もくじ
増加傾向にある不登校生徒への支援
先生に実際の事例を伺う前に、不登校に関する状況を整理します。
不登校生徒を出席扱いにするための支援制度
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、令和4年度の小中学校における長期欠席者数は460,648人(前年度413,750人)そのうち不登校者は299,048人(前年度244,940人)となり、不登校者の割合は全体の3.2%(前年度の2.6%)と10年連続で増加しています。近年では新型コロナウイルス感染拡大の影響も重なり不登校になる原因はさまざまですが、出席扱いの制度は生徒が復学したいと思ったときに復学しやすい状況や、希望進路を選択しやすい状況を作る一助となる制度であるとお考え下さい。
令和5年3月31日「誰一人取り残されない学びの保証に向けた不登校対策(COCOLOプラン)について(通知)」(文部科学省)では、さらに不登校対策の一層の充実に取り組むためのプランの速やかな推進を務めるよう、次のように通知されました。
1.不登校児童生徒が学びたいと思った時に学べる環境の整備
児童生徒が不登校になった場合でも、小・中・高等学校等を通じて、学びたいと思った際に多様な学びにつながることができるよう、不登校児童生徒の個々のニーズに応じた受け皿を整備するとともに、教育支援センターが地域の拠点となって、児童生徒や保護者に必要な支援を行うことが重要であること。
(1)不登校特例校の設置
(2)校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)の設置
(3)教育支援センターの支援機能等の強化
(4)教室以外の学習等の成果の適切な評価の実施
(5)柔軟な学級替えや天候等の対応
(6)高等学校等の生徒を含めた支援
(7)改めて中学校等で学びなおすことを希望する者への支援
2.不登校児童生徒の保護者への支援
教育委員会等において域内の教育支援センターや相談機関、保護者の会、フリースクール等の民間施設や多様な居場所等に係る相談窓口を設け、必要な情報を整理し提供することが求められること。
3. 早期発見・早期支援のための福祉部局と教育委員会との連携強化
児童生徒の心身の状態の変化の早期発見や、児童生徒や保護者の包括的な早期からの支援のため、地方公共団体の福祉部局と教育委員会との連携を強化することが求められること。
4.学校の風土の「見える化」学校の風土と欠席日数の関連を示す調査研究があり、学校評価の仕組みを活用して、児童生徒の授業への満足度や教職員への信頼感、学校生活への安心感等の学校の風土や雰囲気を把握し、関係者が共通認識をもって取り組むことにより、安心して学べる学校づくりを進めることが期待されること。
この中で、特に出席扱いに関わる項目は(4)教室以外の学習等の成果の適切な評価の実施です。この項目の詳細は以下のとおりです。
「不登校により自分の教室で授業を受けられない場合であっても、自宅等で一人1台端末等を用いて配信された教室の授業を受講する等の支援により、学習の遅れを取り戻すことが期待される。この場合、我が国の義務教育制度を前提としつつ、不登校児童生徒が一定の要件を満たしたうえで、自宅等においてICT等を活用した学習活動については、可能な限り、指導要録上出席扱いとするとともに、本人の進学等の意向を考慮し、学習評価を行い、その結果を評定などの成績評価に反映する」
この一定の要件とは、文部科学省が定めた「不登校生徒に対し、IT等を活用した自宅学習で出席扱いにする」という方針です。出席扱いの要件は以下のとおりです。
IT等を活用した出席扱い制度の7つの要件
①保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
②ITや郵送、FAXなどの通信方法を使った学習活動であること
③訪問等による対面指導が行われること
④生徒の理解度をふまえた計画的な学習プログラムであること
⑤校長が、対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
⑥学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
⑦学習計画や内容が、その学校の教育課程に照らし適切と判断される場合であること
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