「中小企業診断士試験は独学でも合格できるの?」
「試験の合格を狙える勉強法はどんなのがある?」
結論から言うと中小企業診断士は資格取得までに約800〜1,000時間の勉強が必要と言われる試験のため、難易度も高く合格までに時間がかかるでしょう。
中小企業診断士の資格取得に必要な勉強時間は、約800~1,000時間です。
引用:TAC
そこで今記事では中小企業診断士を独学でも目指せるが難易度が高い理由や、メリット・デメリットを解説します。
【中小企業診断士は独学でも勉強はできるが難易度が高い理由】
【独学で中小企業診断士の資格取得を目指すメリット】
【独学で中小企業診断士の資格取得を目指すデメリット】
独学で中小企業診断士の資格取得を目指すならば、メリットとデメリットをよく比較してから挑戦するかを決めると良いでしょう。
また中小企業診断士試験に早期に合格したい場合は、試験対策の傾向やポイントを絞った内容の通信講座がおすすめです。
中小企業診断士の試験合格率と難易度
中小企業診断士の試験合格率は、令和4年度までの過去7年間で平均約7.9%と難易度の高い資格試験です。
試験年度 | 受験者数 | 合格者数(1次試験) | 合格者数(2次試験) | 合格率 |
---|---|---|---|---|
令和4年度 | 17,345人 | 5,019人 | 1,625人 | 9.4% |
令和3年度 | 16,057人 | 5,839人 | 1,600人 | 10.0% |
令和2年度 | 11,785人 | 5,005人 | 1,174人 | 10.0% |
令和元年度 | 14,691人 | 4,444人 | 1,088人 | 7.4% |
平成30年度 | 13,773人 | 3,236人 | 905人 | 6.6% |
平成29年度 | 14,343人 | 3,106人 | 828人 | 5.8% |
平成28年度 | 13,605人 | 2,404人 | 842人 | 6.2% |
試験ごとに合格率を見ると、1次試験の合格率は30%前後で推移し、2次試験の合格率は毎年20%前後となっています。
1次試験はマークシート方式による試験形式で、総得点の60%以上を獲得すれば合格です。
ただし1科目ごとに合格基準点があるため、科目ごとに40点以上を獲得しなれば不合格となります。
また2次試験は記述式試験と口述試験があるので、問題に対して正確に答えられるようにすることが必要です。
合格基準は相対評価となり、受験者の全体の中から上位20%前後しか合格できないため中小企業診断士の試験難易度は高いと言えるでしょう。
中小企業診断士は独学でも勉強はできるが難易度が高い理由
ここからは、中小企業診断士は独学でも勉強はできるが難易度が高い理由について解説します。
【中小企業診断士は独学でも勉強はできるが難易度が高い理由】
中小企業診断士は独学でも合格を目指すことは可能ですが、特に初学者の人には難しい挑戦になるでしょう。
このまま先を読み進めれば難易度が高い理由について分かるので、ぜひ参考にしてください。
試験の出題範囲が広い
中小企業診断士の試験は試験の出題範囲が広いため、合格難易度が高くなることが特徴です。
【1次試験の科目】
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
【2次試験の科目】
- 事例1:組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
- 事例2:マーケティング、流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
- 事例3:生産、技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
- 事例4:財務、会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
※参考:スタディング
学習内容は財務や会計をはじめ法務や情報システムなど、企業経営に関わる活動について深い知識が求められます。
このことから1次試験・2次試験ともに出題範囲が広く学習に時間がかかるため、中小企業診断士は難易度の高い資格となっています。
科目ごとに合格基準点があり満遍なく勉強する必要がある
中小企業診断士の試験では科目ごとに合格基準点があり、すべての科目で40点以上を取らないと不合格になってしまいます。
試験の総合得点でどれだけ良い点を取っても、いずれかの科目で基準点以下があると合格できません。
そのためすべての科目を満遍なく学習しないとならないため、必然的に試験の難易度が上がります。
とはいえ苦手な科目を伸ばすためだけに学習を集中してしまうと、得意な科目で得点を伸ばせなくなってしまうので注意が必要です。
中小企業診断士の資格取得を目指す際は、すべての科目で40点以上を目指して学習計画を立てましょう。
勉強時間の確保が難しい
中小企業診断士試験に独学で合格するためには約800〜1,000時間の学習が必要になるため、勉強時間の確保が難しくなります。
中小企業診断士の資格取得に必要な勉強時間は、約800~1,000時間です。
引用:TAC
限られた時間の中では効率的に学習を進めたいところですが、独学だと勉強の進め方も自分で計画する必要があります。
また1日平均で3時間取り組んだとしても1年以上かかるため、長期の学習計画を立てて自分に合う勉強法で学習することが大切です。
独学で中小企業診断士の資格取得を目指すメリット
ここからは、独学で中小企業診断士の資格取得を目指すメリットについて解説します。
【独学で中小企業診断士の資格取得を目指すメリット】
独学ならではのメリットがあるので、当てはまる方は検討してみると良いでしょう。
3つのメリットそれぞれをしっかりと目を通したうえで、ぜひ参考にしてください。
資格取得の費用を節約できる
独学で中小企業診断士試験を目指す場合は、資格取得までの費用を節約できる点がメリットとして挙げられます。
勉強方法 | 費用目安 |
大手予備校 | 約20〜30万円 |
通信講座 | 10万円前後 |
独学 | 約3〜5万円 |
独学の場合は市販のテキストや過去問集、模擬試験などに費用がかかり、目安として約3〜5万円の予算が必要になります。
また大手予備校に通うと約20〜30万円、通信講座では10万円前後の費用がかかるため、なるべく料金を抑えて資格取得を目指すなら独学勉強がおすすめです。
また上記とは別に中小企業診断士の一次試験で14,500円、二次試験で17,800円必要なため、より資格取得費用を節約する場合は独学も検討しましょう。
場所や時間の制限なく試験勉強できる
独学の場合は場所や時間の制限なく、中小企業診断士の試験勉強ができる点もメリットです。
予備校に通って中小企業診断士試験の学習をする場合は講義時間が決まっているため、スケジュールの調整も必要になります。
その点独学ならテキストがあれば学習できるので、電車の中でも出先でも自身のタイミングで勉強することが可能です。
また自分のペースで学習計画を立てられるため、時間配分を自由に使うことができる分、ひとりで合格までにスケジュールを練りたい方にもおすすめと言えます。
いつからでも資格取得を目指すことができる
独学で中小企業診断士を目指す場合は、勉強開始の時期を自分で決めることができます。
一方予備校や通信講座での学習はカリキュラムの開始時期が決まっているため、自分の都合で開始時期を変えることができません。
また長期で中小企業診断士試験の受験を考えているのであれば、予備校や通信講座以上の期間をかけて合格を目指すことも可能です。
独学ならいつからでも資格取得を目指せるため、仕事や日々の忙しさに関わらず開始時期を選べます。
独学で中小企業診断士の資格取得を目指すデメリット
ここでは、独学で中小企業診断士の資格取得を目指すデメリットについて解説します。
【独学で中小企業診断士の資格取得を目指すデメリット】
独学で中小企業診断士の合格を目指す場合にはデメリットもあるので、よく読んで対策しておくことが必要です。
学習計画を自分で決める必要がある
中小企業診断士試験に独学でチャレンジする場合は、学習計画を自分で決める必要がある点がデメリットとして挙げられます。
中小企業診断士の試験に合格するためには、試験日から学習内容を逆算して計画を立てる必要があります。
そのため例年8月上旬に実施される一次試験と10月下旬に実施される二次試験の日程を踏まえ、学習スケジュールを管理することが大切です。
各科目の勉強に何時間かけるかやどこまで学習するかを決めなければならないため、受験者にとって大きな負担になります。
しかし余裕を持って学習計画を立てれば無理のないスケジュールにできるので、試験日を基準に取り組みやすい計画を立てましょう。
学習のモチベーションが続かない
独学で中小企業診断士資格を目指すデメリットとして、学習のモチベーションが続かない点に注意が必要です。
中小企業診断士試験は全部で11科目の合格が必要になるので、学習する範囲が広く膨大な時間がかかります。
また長い期間の学習を一人で行うため、勉強の悩みや分からない箇所を相談できず意欲が下がってしまう可能性があります。
モチベーションが下がってしまうと回復することが難しく、思うように学習も進まなくなってしまう場合もあるでしょう。
中小企業診断士試験に挑戦する際は目標を明確にして、モチベーションが下がった時に対策できるようにすることが大切です。
記述試験や口述試験の対策が難しい
中小企業診断士の二次試験では記述や口述の問題が出題されるため、独学では対策が難しい点がデメリットです。
理由として二次試験は明確な答えが決まっていない問題で、作成した文章を評価する試験のためです。
また市販されている二次試験用のテキストが少ないので、過去問の解答から自身で情報をあつめ対策する必要があります。
試験を管轄する中小企業診断協会は模範解答を公表しないので、独学では合格までのハードルが高くなってしまうでしょう。
中小企業診断士の二次試験は、過去問でしっかりと対策して問題に慣れておくことが大切です。
中小企業診断士を独学で合格を目指すための勉強時間
中小企業診断士を独学で合格を目指すためには、約800〜1,000時間が必要になります。
試験科目 | 勉強時間目安 |
財務・会計 | 約150時間 |
企業経営理論 | 約130時間 |
運営管理 | 約120時間 |
経済学・経済政策 | 約120時間 |
経営情報システム | 約110時間 |
経営法務 | 約110時間 |
中小企業経営・政策 | 約60時間 |
事例1〜事例3 | 約100時間 |
事例4 | 約100時間 |
合計 | 約1,000時間 |
中小企業診断士は企業の多岐にわたる経営課題の解決を目指すため、幅広い分野の知識が問われます。
また財務・会計や企業経営理論、運営管理は2次試験とも関わりがあり、勉強時間が多く必要な科目です。
そのため2次試験との関連性を意識した学習をすることで、効率良く試験対策を進められるでしょう。
独学で中小企業診断士の合格を目指すための勉強法
ここからは、独学で中小企業診断士の合格を目指すための勉強法について解説します。
【独学で中小企業診断士の合格を目指すための勉強法】
独学で中小企業診断士試験の合格を目指すためには、ポイントを押さえた学習が欠かせません。
試験が近づいて後悔することがないように、勉強法をよく読んで参考にしてください。
科目合格を有効に活用する
中小企業診断士の一次試験には科目合格という制度があるので、有効に活用すれば試験勉強の効率を上げられるでしょう。
この第一次試験につきましては、中小企業診断士となるのに必要な学識を有するかどうかを判定することを目的に、
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理(オペレーション・マネジメント)
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
と7つの科目で構成され、一部の他資格等による科目免除要件を除き、合格した第一次試験の行われた年の初めから3年以内に全ての科目を合格することが必要です。
引用:中小企業庁
一次試験で合格した科目は3年間の合格有効期間が与えられるため、戦略的に受験する科目を絞れます。
そのため3年以内に7科目を突破して一次試験に合格できれば、科目合格を有効に活用して2次試験に狙いを定められるでしょう。
過去問を繰り返し解く
中小企業診断士試験では、過去問を繰り返し解くことで出題傾向の把握ができるようになるでしょう。
過去問と全く同じ問題は出題されませんが、解説を読んで「問題の解き方」を身につけることが大切です。
また闇雲に100点を目指すのではなく、合格ラインである総得点の60%以上の達成を目指しましょう。
過去問を解いて試験対策をする場合は、5年分以上の過去問を解くことで傾向を掴めるでしょう。
効率の良い学習計画を立てる
独学で中小企業診断士試験の合格を目指すのであれば、効率の良い学習計画を立てることが大切です。
中小企業診断士は資格の取得までに1年〜数年単位で時間がかかるため、どのように学習に取り組むかが合否のラインを分けます。
効率の良い学習計画の立て方は、以下の3つの手順を意識してみてください。
【効率の良い学習計画の立て方】
- 中小企業診断士試験の全体を把握して優先順位を決める
- 科目ごとにどのくらい学習時間をかけるかを考える
- スケジュールに落とし込んで学習する
暗記する科目は後回しにして2次試験にもつながる科目から学習を始め、効率の良い順番で対策することが重要です。
勉強順を決め学習時間を決めたら実際にスケジュールに落とし込んで、学習と計画修正を繰り返しながら進めていくと良いでしょう。
中小企業診断士の試験合格を独学で目指す際のよくある質問
ここでは、中小企業診断士の試験合格を独学で目指す際のよくある質問について解説します。
【中小企業診断士の試験合格を独学で目指す際のよくある質問】
中小企業診断士の受験を独学で目指す方が疑問に思うことなので、よく読んで参考にしてください。
中小企業診断士はどんな人におすすめの資格ですか?
中小企業診断士はマネジメントへのキャリアアップや、経営コンサルタントとして独立したい方におすすめの資格です。
中小企業診断士の資格を取ると体系的な経営の知識が身に付くため、経営全体の視点で業務を診断して課題解決の提案ができます。
また仕事に対しての視野も広がるので、自分の担当業務だけでなく組織全体の業務改善として取り組めるようになります。
中小企業診断士を取得して企業に勤めながらキャリアや地位を上げたり、独立開業して収入を上げられることでしょう。
学生でも資格取得のメリットはありますか?
中小企業診断士の資格を学生のうちに取得すると、経営の知識を有していることを証明できて就活に有利になる可能性があります。
令和3年度の学生合格者数は36名で、合格者1,600名のうちの2.25%と非常に少ない結果が出ています。※
※参考:中小企業診断協会
中小企業診断士の資格を保有する大学生は希少な存在のため、就活の面接において大きな印象を残すことができるかもしれません。
また難易度の高い試験に合格することで、継続して学習できる能力や計画性などもアピールすることができるため、試験に挑んで損はないはずです。
中小企業診断士試験はいつ実施されるの?
中小企業診断士の一次試験と二次試験は、毎年以下の日程で行われます。
試験の種類 | 試験日 |
一次試験(筆記試験) | 8月上旬の土日の2日間 |
二次試験(筆記試験) | 10月下旬の日曜日 |
二次試験(口述試験) | 翌年1月下旬の日曜日 |
中小企業診断士は年に1回しか試験がないため、試験日を把握して学習計画を立てることが重要です。
二次試験まで進み合格した場合は実務補修、もしくは15日以上の実務経験の後に登録して中小企業診断士と名乗れるようになります。
中小企業診断士の詳しい試験日程は毎年4月ごろに発表されるので、中小企業診断協会の公式HPで確認しましょう。
中小企業診断士の独占業務はどんなものがあるの?
結論として中小企業診断士には独占業務はありませんが、行政や商工会議所が行う経営相談などの公的業務があります。
公的業務は国や地方自治体の行政機関や商工会議所などの公的機関から委託され、中小企業の経営者向けにアドバイスをします。
また専門家派遣として企業に出向き、解決が困難な経営課題について専門的な助言を行うのも重要な仕事です。
他にも中小企業診断士が行える業務として、国や自治体に対して申請する補助金や助成金の書き方を教える仕事があります。
中小企業診断士試験の合格を効率良く目指すなら通信講座がおすすめ
今記事では中小企業診断士を独学でも目指せるが難易度が高い理由や、メリット・デメリットを解説しました。
また独学で中小企業診断士の合格を目指すための勉強法も紹介したので、合わせて参考にしてください。
【独学で中小企業診断士の合格を目指すための勉強法】
中小企業診断士の試験に合格するためには約800〜1,000時間の勉強が必要になるため、独学ではモチベーションの維持が課題です。
通信講座であれば効率の良い学習カリキュラムと、質問サポートにより分からない箇所を解決しながら合格を目指すことができることでしょう。