【日本語能力試験(JLPT)とは?】N1〜N5レベルの詳細や注意点を徹底解説
現在日本ではグローバル化が進み、さまざまな国の人材を採用している企業が数多くあります。そこで特に重要視されているのが日本語能力の高さです。
日本語が乏しく意思疎通ができなければ、社内におけるコミュニケーションが難しく、スキルが高く知識や経験が豊富な人材であっても、保有する能力を十分に発揮できなくなってしまうケースも少なくありません。
日本語能力の高さの指標として「日本語能力試験(JLPT)」があります。日本の企業への就職を検討している外国人の中には、日本語能力試験(JLPT)の受験を検討している方も多いでしょう。
本記事では、日本語能力試験(JLPT)の概要から試験の難易度や取得するメリット、受験にかかる費用などについて詳しく解説します。また、取得後の注意点についても解説するのでぜひ参考にしてください。
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もくじ
日本語能力試験(JLPT)の概要
「そもそも日本語能力試験とはどういうものなの?」「試験の目的や対象となる人物の条件は?」など、日本語能力試験について詳しく知らない方も多いでしょう。
受験をする前に、まずはここでお伝えする基本的な情報を正しく把握しておきましょう。
【日本語能力試験(JLPT)の概要】
- 日本語能力試験(JLPT)とは
-
日本語能力試験(JLPT)の目的・対象者
-
JLPTとJPTの違い
-
JLPTとBJT(ビジネス日本語能力テスト)の違い
日本語能力試験(JLPT)とは
日本語のレベルを測るための指標となるのが「日本語能力試験(JLPT)」です。日本国内のみに限らず海外でも受験が可能となっており、2019年には世界で約100万人以上の受験者がいました。
こうした世界的試験であるからこそ、日本語能力を正しく証明するうえで重要な役割を担っています。
新型コロナウイルスの影響で2020年は試験が中止になり、その後も影響が長引き受験者数が減少傾向となりました。しかし、その後は徐々に受験者数が回復に向かっており、いかに世界的に注目されている試験なのかが分かります。
年 | 受験者数 |
2019年 | 1,168,535人 |
2020年 | 試験中止 |
2021年 | 705,943人 |
2022年 | 787,954人 |
2023年 | 1,265,435人 |
引用:日本語能力試験「過去の試験のデータ」
応募条件の一つに日本語能力試験を含んでいる企業もあります。取得していなくても問題なくコミュニケーションが取れる人材も多くいますが、より正しく選考するための応募条件としている企業も少なくないため、可能であれば試験を受けておくと安心です。
日本語能力試験(JLPT)の目的・対象者
日本語能力試験は、日本語の理解度を測定するための試験です。対象となるのは「母語が日本語ではない人」で、日本を含んだ86カ国で開催されています。
主催となっているのは2つの団体で、「公益財団法人日本国際教育支援協会」と「独立行政法人国際交流基金」が共催しており、1984年に日本語能力試験を開始しました。
試験を開始した当初は受験者数がおよそ7,000人程度でしたが、2011年には約61万人・2019年には100万人以上の外国人が受験しており、世界的に見ても最大規模の日本語能力試験となっています。
近年では受験者も多岐にわたっており、日本語の実力を測定するだけではありません。企業への就職のための受験はもちろん、就職後の昇給・昇格・資格認定への活用など、日本語能力試験を受ける目的が広がりつつあります。
JLPTとJPTの違い
日本語能力試験には「JLPT」と「JPT」がありますが、それぞれの違いや特徴について深く理解できている方は少ないのが現状です。まずは簡単に下記表でそれぞれの主な違いを確認してみましょう。
JLPT | JPT | |
名称 | Japanese Language Proficiency Test | Japanese Proficiency Test |
試験開催回数 | 年2回 | 年12回 |
試験開催国 | 世界約86カ国 | 主にアジア圏 ※韓国・タイ・ベトナム・中国など |
出題形式 | N1からN5の級ごとに試験が分かれている ※段階評価 |
聴解・読解それぞれ100問ずつ出題 ※無段階評価 |
JLPTの場合は年2回のみとなりますが、JPTは年12回とその数はなんと6倍です。しかし、JLPTは86カ国で試験が開催されていますが、JPTはアジア圏に限られています。
また、2つの最も大きな違いは出題形式です。それぞれの異なる点は下記の通りです。
JLPT |
|
JPT |
|
このように、さまざまな違いがある「JLPT」と「JPT」ですが、「会話テストや作文のテストはない」という点は共通です。
そのため、これらの試験を受けても、その結果のみで会話力や作文力などを測ることはできないということは頭に入れておきましょう。
JLPTとBJT(ビジネス日本語能力テスト)の違い
JLPTは、基本的に日常生活における日本語能力のレベルを測ります。一方BJTは、単純に日本語能力を測定するのではなく、ビジネス現場での日本語力を測るための試験です。
ビジネスにおいて、現場では自ら行動を起こしたりコミュニケーションを取る必要があります。そのためには、日常的な日本語の理解だけではなく、ビジネスという特別な場面に対応できる力が欠かせません。BJTはそうした能力を測るための試験になります。
具体的にJLPTと何がどう違うのか、下記の表でチェックしておきましょう。
JLPT | BJT | |
主催団体 |
|
日本漢字能力検定協会 |
対象者 | 母語が日本語ではない人 | 母語が日本語ではないビジネス関係者や学生 |
測定可能となる技能 |
|
|
試験の内容 | N1からN5までのレベルに分類され、希望する級を受験できる | 合格・不合格の結果ではなく、取得スコアにより能力レベルが判断される |
JBTの試験では、J5からJ1の6段階と0点から800点の点数によって能力レベルが判断されます。高得点を狙うためには、日常的な日本語における高い能力が欠かせません。
そのため、JBTの試験を受ける受験者のほとんどは基本となる日本語能力が高く、そこからさらにステップアップすることを目的としているケースが多いです。
日本語能力試験(JLPT)の5つのレベル・難易度
日本語能力試験は5段階のレベルに分けられています。自分が今どのレベルにいるのかを正しく把握し、適切な試験を受けるためにも、まずはそれぞれのレベルの目安を知ることが大切です。
日本語能力試験の5つのレベルは、「N1」「N2」「N3」「N4」「N5」となっており、数字が小さいほど難易度が高くなります。レベルごとの内容や特徴について下記で詳しく見ていきましょう。
【日本語能力試験(JLPT)の5つのレベル・難易度】
- N1レベル
- N2レベル
- N3レベル
- N4レベル
- N5レベル
N1レベル
日本語能力試験において最もレベルが高いのが「N1レベル」になります。日常的な会話から幅広い場面で使用される日本語を正しく理解できるのがN1レベルです。
N1レベルを取得した人は、複雑な文章を問題なく読めるだけではなく、抽象的で分かりにくい文章でも内容や構成に対する理解度が高く、日本人同士の会話と同じ感覚でコミュニケーションが取れます。聞く能力も長けているため、自然なスピード感での会話が可能です。
ただし、「会話ができる=コミュニケーション能力が高い」とはならないため、一方的なやり取りにならないように注意しておきましょう。
N2レベル
「N2レベル」では、日常における会話を正しく理解することはもちろんのこと、幅広い場面で使われる日本語に対してもある程度の理解力が求められます。
新聞や雑誌に記載されている内容や評論文なども理解し、話の流れ・執筆者の表現意図に至るまで理解する力がなければ合格できないので、非常に高いレベルの日本語能力が必要です。
聞く能力に関しては、テレビなどで流れるニュースの内容から登場人物の関係性についても正しく把握できれば問題ないでしょう。
N3レベル
真ん中の難易度の「N3レベル」では、日常シーンの中で使われる日本語においてある程度の理解力が求められます。
読む能力は、日常的な話題を正しく理解するだけでなく、新聞や雑誌の見出しから大まかにその内容や情報を読み取れる力が必要です。
聞く能力では、ほぼ自然なスピード感で具体的な内容をしっかりと理解しながら会話ができるほどの力が必要とされています。
N4レベル
N4レベルは、基本的な日本語に関する理解度がある程度あり、普段の会話などは問題なくやり取りができるレベルです。一般的に使用される語彙や漢字を用いた文章を相違なく読む力が必要になります。
N4レベルを取得した人は、日常の基本的な会話であればその意味や内容を正しく把握することが可能です。しかし、複雑で抽象的な文章に対する理解度はそこまで高くありません。
定型的な文章でなくてもしっかりと内容が理解でき、会話の長さに関わらず正しく認識できるのが「N2レベル」の能力になります。
N5レベル
日本語能力試験において、一番レベルが低いのが「N5レベル」です。基本的な日本語に関する理解度がある程度あり、定型的な文章を読むことができなければ受かりません。ひらがな・カタカナも正しく認識し、雑誌・小説・新聞などを読む能力も必要です。
N5レベルを取得している人は、日常の中で行われる短い会話から必要な情報を聞き取れますが、会話が長くなると理解が難しくなります。
会話のスピードによってはその内容が理解できず、コミュニケーションが取れなかったり情報が正しく伝わらなかったりすることもあるでしょう。
日本語能力試験(JLPT)を取得するメリット
日本語能力試験を取得すると、自分自身がどのくらいの日本語レベルなのかを正しく認識することが可能です。それ以外にも大きなメリットが2つあります。
【日本語能力試験(JLPT)を取得する2つのメリット】
- 日本語能力を具体的に証明できる
- 出入国管理において優遇措置がある
なぜ受験するのか・何のために取得するのかを理解し、日本語能力試験に対しての理解をここでしっかりと深めておきましょう。
日本語能力を具体的に証明できる
日本語能力試験を取得することで、自分自身でレベルを把握するだけでなく、今現在どのレベルに達しているかを具体的に証明することが可能となります。
日本の企業への就職を検討している外国人の場合、自分の能力を正しく証明できる日本語能力試験は大きなメリットです。企業側から見ても、採用する人材の日本語能力を正しく把握できるのはメリットになります。
さらに、能力を高めるために継続して勉強に取り組める人材かどうかを判断する材料にもなるため、採用率を高めることにも繋がります。
出入国管理において優遇措置がある
一定以上のポイントがある優秀な外国人材に対し、2012年から出入国管理における優遇措置が導入されました。
ポイントは年収・学歴・職歴などに応じて与えられます。日本語能力試験の取得状況も対象となっており、高レベルの「N1レベル」は15ポイント・「N2レベル」は10ポイントの付与です。
大学を卒業することで付与されるポイントは「N2レベル」と同じ10ポイントとなっているため、日本語能力試験の取得状況がいかに重要視されているのかが理解できます。
日本語能力試験(JLPT)の費用は?日本国内では7,500円
「日本語能力試験を受けたいけれど費用が気になる」「日本国内の受験費用はいくら?」など、試験を受けるために必要な費用が分からない方は少なくありません。
受験のための費用は、これまでは一律6,500円でしたが、2023年に費用が改定されて「税込7,500円」と値上がりしたので注意しておきましょう。
しかし、この費用はあくまでも日本国内で受験をする際に限ります。海外で日本語能力試験を受ける場合、それぞれの国の通貨で支払う必要があるため、まずは実施機関に問い合わせてみてください。
日本語能力試験(JLPT)の注意点
さまざまなメリットがある日本語能力試験ですが、その反面注意しなければいけないポイントもあります。良い面だけではなく、デメリットとなる点についてもしっかりと把握しておきましょう。
【日本語能力試験(JLPT)における2つの注意点】
- 日本語を書く能力は反映されていない
- コミュニケーション能力とは別で考える
ここでお伝えする2つのポイントについて内容を理解しておきましょう。
日本語を書く能力は反映されていない
日本語能力試験では、文法解読・聴解問題が主な出題内容となっています。そのため、日本語を書く能力を正しく測定することはできません。
仕事内容の中で、日本語を書く能力が必須となる場合、日本語能力試験だけで判断することは不可能です。こうした場合は、試験結果とは別にどの程度の書く能力があるかを具体的に把握しておく必要があります。
企業で就業する際に必要となる書く能力が、自分にどのくらいあるのかを正しく把握するためには、簡単な書き取りテストなどを行うようにしましょう。
コミュニケーション能力とは別で考える
本記事でもお伝えしているように、日本語能力試験を受けて日本語に対する理解度が高いからといって、コミュニケーション能力まで高いということにはなりません。
「N1レベル」「N2レベル」の高いレベルを取得していても、円滑なコミュニケーションが可能な指標とはならないため注意が必要です。
社員同士でのやり取りが重要となるプロジェクトなどがある場合、N1レベルを取得したとしてもコミュニケーション能力が低ければ就業に悪影響を及ぼしてしまうため、会話能力を高めておくようにしましょう。
日本語能力試験(JLPT)に関するよくある質問
最後に、日本語能力試験に関するよくある質問に回答します。
【日本語能力試験(JLPT)に関するよくある2つの質問】
- 日本語能力試験は日本人にも受験資格がある?
- 日本語能力試験の正式名称は?履歴書にどう書く?
日本語能力試験に関する質問の中から特に大切な2つをピックアップしました。それぞれの内容を深く理解し、日本語能力試験における正しい情報を把握しておきましょう。
日本語能力試験は日本人にも受験資格がある?
日本語能力試験の受験資格の主なポイントは、「母語が日本語ではない」という点です。日本人として日本に在住しており、母語が日本語となる場合は受験することはできません。
しかし、日本国籍を持っていても母語が日本語でないならば受験資格があります。また、年齢制限も設けられていないため、社会人に限らず学生であっても受験することが可能です。
日本語能力試験の正式名称は?履歴書にどう書く?
履歴書に書く場合、「JLPT」と略称を記載するのではなく「日本語能力試験」と書きます。例えばN1を取得した場合、「日本語能力試験 N1 合格」もしくは「日本語能力試験(JLPT)N1 合格」と書くようにしましょう。
「N3とN2」「N2とN1」など、違うレベルを取得している場合、記載するのはもっともレベルが高いものとなります。そのため、「N3とN2」であれば「日本語能力試験(JLPT)N2 合格」、「N2とN1」の場合は「日本語能力試験(JLPT)N1 合格」と記載してください。
まとめ:自分の能力を正しく把握して実力をアピールするためにも日本語能力試験を受けましょう!
本記事では、日本語能力試験の基本情報や難易度などについて解説しました。母語が日本語ではない外国人にとって、自分自身の日本語のレベルを把握することは、日本の企業に勤める際に非常に重要なポイントの1つとなります。
そのようなときに役立つのが「日本語能力試験」です。日本語能力試験を取得することで、出入国管理において優遇措置を受けたり日本語能力を証明したりできます。
就職の際に有利になることも多いため、本記事でお伝えした情報を深く理解し、日本語能力試験の受験を検討してください。
この記事を読んだ方で、外国人へ日本語を教えることについて下記のようなお悩みを持っている方はいませんか?
- 「正しい日本語を聞く機会が少ない」
- 「母語で意味を確かめながら勉強したい」
- 「働きながら日本語教室に行く時間が中々取れない…」
すららが提供する日本語学習ICT教材「すらら🌸にほんご」なら世界中のどこにいても、正しい発音で日本語を体系的に学習することができます!
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