取り組んでいる「年間ブロック計画」

加算対象に「校内すららカップ」も加えて実施

各クラスの平均学習時間をブロック単位で加算

年間の総合得点で優勝ブロックが決定

「年間ブロック計画」には、ブロックが一致団結してポイント数を獲得し優勝を目指すさまざまなイベントが組み込まれている。学校行事のほか、体育委員会は「マラソン大会」、図書委員会は「本の貸出冊数集計」といった具合に、生徒による委員会活動からも各種イベントとして採点基準を設けて加算対象とし、獲得した点数を「加算」していく仕組み。

この中の1つに「校内すららカップ」も組み込んだ。「校内すららカップ」を頑張れば、生徒個人では「先生賞」を獲得できたり、表彰されたり。クラス単位では自分が属するブロックの獲得点数となり優勝に近けるという動機付けにもなる。

初開催となった今回だが、表彰式は大いに盛り上がったという。個人で表彰を受けた生徒の活躍には、他の生徒からどよめきが起こる場面もあった。「『こうすれば年度末にみんなで盛り上がれるのか』と生徒たちはここでわかったと思います」と植田教諭。次年度に繋がる大きな手応えが感じられたようだ。

生きていく力を身につけるために、成績にもこだわりたい

「すらら」で新たな学習機会を創出している同校。今では休み時間や授業外の時間に、気になった問題をクリアしようと自主的に「すらら」を開く生徒の姿も増えてきた。長年の課題である学習習慣が広がり始めているようだ。

福田教諭は、「『すらら』はゲーム感覚で触れるので、勉強が苦手でも学習時間が伸びている生徒はいて効果を感じています。一方で、なかなか学習に取り組めない生徒のモチベーションについては課題が残るところ。問題の精査や学習法のブラッシュアップ、また学力診断テストでは高校レベルでの活用も検証していきたいです」と今後の展望を語る。

植田教諭は、生徒の学びを広く捉えたいという。「特に本校は協働探究系があるので、生徒が地域に出た時に学習したことが役立っていなければ意味がありません。だからこそ成績にはこだわりたい。来年度のテーマは『復習』。やりっぱなしにしないことを解決したいです」と力を込めた。新たな目標を掲げ、次年度以降も着実に発展させていく意向だ。

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