2021年10月に厚生労働省で開かれた「障がい児通所支援の在り方に関する検討会」において、放課後等デイサービスの今後の方向性に関する議論が行…
放課後等デイサービスは、2012年に始まった障がい福祉サービスの1つです。6〜18歳の障がいのある就学児童が放課後や長期休み等に利用でき、生活に必要な基本動作の訓練をおこなったり自立に向けた支援を受けたりします。
子どもの発達を支える重要な施設であるのはもちろん、共働きの家庭が増える現在では保護者にとっても欠かせない存在になっているでしょう。
しかし、適切な支援をおこなわない施設や報酬の不正請求をおこなう事業所も見つかっており、たびたび問題になってきました。そういった悪徳業者の参入を阻止し、質の良い施設だけが運営を続けられるように法改正をおこなってきましたが、未だに完全に排除できたとは言えません。
今回の記事では、放課後等デイサービスで過去に起きた問題を紹介します。また、対策としておこなわれた法改正や放課後等デイサービスを選ぶ際のポイントも解説していくのでぜひ参考にしてください。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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放課後等デイサービスの闇とは?過去にあった問題
全国の放課後等デイサービスでは、これまでに以下のような問題が発覚しています。
【放課後等デイサービスで過去にあった問題】
- 報酬の不正請求
- 個別の支援計画を作成しなかった
- 子どもへの虐待
こういった問題が起きた事業所は、自治体から行政処分を受けることになります。数ヶ月の営業停止処分を受けたり、中には指定取り消し処分によって閉鎖を余儀なくされるケースも少なくありません。それぞれの問題について詳細を見ていきましょう。
報酬の不正請求
京都府の放課後等デイサービスでは、児童発達管理責任者が不在になったにも関わらず、報告をおこなわずに不正請求したとして2019年に6ヶ月の新規利用者受け入れ停止処分が下されたケースがありました。
また同年に埼玉県では、実際に利用していない子どもが通っているように見せかけて給付費を不正請求し、指定取り消し処分が下されています。
放課後等デイサービスでは、安全に子どもたちを預かり適切なサービスが提供できるように、以下のような職員の人員基準が定められています。
職種 | 配置人数 | 常勤要件 |
管理者 | 1人以上 | なし(業務に支障がなければ兼務可能) |
児童発達支援管理責任者 | 1人以上 | あり(常勤かつ専従) |
児童指導員・保育士 | 子ども10人に対して2名配置。 その後は子どもが5人以内増えるごとに1名追加。 |
あり(1人以上) |
この人員基準を満たしていないのに、虚偽の報告によって不正に報酬を得ようとするケースは後を絶たず、発覚しているのは氷山の一角だとも言われるほどです。
個別の支援計画を作成しなかった
愛知県の放課後等デイサービスでは児童発達支援管理責任者を配置せず、その間個別の支援計画を作成しませんでした。他にも度重なる不正受給や虚偽答弁により、2019年に指定取り消し処分を受けています。
放課後等デイサービスでは個別の支援計画を作成しなければなりません。個別の支援計画とは、障がいのある子どもが長期的に教育的支援を受けられるように作成する計画書です。学校や保護者と連携を図れるように内容を共有し、次年度にも引き継ぎます。
個別の支援計画書がないと「その年にどういった支援をおこなったのか」「次年度は何を課題とするのか」など様々なことが分からず、適切なサービスを提供できません。
子どもへの虐待
放課後等デイサービスに通う障がい児の中には、会話や意思疎通が難しい子もいます。そういった子どもに対して「しつけ」という名目で、暴力を振るったり暴言を吐いたりする事業所も発覚しています。
大阪府にある放課後等デイサービスでは、2021年に施設経営の男が子どもたちに暴行を加えた後、オーナーがその事実を隠蔽しようと他の職員を脅迫していたとして、2名とも逮捕されました。
神奈川県川崎市では、2021年に2つの放課後等デイサービスで虐待が発覚しています。子どもの首をつかんで部屋に放り投げたり、ズボンを下ろしたりした職員がいたことが分かり、1つの施設は指定取り消し処分、もう1つの施設は6ヶ月の営業停止処分を受けました。
こういった虐待は関係者からの通報で発覚するケースが多いですが、子どもたちが声を上げるのは難しく発見が遅れてしまう傾向にあります。
悪質な放課後等デイサービスへの対策で法改正がおこなわれている
ここまで紹介してきたような悪質な放課後等デイサービスを排除しようと、これまでも法改正がおこなわれてきました。また、質の高いサービスを提供する事業所の待遇を改善できるように、政府が取り組みをおこなっています。
例えば、2024年の法改正では預かりや学習支援等に特化した事業所は公費の対象外となる予定です。適切な発達支援をおこなわずにテレビを見せるだけであったり、宿題のサポートをするだけであったりする施設は報酬を得られなくなり、閉鎖に追い込まれるでしょう。
さらに、これまでの運営指針に基づき幅広い活動をおこなう「総合支援型」と、理学療法など専門性の高い支援に特化した「特定プログラム特化型」の2種類に分けられます。どちらにも分類されないサービスを提供している場合、事業所を続けていくのは困難です。
このように現在も国が政策を立てているため、今後はさらに悪質な事業所はつぶれていくでしょう。そしてより質の高いサービスを提供できる事業所のみが生き残れるようになっていくと考えられます。
悪質な事業所を避ける!放課後等デイサービスを選ぶ際のポイント
悪質な事業所を避け、より子どもに適した放課後等デイサービスを選ぶために以下のポイントに気をつけましょう。
【放課後等デイサービスを選ぶ際のポイント】
- 事業所の理念・特色を調べて比較する
- 放課後等デイサービスに通う目的を考えて選ぶ
- 親子で実際に見学に行く
特に療育に力を入れている事業所や条件の良い施設は人気が高く、すぐに入所できない可能性もあります。利用を検討している場合はすぐに申し込まなくても、通える範囲の放課後等デイサービスに関する情報を集めておくのがおすすめです。
ここからはそれぞれのポイントについて詳しく解説します。
事業所の理念・特色を調べて比較する
現在は良くも悪くも支援内容に規制があまりない状態なので、事業所によって掲げている理念やサービスの特色は様々です。例として、「子どもの個性を大切にし、良いところを伸ばす」「様々な体験を通し、子どものできた!という気持ちを大切にする」などの運営理念が見られます。
サービスの特色も施設によって様々です。子どもの発達を促す療育に力を入れている事業所もあれば、体を動かしたり様々な体験ができたりすることに重点を置いているところもあります。
まずは通える範囲の放課後等デイサービスに関して理念や特色をまとめて、それぞれを比較してみましょう。
放課後等デイサービスに通う目的を考えて選ぶ
次に、放課後等デイサービスに通う目的を整理しましょう。学校の先生・スクールカウンセラー・発達支援センターの先生などにも相談し、意見を参考にすると良いです。
例えば、「学習や運動に取り組む際につまずいてしまうと上手く切り替えられない」というケースなら、様々な課題との向き合い方を訓練できるようにプログラムを用意している事業所が向いているでしょう。
「友達とのコミュニケーションが難しい」という場合は、集団での取り組みをおこなっておりスタッフによる手厚い見守りがある施設が良いと考えられます。
このように子どもの目指す姿から放課後等デイサービスに通う目的を決め、より子どもに合った施設を選ぶようにしましょう。
親子で実際に見学に行く
ホームページや口コミから様々な情報が得られますが、実際の教室の雰囲気は見てみないと分かりません。サービスをおこなっている場を見学してみると、「想像していた内容ではなかった」「なんとなく雰囲気が子どもに合わない」ということもあります。
そのため、候補に挙げている事業所は申し込む前に必ず見学しておきましょう。実際の支援の様子を見ながら説明を聞けることで保護者も安心できるうえに、子どもが気に入る施設が見つかると「やってみようかな」「通いたい」と前向きな気持ちになれます。
見学の際に重要なのが、施設全体の様子をチェックすることです。「通っている子どもたちの表情は暗くないか」「整理整頓はされているか」「スタッフの人数は十分か」「子どもの障がい・特性に配慮された環境か」などを確認することで安心して通える施設かどうか分かります。
放課後等デイサービスに関するよくある質問
最後に放課後等デイサービスに関するよくある質問に答えます。
【放課後等デイサービスに関するよくある質問】
- ダメな放課後等デイサービスの特徴は?
- 放課後等デイサービスは最悪?
疑問や不安に思うことがあればぜひ解決に役立ててください。
ダメな放課後等デイサービスの特徴は?
選ぶべきでない放課後等デイサービスには、主に以下のような特徴があります。
【ダメな放課後等デイサービスの特徴】
- スタッフの入れ替わりが多い
- 施設の中が整理整頓されておらず、散らかっている
- けがや忘れ物、トラブル等の報告がない
スタッフの入れ替わりが多いということは労働環境が悪い可能性が高く、子どもに適切なサポートがおこなわれていない確率が高いです。また、理解のあるスタッフからの継続した支援が受けられず、なかなか安心して通えないでしょう。
施設の中が散らかっているのは、スタッフがそこまで気が回っていない証拠です。子どもの安全や衛生面を考慮したら必ず教室を綺麗に保とうとするはずなので、汚い施設は注意しましょう。
けが・忘れ物・トラブルがあったにも関わらず、報告やケアのない事業所には不信感を抱いてしまいます。しっかりした施設なら必ず報告や相談があるはずです。
こういった事業所とは反対に、良い放課後等デイサービスには以下のような特徴が見られます。
【良い放課後等デイサービスの特徴】
- 理学療法士等の専門的なスタッフを置いている
- 個別の支援計画が分かりやすく作成されており、丁寧な説明がある
- 保護者や学校との連携を大切にしている
良い放課後等デイサービスは、人数配置ギリギリで運営するのではなく、より支援の質を高められるようにプラスで専門的なスタッフを置いていることが多いです。こういった施設では療育の内容も充実しており、より個々にあった支援が受けられます。
放課後等デイサービスは最悪?
残念ながら中には悪質な事業所もあり、ニュースで見かけるとどうしてもその内容に目が向いてしまいます。しかし、多くの事業所ではしっかり経営をおこない、子どもたちが安心して通える教室運営を目指しているのが事実です。
それでも不安な場合は実際に見学に行き、支援方法・方針などを聞いたり施設の様子を確認したりすることで、安心して通える放課後等デイサービスを見つけましょう。
まとめ:悪質な事業所の排除に向けて法改正が進んでいる!より安心して通える子どもに適した放課後等デイサービスを見つけよう!
放課後等デイサービスは子どもの発達を支える施設です。また、子どもに限らず保護者のケアもおこない、地域の障がい児支援の中心的役割も担っています。そういった様々な役割を果たせるように細かな人員配置が定められており、個別の支援計画を作成することが求められています。
しかし、残念ながら中には悪質な事業所もあり、不正請求や虐待をおこなったり個別の支援計画を作成しなかったりして、これまでに行政処分を受けた放課後等デイサービスも少なくありません。
こういった事業所を排除するために国は法改正を進め、より質の高い事業所だけが生き残れるように工夫を続けています。今後はますます安全に放課後等デイサービスを選べるようになっていくでしょう。
少しでも不安を減らせるよう、利用を検討している場合は事前に情報を集め、実際に親子で教室の見学をしてから通う施設を決めるようにしてください。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
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