年内入試とは?広がる学力型年内入試の動向と総合型・推薦型の傾向を解説

2025/12/22(月)

進路・キャリア教育

年内入試の出願準備や指導計画に変化が起きています。近年、年内入試で大学に入学する生徒が増加しており、学力試験を取り入れる年内入試も広がりつつあります。進路指導では最新の動向を把握し、生徒に適切な情報を提供することが重要です。

この記事では年内入試の仕組みと、学力型年内入試の最新動向を解説します。記事を読むことで生徒や保護者への説明がスムーズになり、学校の進路指導計画に反映すべきポイントが明確になるでしょう。

大学受験の年内入試の概要


ここでは大学受験の年内入試の概要について説明します。

[1] 年内入試とは

年内入試とは高校3年生の秋から冬に実施され、12月までに合否が判明する大学入試の総称です。学校推薦型選抜や総合型選抜が中心で、一般選抜より早く進路が決まる点が特徴です。

9~11月にかけて出願が始まり、面接や小論文、プレゼンテーションなどで選考が行われます。ただし年明けに試験を実施する大学もあり、全てが年内に完結するわけではありません。

一般選抜と異なり学力試験以外の要素が重視されるため、多様な能力を持つ生徒にとって挑戦しやすい制度といえるでしょう。

[2] 年内入試による大学入学者数は増加している

大学が一般選抜の定員を減らし年内入試の枠を拡大しているため、年内入試で大学に入学する学生の割合は年々増加しています。

文部科学省が令和6年度に実施した「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」によると、令和7年度の学校推薦型選抜の入学者は34.1%、総合型選抜は19.5%でした。両者を合わせると53.6%に達し、半数以上の学生が年内入試で入学していることが分かります。

特に総合型選抜は近年増加傾向が著しく、今後も年内入試の割合は高まっていくでしょう。(※)

[3] 年内入試の種類


年内入試の種類は以下のとおりです。

  • 学校推薦型選抜
  • 総合型選抜
  • 学力型年内入試

学校推薦型選抜

学校推薦型選抜は、高校の校長による推薦書が必要な入試制度です。公募推薦と指定校推薦の2種類があります。

公募推薦

公募推薦は、大学が定める出願条件を満たせば誰でも応募できる制度です。全国の高校生が対象となるため、指定校推薦より競争率は高くなる傾向があります。

出願には校長の推薦書が必要で、大学ごとに評定平均や資格取得などの基準が設けられています。大学により異なりますが評定平均3.5以上、英検2級以上といった条件です。

国公立大学でも実施されており、幅広い選択肢があるでしょう。選考では書類審査に加え、面接や小論文が課される場合が多く見られます。

指定校推薦

指定校推薦は、大学が指定した高校にのみ推薦枠を与える選抜方法です。自校が指定校でなければ出願できないのが特徴です。

大学は過去の進学実績や教育方針などをもとに高校を選定し、成績が優秀でも指定校リストに含まれていなければ応募できません。推薦枠は1校当たり1〜3名程度と限られているため、人気の大学や学部では校内選考は厳しくなる傾向があります。

校内選考では評定平均が重視され、日頃の学習態度や部活動実績なども考慮されるでしょう。校内選考を通過し推薦されれば、合格率は高くなります。

総合型選抜

総合型選抜は、大学のアドミッション・ポリシーにもとづき、学力以外の要素も含めて多面的に評価する入試方式です。学ぶ意欲や適性、活動実績などが重視されます。

選考では志望理由書や面接、小論文を通じて、大学が受験生の思考力や人間性を評価します。探究活動の成果や部活動実績、資格取得なども判断材料となるでしょう。

従来のAO入試を見直し、2021年度から総合型選抜として制度化されました。一般選抜のような筆記試験中心の評価ではなく、受験生の個性や可能性を幅広く見る点が特徴です。

学力型年内入試

学力型年内入試は、従来の年内入試に筆記試験を加えた選抜方式です。面接や小論文が中心だった推薦型と異なり、独自の筆記試験や共通テストの結果が合否を左右します。

主要科目の基礎学力を問う試験を年内に実施する大学が、私立を中心に急増しています。学力型年内入試では書類準備と並行して、一般選抜を見据えた教科学習の継続が合格へのポイントです。早期合格を目指しつつ学力も生かせるため、生徒の将来につながる有力な選択肢となっています。

[4] 学力型年内入試の特徴と見通し


注目を集める学力型年内入試の特徴と、今後の展望について以下で紹介します。

文部科学省が年内の学力試験を条件付きで認める方針へ

文部科学省は、年内入試での学力試験を小論文や面接と組み合わせる条件付きで認める方針へ移行しました。従来の年内入試が面接中心だったのに対し、学力確保の観点から議論が高まりました。

具体例として、東洋大学などが導入した「基礎学力テスト型」が挙げられます。小論文や面接に筆記試験を組み合わせ、人物と学力を多角的に評価する仕組みです。

文部科学省は、こうした組み合わせを前提に年内の実施を容認する方針に変わりました。年内入試でも一般選抜を見据えた対策を促す指導が必要です。

年内に学力試験を行う傾向が加速

年内入試において学力試験を課す大学が増加しています。大学側が入学者の基礎学力を担保しようと、選考基準を見直しているためです。

かつては近畿圏の私立大学特有の文化でしたが、現在は東洋大学など首都圏でも導入が加速しました。今後は「推薦だから勉強しなくてもいい」という考えは通用しません。

年内入試の合格を勝ち取るには、一般選抜を見据えた対策の継続が必要です。

一般選抜との併願がしやすくなる入試スケジュール

多くの大学が最終的な入学手続きの期限を、1月下旬から2月下旬に設定しています。一般選抜の結果を待ってから最終判断ができるよう、猶予期間を設ける大学が増えているためです。

大学ごとの2026年度の日程を挙げると、神奈川大学の適性検査型は1月27日が2次手続きの期限です。大妻女子大学の基礎能力型は、2月20日まで2次手続きを受け付けています。明星大学のスカラシップ選抜や、東洋大学の基礎学力テスト型も2月下旬まで2次手続きが可能です。

年内入試で早期に合格を確保できれば、本命校の一般選抜へ向け、精神的な余裕を持って挑戦できます。実際の試験会場で場数を踏む経験は、本番での大きな強みになるでしょう。

国公立・私立の年内入試の傾向

ここからは、国公立・私立の年内入試の傾向について解説していきます。1つずつ見ていきましょう。

国公立大学の年内入試の傾向

国公立大学の年内入試は、総合型選抜と学校推薦型選抜によって大きく異なります。試験日や試験内容、試験方法についてそれぞれ解説していきます。

総合型選抜

国公立大学の総合型選抜は、出願が9〜10月、合格発表が11〜12月下旬といった入試日程が一般的です。出願条件はそれほど厳しくはありませんが、まれに全国大会の入賞者や有資格者などの制限が求められることがあります。

試験内容としては、1次・2次と選考方法が分かれているケースが多く、選考にも時間がかかる傾向にあります。また、近年は基礎的な学力を確認するために共通テストを課す大学も見られ、受験生側も入念な試験対策が必要になります。

学校推薦型選抜

国公立大学の学校推薦型選抜は、国公立大学全体の9割以上の大学が導入している試験方法です。難易度の高い国公立大学でも導入されていますが、私立大学と比較すると募集人数は少なく、入試条件も厳しい形を取っているケースが多い傾向にあります。

国公立大学の学校推薦型選抜の試験方法は、プレゼンテーションや口頭試問、実技、教科・科目に係るテストなど多岐にわたります。また、基礎的な学力を確認するために共通テストを課す大学もあり、入試方式は大学ごとに特徴が異なります。

私立大学の年内入試の傾向

私立大学の年内入試も国公立大学と同様、総合型選抜と学校推薦型選抜によって大きく異なります。

総合型選抜

私立大学の総合型選抜は、それぞれの大学によって試験内容の特性が異なっています。例えば、私立難関大学では1次試験に書類審査、2次試験に小論文や面接を行うほか、セミナーやスクーリングを含む独自のプログラムを組み合わせる例も見られます。

最近では、オンライン試験を導入している私立大学も増えています。オンライン試験の場合は、書類審査が厳しくなるため、書類の作り込みが必要になるでしょう。私立大学の総合型選抜は、早い時期に合否が決定します。そのため、私立大学の総合型選抜を考えているのであれば、進路や適性などをしっかりと考えておく必要があります。

学校推薦型選抜

私立大学の学校推薦型は、国公立大学の学校推薦型と比べると出願条件が厳しくないケースが多く、大学によっては、成績基準を設けない大学もあります。

私立大学の学校推薦型選抜の試験内容は、小論文や適性検査、面接に書類審査を組み合わせる形式が一般的です。学力試験よりも、これまでの活動や志望分野への適性が重視される点が特徴といえるでしょう。

年内入試を利用して大学を受験するメリット


年内入試を利用することで、早い時期に進路が決まったり、学力以外の能力を評価してもらえたりと、大学受験をする際にさまざまなメリットを感じられます。また、年内入試は早いタイミングでの試験終了になるため、不合格になっても他の方式の受験チャンスがあります。

早い時期に進路が決まる

年内入試を利用することで、早い時期に進路が決まります。年内入試は、基本的に11〜12月の間に合格発表が行われます。合格していれば、入学まで他大学を受験する必要がありません。そのため、受験にかかる費用を抑えられます。

また、早い時期に進路が決まれば空いた時間で資格を取得したり、趣味に熱中したりなど好きなように時間を使えるでしょう。

学力以外の能力を評価してもらえる

年内入試を利用して大学を受験すれば、学力以外の能力を評価してもらえます。先述したとおり、私立・国公立大学の総合型選抜や学校推薦選抜の試験内容では、小論文やプレゼンテーション、口頭試問など学力以外の部分も試験に取り入れられています。

また、学力だけではなく総合的な能力を評価した上で合否判定を行う大学も増えつつあるため、学力に自信がない生徒でも合格する可能性はあるといえるでしょう。

不合格になっても他の方式の受験チャンスがある

年内入試を利用して大学を受験すれば、不合格になっても他の方式での受験チャンスがあります。年内入試は、11〜12月の間に合格発表が行われるため、不合格だったとしても年明けの入試には間に合います。

しかし、一般入試の試験内容は学力試験がメインになるため「絶対にこの大学に受かりたい」といった強い気持ちで勉強しておく必要があります。受験の回数が増えることにチャンスを感じている方は、年内入試の受験がおすすめです。

生徒が年内入試を利用する際の注意点

生徒が年内入試を利用する際には、入学辞退ができなかったり、大学入学後に学力格差が見られたりなどさまざまな注意点があります。ここでは、注意点として挙げられる2つを解説します。

入学辞退はできないケースが多い

年内入試によっては、入学辞退ができないケースがあります。なぜなら、受験生の入学は大学と高校の信頼関係のもとに成立しているからです。

そのため、入学を辞退するようなことになると信頼関係が悪くなってしまい、後輩たちの推薦枠を奪うことにつながることも少なくありません。志望がはっきりしない生徒が受験すると後悔することもあるため、注意が必要です。

大学入学後に学力格差が見られる

生徒が年内入試を利用することで、大学入学後に学力格差が出てくることがあります。大学入学後は、一般入試の生徒と同様に講義を受けることになります。そのため、受験勉強がしんどいからといった理由で年内入試を受験した生徒は、学力試験を突破した生徒との格差を感じてしまうでしょう。入学後に生徒が学力格差に陥らないためにも、合格後もコツコツと勉強を進めてもらう必要があります。

[5] 年内入試で成果につなげるための準備ポイント


年内入試で成果につなげるために準備するポイントは以下の3つです。

入試制度の特徴を正しく理解する

選抜方式やスケジュールが多岐にわたるため、生徒に年内入試制度の特徴を理解してもらうことが重要です。公募推薦、学力型、総合型などの違いを生徒に伝え、早めの準備を促しましょう。

学びたい内容を明確にし、志望理由に結びつける

大学側は志望理由書や面接を通じ、学生の意欲だけでなく入学後の具体的なビジョンを評価します。志望学部の研究内容と生徒の興味を深く関連づける必要があります。オープンキャンパスや先輩からの助言も、学びを具体化する貴重な材料になるでしょう。

早期に目的を言語化して志望理由に厚みを持たせることが大切です。年内入試の面接や書類で差がつく指導を心がけましょう。

探究活動に取り組む

探究活動は自ら課題を見つけ解決する力が身に付く、大学が求める重要な資質です。

関西学院大学や甲南大学などでは、探究活動の成果を評価する探究評価型の入試を導入しています。書類選考後に面接やプレゼンで内容を深掘りする形式が一般的です。志望学部に沿ったテーマを深く掘り下げれば、年内入試での評価が高まります。

主体的な活動実績は、学びへの意欲を示す生徒の強みになるでしょう。

まとめ

年内入試は、早い時期に進路が決まったり、学力以外の能力が評価されたりなどさまざまなメリットがあります。

しかし、生徒が年内入試を利用する際には、入学辞退ができないことや学力格差によって大学が楽しくないと感じてしまう場合もあります。生徒たちの大学生活を充実させるためにも、本当に年内入試をすすめるべきかどうかを考え、生徒指導に生かしていきましょう。

 

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