「教育DXとは、具体的にどのような内容?」
「DXで教育現場がどのように変化するの?」
上記のような疑問を抱く人もいるでしょう。DXはビジネスでよく使われる言葉ですが、教育にも導入されようとしています。新しい試みなので初めて聞く人もいるのではないでしょうか。今回は、教育DXについてGIGAスクール構想との関係や、教育でも推進された理由を分かりやすく解説します。教育DXを推進するメリットや課題について徹底解説。便利なツールも紹介しますので、詳しく知りたい人は最後までご覧ください。
教育DXとは?GIGAスクール構想との関係も解説
教育DXを理解するには、GIGAスクール構想との関係を知る必要があります。教育DXの具体的な内容やGIGAスクール構想との関係を解説します。
教育DXとはデータやテクノロジーで教育を変革させること
教育DXとは、データやテクノロジーを使い教育を変化させることを意味します。DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、デジタルを駆使して企業の競争力を上げる目的で使われる言葉です。ビジネスを強化するため、企業はITシステムを活用したDXに取り組んでいます。教育現場にもDXで変革を起こす動向が見られます。データやデジタル技術を導入して指導方法を変え、より良い学習につなげるのが狙いです。
教育DXは「教育のデジタル化」とはどう違う?
両者の違いは、デジタル機器や教材を導入したその先を見据えているかどうかです。GIGAスクール構想により、1人1台の端末配布と高速通信ネットワークの設置が進みました。しかし、デジタル技術を教師が授業に取り入れなければ、教育変革には至りません。教師がITリテラシーと指導技術を身に付け、日々の授業で積極的に活用することが必要です。
教育DXの目的は個人にあった教育・指導
教育DXでは、個人にあった教育や指導を行うことを目的としています。従来の教育では難しかった部分をデジタル活用で補い、個人に合った学びを行うように工夫する狙いがあります。教室で行う一斉授業は、同じ内容を同じ速度で教えるのが主流でした。しかし、習熟度や理解にかかる時間には個人差があります。より個人にあわせた学習を行う必要性が増したこともDX推進の一因です。
教育DXの推進を大きく後押しした「GIGAスクール構想」
教育DXの推進を、大きく後押ししたのがGIGAスクール構想です。教育DXを進める上で、一人ひとりが使えるICT機器とネット環境が重要だったためです。教育の平等はデジタル活用にも当てはまり、学習環境が整っていなければなりません。生徒全員が同じ環境で使えるICT環境が整ったことで、授業や個別学習にデジタル活用を行いやすくなりました。基本的なICT環境の整備が土台となり、教育DXの推進にもつながったと言えるでしょう。
教育現場でDXが必要な理由は3つ
教育DXが求められるのには理由があります。ここでは、主な理由を3つに絞り詳しく解説していきます。
①DX推進による社会全体のデジタル化に対応するため
教育現場でのDXが求められる理由のひとつに、社会全体のデジタル化に対応できる人材の育成が急務であることが挙げられます。社会がDX推進に向かっている現在、学校時代からデジタルを使える技術が必要です。そのため、学校にもデジタルを活用した教育が求められます。教員もデジタル化に対応し、指導内容を変えていかなければなりません。
②コロナ禍によるリモート授業の需要が拡大しているため
コロナ禍で需要が増えたリモート授業に対応するため、デジタル活用が推進されたのも理由です。コロナウイルスによる臨時休校が続き、従来の対面学習ができない事態となりました。リモート授業を行う学校もありましたが、教員側の知識や準備不足のため、うまく活用できなかった実態も。GIGAスクール構想が急速に進んだことで、ICT環境の問題はクリアしました。これからは、リモート授業の充実やデジタル教材などの活用が求められています。
③文部科学省が推進しているため
教育DXを文部科学省が主導して進めているのも理由のひとつです。ICTを活用できる人材育成のため、教育に取り入れる目的があります。国の「AI戦略 2019」では、デジタル社会の基礎知識として「数理・データサイエンス・AI」を挙げています。文部科学省では、高校卒業者全員が3つの基礎知識を習得することを目標化。AIなどの専門分野で活躍できる人材を育成する計画を打ち出しました。今後さらにDXが普及することを考えると、仕事でのデータやデジタル技術の活用が必須です。ICTを使いこなせる人材を育成するには、学校教育でも積極的にDXを取り入れる必要があります。
文部科学省が推進している教育DX推進プランを解説
文部科学省で作成している教育DX推進プランはどのような内容なのでしょうか。ここでは、文部科学省が進めようとしている教育DX推進プランを詳しく解説します。
DX推進の背景にあるのは日本のデジタル化の遅れ
教育のデジタル化を急ぐのは、日本が世界と比べてデジタル化が遅れているという背景があります。2018年のOECD「生徒の学習到達度調査」 では、教室の授業でデジタル機器を使う時間を調べています。日本の使用時間は、どの教科でもOECD平均より低く、世界的に見てもデジタル化が遅れていることが明らかとなりました。国際的学力テストや資格試験などもデジタルに移行している実態を踏まえ、教育DXの導入が急速に進められています。
文部科学省の教育DX推進プランとは?
2020年に文部科学省が「文部科学省におけるデジタル化推進プラン」を発表しました。さらに、2022年にはデジタル庁や総務省、経済産業省と連携し「教育データ利活用ロードマップ」を発表しています。どのようなプランなのか、内容を分かりやすく解説します。
初等中等教育:学校ICT環境の整備・GIGAスクール構想の加速化
小・中学校での主なプランは、ICT環境整備とGIGAスクール構想加速化です。1人1台のICT機器を配布した上で、デジタル教材やMEXCBTを使い、個人に合わせた学習や協働的な学びに活用します。
高等教育:DX推進による社会を牽引する人材の育成
高校や専門学校、大学教育ではDXが進む社会に対応できる人材を育てることを目標にしています。内閣府の「AI戦略 2019」 で掲げている高等教育の目標は以下2点です。
・⽂系・理系問わず、AIリテラシー教育を展開(年間50万人)
・⼤学・⾼専⽣が⾃らの専⾨分野とかけ合わせたAIの応⽤⼒を習得(年間25万人)
AIを活用できる人材を育てるため、重点的にAIリテラシー教育を行います。6つの大学を拠点校とし、全国の大学を連携させて目標達成を目指しています。
教育DXを進めるメリット3選
教育DXでどのようなメリットがあるか知りたい人もいるでしょう。主なメリット3つを分かりやすく解説します。
メリット①学生一人ひとりに合わせた教育・指導が可能
教育のDXが進むことで、学生一人ひとりに合わせた指導が行われるようになります。従来の学習方法では、教師が教室で同時に教えるのが主流でした。クラスの生徒に同じ内容を教えるので、個人にあっているとはいえなかったのです。デジタル教材などを活用すれば、個人のスピードにあった学習が可能です。生徒の能力や理解度にあった問題に、学年関係なく取り組めるようになります。目立たない子を見落とさず、個別指導ができるのが大きなメリットです。
メリット②教員の事務作業の軽減・効率化
教育DXにより、授業以外の事務作業を軽くしたり効率化したりする効果が期待できます。OECDが行った「TALIS 2018」 では、日本の教員の勤務時間が参加国最長でした。勤務時間の決まりはあるものの、実態として守れる状況ではありません。生徒が来る前から出勤し、遅くまで指導を行うのが常態化しています。DX推進により、成績処理や問題作成などが効率よく行われます。余裕ができた分を教材研究にあてたり、早く帰宅できるようになったりと、大きな導入メリットが期待できます。
メリット③場所を選ばない教育・学習の実現
デジタル活用で、勉強する場所を限定せず、どこでも個人にあった学びを提供できる強みがあります。感染症などによる休校や不登校への対応など、教室で教えるだけの教育では個別対応しきれないケースが増えてきました。ICT端末を使えば、学校で学習できない場合でもすべての生徒に等しく学ぶ機会を与えることが可能です。
教育DXには課題も。対策法もあわせて解説
メリットの高い教育DXですが、課題も見えてきました。どのような課題があるのか、対策法もあわせて分かりやすく解説します。
課題①インフラを整備するのが難しい
教育DXの推進において、ICT機器やインターネット環境など、適切にインフラを整備することが課題のひとつです。GIGAスクール構想で端末や学校のインターネット回線の整備が進みました。しかし、授業に動画視聴を取り入れようとしても、動画が途切れてしまって使えないパターンも。全校生徒が使っても安定した通信を維持できるようなインフラ整備が課題となります。
課題②教育者のITツール活用経験が少ない
ITツール活用経験が少ない教員がいるのも課題です。新しい教育方法をどんどん取り入れる教員もいる反面、従来の一斉授業スタイルから転換できない教員も見られます。2024年度には、デジタル教科書の本格導入も始まります。教育DXはデジタルによる教育変革を目指すものと理解し、教員がさらなる研鑽を積むことが求められます。
教育DXにはツールの活用もおすすめ
教育DX推進にはオンライン学習やデジタル教材などのツール活用が必須です。高知県の県立高校では、AI×アダプティブラーニング「すらら」と独自の学習eポータルの連携がスタートしています。 「すらら」には対話型アニメーション講座があり、突然の休校などで授業ができない場合でも新しい単元を学ぶことができます。AIドリルには難易度コントロールやつまづき分析機能も搭載。学力診断テストにより、学習定着度合をチェックでき、成績処理も簡単です。国が進めるMEXCBTと「すらら」の活用で、個別最適な学びが可能となります。詳しくは株式会社すららネットの公式サイト をご覧ください。
まとめ
教育DXはデジタル機器や教材などの利点を生かし、どこでも個別最適な学習を行う目的があります。GIGAスクール構想で進んだデジタル化を生かし、ICTを使った授業力の向上など学校現場での活用が求められています。教育DXにはデジタル教材などの支援ツールが欠かせません。AIドリルやアダプティブ学習、マネジメント機能が充実している「すらら」の導入がおすすめです。生徒の学びはもちろん、教師の成績管理も詳細に把握できます。
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