年内入試とは?総合型選抜・学校推薦型選抜の傾向と対策を解説

2025/11/14(金)

進路・キャリア教育

2020年度より新たに制定された年内入試とは、総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(推薦入試)のことです。新たな入試制度として、疑問を抱える教員の方も多くいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、年内入試の概要や受験方式、近年の傾向、メリット、注意点などを分かりやすく解説していきます。

年内入試とは総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(推薦入試)のこと


年内入試とは、総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(推薦入試)のことを指します。9〜12月に試験を実施し合否判定が出ることが多く、一般選抜に比べて早いタイミングで行われます。

2021年度に年内入試を受けた学生の入学者数割合は以下のとおりです。

  • 総合型:約7万7千人(12.7%)
  • 推薦型:約23万1千人(37.6%)

年内入試は、合計で過半数を超えるほど、受験者数が増えています。ここからは、一般化されつつある総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(推薦入試)の概要について解説していきます。

総合型選抜(旧AO入試)とは

総合型選抜(旧AO入試)とは、多くの私立大学が実施している入試形式のことで、以前まではAO入試と呼ばれていました。総合型選抜の概要は以下のとおりです。

試験内容小論文・プレゼンテーション・口頭試問・実技・各教科の科目に係るテスト・資格や検定試験
入試日程【私立大学】
出願:9月1日以降(エントリー:6~7月)
【国公立大学】
出願:9月1日以降
合格発表【私立大学】
11月1日以降
【国公立大学】
11月1日以降
共通テストの受験が必要になる大学は、共通テスト後に合格発表。その場合の発表期限は2023年2月8日
特徴学力だけで合否判定されるわけでなく、分野を目指すことに関する入学志願者の意欲や適性などを重視した評価・判定になる。
試験内容も各分野・各大学によって異なり、専門性が求められる大学もある。

総合型選抜は、入試日程が一般入試よりも早くなります。合格発表も年内に行われるため、進路が早く決定するのが特徴です。また、筆記試験だけでなくプレゼンテーションや口頭試問など、専門的な内容を試験内容として実施する大学もあります。

学校推薦型選抜(推薦入試)とは

学校推薦型選抜(推薦入試)とは、スポーツや文化活動などで高い実績や評価を獲得している生徒を学校長が推薦する入試制度のことです。学校推薦型選抜(推薦入試)の概要は以下のとおりです。

試験内容分野に関する教科・科目の学力検査の成績・評価方法等または大学入学共通テスト・小論文・面接・資格・検定試験
入試日程【私立大学】
出願:11月1日以降
【国公立大学】
出願:11月1日以降
合格発表【私立大学】
12月1日以降
【国公立大学】
12月1日以降
共通テストの受験が必要になる大学は、共通テスト後に合格発表
その場合の発表期限は2023年2月8日
特徴公募制一般選抜と公募制特別推薦選抜に分かれる。
公募制一般選抜は、本人が希望し学校長が推薦すれば誰でも志望できる入試制度のこと。
公募制特別推薦選抜は、スポーツや文化活動などで評価を得た生徒を学校長が推薦する入試制度のこと。

学校推薦型選抜は、総合型選抜よりも1カ月程度ずらしたタイミングで実施されます。学校長の推薦さえあれば受けられる試験です。

とはいえ、推薦してもらうために学校内で競争があったり、実績や評価をアピールしたりする必要があります。そのため、学校から選ばれた学生のみが受けられる試験といえます。

年内入試による大学入学者数は増加している


国公立・私立問わず、年内入試による大学入学者数は年々増加傾向にあります。例えば、総合型選抜の入学者数を見ると、令和2年度65,041人(10.4%)に対し、令和3年度は77,921人(12.7%)と2.5%増加しています。

また、学校推薦型選抜は平成31年度227,006人(36.8%)に対し、令和2年度は239,364人(37.6)と約1万人の学生が入学しています。数値的にみると年約1万人ペースで増えており、総合型と学校推薦型選抜を合わせると過半数の入学者数を超えているのが年内入試の現状です。

国公立・私立の年内入試の傾向

ここからは、国公立・私立の年内入試の傾向について解説していきます。1つずつ見ていきましょう。

国公立大学の年内入試の傾向


国公立大学の年内入試は、総合型選抜と学校推薦型選抜によって大きく異なります。試験日や試験内容、試験方法についてそれぞれ解説していきます。

総合型選抜

国公立大学の総合型選抜は、出願が9〜10月、合格発表が11〜12月下旬といった入試日程が一般的です。出願条件はそれほど厳しくはありませんが、まれに全国大会の入賞者や有資格者などの制限が求められることがあります。

試験内容としては、1次・2次と選考方法が分かれているケースが多く、選考にも時間がかかる傾向にあります。受験生側も入念な試験対策が必要になるため、労力がかかる試験といえるでしょう。

学校推薦型選抜

国公立大学の学校推薦型選抜は、国公立大学の全体9割以上の大学が導入している試験方法です。難易度の高い国公立大学でも導入されていますが、私立大学と比較すると募集人数は少なく、入試条件も厳しい形を取っているケースが多い傾向にあります。

国公立大学の学校推薦型選抜の試験方法は、プレゼンテーションや口頭試問、実技、教科・科目に係るテストなど多岐にわたります。また、学力を確認するために、共通テストを課す大学が増加傾向にあります。

私立大学の年内入試の傾向

私立大学の年内入試も国公立大学と同様、総合型選抜と学校推薦型選抜によって大きく異なります。

総合型選抜

私立大学の総合型選抜は、それぞれの大学によって試験内容の特性が異なっています。例えば、私立難関大学では1次試験に書類審査、2次試験に小論文・面接といった一般的な試験に加えて、セミナーやスクーリングの実施などさまざまな試験内容が盛り込まれています。

最近では、オンライン試験を導入している私立大学も増えています。オンライン試験の場合は、書類審査が厳しくなるため、書類の作り込みが必要になるでしょう。私立大学の総合型選抜は、早い時期に合否が決定します。そのため、私立大学の総合型選抜を考えているのであれば、進路や適性などをしっかりと考えておく必要があります。

学校推薦型選抜

私立大学の学校推薦型は、国公立大学の学校推薦型よりも出願条件は厳しくありません。大学によっては、成績基準を設けない大学もあります。

私立大学の学校推薦型選抜の試験内容は、小論文や適性検査、面接などと書類審査が組み合わされています。学力よりも専門的な内容が求められる試験を行っているのが、私立大学の学校推薦型の特徴です。

年内入試を利用して大学を受験するメリット


年内入試を利用することで、早い時期に進路が決まったり、学力以外の能力を評価してもらえたりと、大学受験をする際にさまざまなメリットを感じられます。また、年内入試は早いタイミングでの試験終了になるため、不合格になっても他の方式の受験チャンスがあります。

早い時期に進路が決まる

年内入試を利用することで、早い時期に進路が決まります。年内入試は、基本的に11〜12月の間に合格発表が行われます。合格していれば、入学まで他大学を受験する必要がありません。そのため、受験にかかる費用を抑えられます。

また、早い時期に進路が決まれば空いた時間で資格を取得したり、趣味に熱中したりなど好きなように時間を使えるでしょう。

学力以外の能力を評価してもらえる

年内入試を利用して大学を受験すれば、学力以外の能力を評価してもらえます。先述したとおり、私立・国公立大学の総合型選抜や学校推薦選抜の試験内容では、小論文やプレゼンテーション、口頭試問など学力に関係ない部分が試験に取り入れられています。

また、学力だけではなく総合的な能力を評価した上で合否判定を行う大学も増えつつあるため、学力に自信がない生徒でも合格する可能性はあるといえるでしょう。

不合格になっても他の方式の受験チャンスがある

年内入試を利用して大学を受験すれば、不合格になっても他の方式での受験チャンスがあります。年内入試は、11〜12月の間に合格発表が行われるため、不合格だったとしても年明けの入試には間に合います。

しかし、一般入試の試験内容は学力試験がメインになるため「絶対にこの大学に受かりたい」といった強い気持ちで勉強しておく必要があります。受験の回数が増えることにチャンスを感じている方は、年内入試の受験がおすすめです。

生徒が年内入試を利用する際の注意点


生徒が年内入試を利用する際には、入学辞退ができなかったり、大学入学後に学力格差が見られたりなどさまざまな注意点があります。ここでは、注意点として挙げられる2つを解説します。

入学辞退はできないケースが多い

年内入試によっては、入学辞退ができないケースがあります。なぜなら、受験生の入学は大学と高校の信頼関係のもとに成立しているからです。

そのため、入学を辞退するようなことになると信頼関係が悪くなってしまい、後輩たちの推薦枠を奪うことにつながることも少なくありません。志望がはっきりしない生徒が受験すると後悔することもあるため、注意が必要です。

大学入学後に学力格差が見られる

生徒が年内入試を利用することで、大学入学後に学力格差が出てくることがあります。大学入学後は、一般入試の生徒と同様に講義を受けることになります。そのため、受験勉強がしんどいからといった理由で年内入試を受験した生徒は、学力試験を突破した生徒との格差を感じてしまうでしょう。入学後に生徒が学力格差に陥らないためにも、合格後もコツコツと勉強を進めてもらう必要があります。

まとめ


年内入試は、早い時期に進路が決まったり、学力以外の能力が評価されたりなどさまざまなメリットがあります。

しかし、生徒が年内入試を利用する際には、入学辞退ができないことや学力格差によって大学が楽しくないと感じてしまう場合もあります。生徒たちの大学生活を充実させるためにも、本当に年内入試をすすめるべきかどうかを考え、生徒指導に生かしていきましょう。

 

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