【不登校のICTを使った出席扱い制度とは?】実績2,000件以上の「すらら」が解説!
ある日突然、子どもが不登校になってしまうと、保護者の方はとても心配な気持ちになるかと思います。特に中学生の場合、出席日数の不足が高校受験にどのように影響するか気になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年では不登校児童生徒の増加に伴い、学校に通わなくても一定の条件を満たせば出席として認められる不登校の出席扱い制度が拡充されています。そこで、本記事では「出席扱い制度」の現状や条件、出席扱いがスタートするまでの具体的な流れについてご紹介します。
「すらら」はICTを使った不登校の出席扱いのパイオニアとして2,000件以上のICTの出席扱い認定をお手伝いしてまいりました。スマートに認定させる方法、逆に言うと失敗しないために押さえておきたいポイントを熟知しております。本記事ではそのことも踏まえてお伝えしてまいります。
不登校の現状から出席扱い制度を利用するための具体的な手続きの方法まで詳細にご紹介します。そのため、本記事は約13,000文字と非常に長く、ICTの出席扱い制度については、どこよりも詳しい内容となっていますが、端的にまとまった情報だけでよい方は資料請求を、学校への相談方法のみ知りたい方は下記相談窓口よりお問い合わせいただけると早いかと思います。本記事は通常の記事の3記事分相当の内容となるため、出席扱い制度について詳しく知りたい方は、ぜひご一読ください。
▼本記事を読む前に資料請求をしたい方はこちら
▼出席扱い制度を利用するための具体的な学校への相談方法のみ知りたい方はこちら
もくじ
- 1 不登校生のICTを使った出席扱い制度の現状
- 2 出席扱い制度の目的
- 3 出席扱い制度の利点
- 4 出席扱いを満たす7つの条件
- 5 具体的なアクションと流れ
- 6 ICTを使った出席扱い制度の認定率と否決される3つの理由
- 7 出席カウントの条件と成績の付け方
- 8 成績の付け方
- 9 ICTを使った出席扱い制度に関するよくある質問
- 9.1 ①子どもの学年よりも下の学年の勉強をしても出席扱いになりますか?
- 9.2 ②完全に不登校でない場合は対象となりますか?
- 9.3 ③子どもの学校で出席扱い制度取り扱いの前例がない場合、個人的に「すららの出席扱い」について相談してもよいのでしょうか?
- 9.4 ④小学校の出席日数が今後どこまで影響するのか知りたいです
- 9.5 ⑤学校への履歴提出方法を教えてください
- 9.6 ⑥すでに受講済みの学習範囲をこれからの出席に割り当てることはできますか?
- 9.7 ⑦学校に相談に行ったところ、前例がないと断られました
- 9.8 ⑧私立の中学でも出席扱いにされた実績があるかを教えてください
- 9.9 ⑨適応指導教室、不登校支援センターにある程度通っているため、出席扱いにできないと言われました
- 9.10 ⑩学校の先生からは1時間でもいいからとにかく学校に来るよう何度も電話が来て、正直参っています
- 9.11 ⑪出席扱いは高校受験に有利になりますか?
- 10 不登校生の出席扱い制度まとめ
不登校生のICTを使った出席扱い制度の現状
子どもが不登校になる背景には、さまざまな要因があります。その中には、学校には通えないけれど進学や勉強に意欲を持っている子どももいます。
現状では、不登校生が出席扱いになる方法は3つあります。
- 教育支援センター(適応指導教室)へ通う
- フリースクールへ通う
- 自宅でICTを使ったオンライン学習をする
1992(平成2)年の文部科学省による通達により、教育支援センター(適応指導教室)の出席扱いがはじまりました。そして、フリースクールに通う小・中学校の出席扱いが1994(平成4)年にはじまり、学校には行かれないものの、外出ができる場合は出席扱いが多く認定されるようになりました。しかし、これらの出席扱い制度を利用するには、「行く」という行動を起こさなければなりませんでした。
その後、さらなる不登校者数の増加とインターネットの普及により、文部科学省は2005(平成17)年にインターネットを使用した自宅学習をした場合にも出席扱いとする通知を発出しました。文部科学省では、「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)の中で、ICTによる不登校の「出席扱い制度」についてを含むこれまでの不登校施策に関する通知について改めて整理し、まとめました。
「すらら」では、このICTを使った出席扱い制度は外出が難しい小・中学校の不登校生を対象に出席制度を認定するという、他の出席扱いとは一線を画するすばらしい制度だと考えております。ぜひこのICTによる出席制度の認知度を高めたいと思い、啓蒙活動を行っております。
また、近年の不登校児童・生徒の増加を受け、文部科学省は「学校に復帰する」ことを目標とせず、子どもそれぞれの社会的自立を支援することを目指しています。この目標により、さらに出席扱い制度の認定率が高くなりつつあります。
不登校の定義
まずはじめに、不登校の定義を確認しましょう。不登校とは、年間30日以上欠席した児童生徒が対象となります。病気や経済的な理由による欠席は除かれます。
〇認められる:学校の授業についていけない場合、人間関係に悩んでいる場合
×認められない:骨折、起立性調節障害などの病気による欠席
起立性調節障害は、文部科学省のルールでは病気として扱われるため、不登校の対象外となります。しかし、起立性調節障害が原因で学校の授業についていけない場合、二次的な理由として出席扱いが認められることがあります。学校や自治体は文脈通りに解釈する傾向があるため、どの理由を前面に出すかで対応が変わることがあります。
文部科学省によると、令和3年度は小学校で不登校児童数81,498人のうち4,752人、中学校で不登校生徒数163,442人のうち6,789人がこの制度で出席扱いとなっています。全体の4~5%にとどまっていますが、年々増加傾向にあります。
▼詳しい情報は文部科学省のサイトで確認できます。
文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)について」(令和5年3月31日)
出席扱い制度の年間利用者数
では、不登校児童生徒による出席扱い制度の年間利用者数の推移を見てみることにしましょう。
このグラフは、出席扱い制度の年間利用者数を示しています。2021年と2022年に利用者数が1万人を超えるという劇的な増加には、いくつかの背景があります。
まず、ギガスクール構想により、ほぼすべての児童生徒に1人1台の端末が支給され、ICTが身近な存在となったことがあげられます。端末の支給率はほぼ99%に達しています。
次に、新型コロナウイルスの影響です。緊急事態宣言により学校に通うことが難しくなり、オンライン学習が普及しました。これにより、オンラインでの学習に慣れ親しむようになったことが大きな要因です。
このような理由から、利用者数が急増し、学校側も出席扱いを認めやすくなったと考えられます。
出席扱い制度の目的
出席扱い制度は、不登校の児童生徒がスムーズに学校に復帰できるように設けられたものです。
登校しない期間が続くと、授業を受けられず学習の遅れが生じることがあります。理解できないことが増えると、学校復帰のハードルが高くなるため、再び「学校に通いたい」と思って登校しても、授業についていけず挫折の原因になる可能性があります。この出席扱い制度は、自宅での学習を認めることで、登校意欲の向上を期待して設けられました。
最新の出席扱い制度に関する情報は文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に基づいています。ここに、不登校児童生徒がICTを活用した学習活動を行う場合の出席扱いに関する内容が記載されています。
▼詳しい情報は文部科学省のサイトで確認できます。
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)
出席扱い制度の利点
はじめは「学校復帰を目的」として作られた出席扱い制度ですが、最近では不登校への理解が進み、自宅でICT等を活用した学習活動を「自ら登校を希望した際に、円滑な学校復帰が可能となるような学習活動」とし、子どもの自立を助けるうえで有効・適切であると判断する場合に指導要録上出席扱いとすること、およびその成果を評価に反映することができる、としています。
▼詳しい情報は文部科学省のサイトで確認できます。
これにより、必ずしも学校に復帰することを前提としない制度となりました。
出席扱い制度の利点は大きく2つあります。
①自己肯定感の向上
子どもの努力を保護者や学校の先生が応援することで、自己肯定感の向上や登校意欲につながる可能性があります。
②内申点対策
中学生にとって、高校進学に向けて内申点対策ができることが非常に大きな自信につながります。
新しく、内申点対策として成績への反映を強化するよう求めた、文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)が通知されました。成績の反映について、各自治体や学校に対して強いメッセージが発信されています。
▼詳しい情報は文部科学省のサイトで確認できます。
文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)
出席扱い制度は、認定されたお子さまが「すらら」を使うことで学習成績アップ、という成果はもちろんのこと、大人から子どもへ「君の頑張りを認めているよ!」「君の努力を応援しているよ!」というメッセージを発信できるすばらしい制度であると「すらら」は考えております。
「すらら」は、これらの出席扱い制度の利点を十分に生かし、自宅での学習が出席扱いとなり、努力の成果として評定がつくことで、お子さまのさらなる自己肯定感を育むことを願っています。これからも、出席扱い制度の認知度の向上のために活動し、より多くのお子さまの出席扱い制度の認定に努めてまいります。
出席扱いを満たす7つの条件
出席扱い制度には7つの条件があり、これらの7つすべてを満たす必要があります。
- 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
- ITなどを活用して提供される学習活動であること
- 訪問等による対面の指導が適切に行われること
- 学習理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること
- 校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
- 学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
- 学習活動の評価は、計画や内容を学校の教育課程に照らし判断すること
①保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
まず、保護者と学校の間に十分な連携が取れていることが重要です。この制度を決める際には、学校がどのようなルールを設定するかが重要なポイントとなります。
「すらら」のご相談窓口では、ときには「学校や先生のせいで子どもが学校に行けなくなった」という声をお寄せいただくこともありますが、学校とのコミュニケーションが不足すると出席扱い制度のために必要なご家庭と学校の連携や協力関係を築くのが難しくなります。出席扱い制度を進めるために、十分な連携と、協力関係構築への柔軟なご対応をお願いしております。
②ITなどを活用して提供される学習活動であること
「すらら」はインターネットとパソコン(またはタブレット)があれば、どこでも勉強することができます。そのため、家から出られないお子さまでもしっかりと自宅学習することができます。
③訪問等による対面の指導が適切に行われること
訪問などで行われる対面指導は、勉強の指導というよりも心のケアを目的としています。出席扱い制度は学校復帰を円滑にすることを目指しているため、先生方は子どもが学校に来られる状況かどうかを確認したいと考えています。先生が直接話をして、子どもの気持ちの変化を感じ取ることが重要です。
例えば…担任の先生や学年主任の先生が自宅を訪問する
放課後の時間等に学校に行って先生と話をする
※これらの対応には学校との調整が必要になります。
④学習理解度の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること
計画的な学習プログラムについて、子どもが適切な勉強方法を自分で見つけるのは難しいかもしれません。そのため、大人がある程度コントロールして、今必要な学びを提供することが重要になります。
「すらら」では、学習設計機能があり、必要なプログラムを「すらら」の先生が設計してくれます。
例えば…3年前から不登校で現在の学年の学習は難しい場合
→3年前の内容から学びなおす
「無学年式」の「すらら」は、こうしたニーズに対応できるため、出席扱いの対象となります。
学校の授業とは異なる進度の場合でも、必要な学びを提供することで出席扱いとなる実績が多くあります。中学生が小学校の内容から学びなおす場合も、出席扱いとして認められます。
⑤校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
学習活動の状況を十分に把握するために、ICTを活用することが重要です。ICTを使うことで学習の記録が残り、それを提出することが求められます。「すらら」も学習記録を残す機能を提供しているので、ぜひご利用いただき、学校の先生や校長先生に提出してください。
また、「すらら」では提出のサポートを行っています。保護者の方からの提出や、放課後等クラスの友達がいない時間に学校に行かれる場合、お子さまが提出することも可能です。お子さまの気持ちに寄り添い、それぞれに合う方法でうまく取り組んでいる学校もあるので、相談してみるとよいかもしれません。
⑥学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
学校外の公的機関や民間施設とは、適応指導教室やフリースクール等のことです。これらの施設で相談や指導を受けられない場合が対象となります。
しかし、最近では、フリースクールや適応指導教室を利用している場合でも、自宅での出席扱いが認められるケースが増えてきています。
これは、自治体や学校が不登校の子どもたちの事情をより理解し、柔軟に対応するようになってきたためです。
ところが、まだ一部の学校では「フリースクールに通っているから自宅での出席扱いは認められない」「適応指導教室に通っているからダメ」といった対応をしているところもあります。このような場合、全国的に認められている学校の事例が多くありますので、最新の情報に基づいてアドバイスさせていただきます。ぜひ「すらら」にお問い合わせください。
⑦学習活動の評価は、計画や内容を学校の教育課程に照らし判断すること
成績評価については、はじめにお伝えした文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)について」(令和5年3月31日)からはじまり、「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日)で発表された成績の反映に関するデータにも力を入れています。成績がどのようにつけられているかについては、後ほど詳しくご紹介します。
具体的なアクションと流れ
では、出席扱いが認定されるまでにはどのようなステップが必要になるのでしょうか。ここからは、具体的な学校への相談方法と出席扱いが認定されるまでの流れについて解説します。
Step1:まずは担任の先生へ相談
まず、保護者の方から担任の先生へ「学校復帰も視野に入れて出席扱いとしてほしい」ことをご相談ください。
先生が出席扱いのことを知らない場合、文部科学省の資料や「すらら」の資料をご持参ください。保護者の方が、学校側へ「学校に行きたくないから出席扱いにしたい」と伝えると、出席扱い制度の「学校復帰を前提とする」ことに準じた話し合いを進める学校側と意見のすれ違いが起こる可能性があります。これにより、出席扱いが否決されることがあります。要件を満たして次に進むことが大切になるため、まずはじめに、学校に相談する際は「学校復帰も視野に入れて出席扱いにしてほしい」という言葉を添えることが重要になります。
Step2:出席扱い要件を満たしているか確認
担任の先生、教頭(副校長)、校長で相談されている間、回答を待ちます。学校側から保護者の方へ質問があり、答えるのが難しい場合は「すらら」がサポートいたします。
Step3:1日の出席扱いルール作り
使用する学習教材、出席扱いのルール、学習設計内容学習履歴の提出方法について取り決めを行います。他校の事例など、必要に応じて「すらら」から学校へお伝えしております。
Step4:出席扱いスタート!
ルールが決まれば出席扱いスタートです。学習設計については「すららコーチ」にご相談ください。
ICTを使った出席扱い制度の認定率と否決される3つの理由
「すらら」を使った出席扱いが初めて認定されたのは2015年です。「すらら」を利用するご家庭の保護者からのお問い合わせで出席扱いを知り、手探りの状態からスタートしました。そして、「すらら」の出席扱いは2019年に本格的にスタートしましたが、当時は出席扱い制度について知る人が非常に少なく、出席扱いの認定率もわずか50%ほどでした。
このような状態からスタートした「すらら」の出席扱いですが、認定されたお子さまと保護者の方の喜びの声と共に「すらら」の出席扱いの認知度も上がり、今では81%という高い認定率となりました。
しかし、残念ながら、申請すれば必ず100%の確率で出席扱い制度に認定されるわけではありません。否決される理由には、主に次の3つがあげられます。
①保護者の気持ちと子どもの現状のわずかなズレ
「すらら」には、保護者の方から少しでも早く出席扱い制度の認定を希望される声が多く寄せられます。しかし、出席扱いのためにはお子さまがITCを使った学習を進める必要があります。お子さまの気持ちをご確認のうえ、学校に出席扱い制度の相談をすることがおすすめです。
②学校・教育委員会等の自治体との意見のすれ違い
不登校への理解がない学校の場合、学校へ来るべきだと言われてしまったり出席扱いのルール作りに時間がかかり、学校から教育委員会へ判断をゆだねてしまうことがあります。そのため、出席扱いについての話し合いが進まなかったり、否決されることがあります。このような場合は、「すらら」から教育委員会へ直接お話をさせていただきます。
③要件定義に当てはまらない
外出できない状態についての解釈の相違があり、フリースクールや適応教室に通っているため、または不登校の理由が病気など、出席扱いの要件定義に当てはまらず、出席扱いが否決されることがあります。
「すらら」では、出席扱い制度に申請するお子さまの100%が出席扱いに認定されることを目指し、ICTを使った出席扱いをより多くの皆さまに知っていただくための活動を随時行っております。
また、出席扱いを学校に説明するためのStep1で使用できる資料を皆さまに無料でお届けしております。まずはじめに学校へどのように説明すればよいか、何を取り決めたらよいか、疑問がありましたら、ぜひ「すらら」へお問い合わせください。
これまでの地道な活動の継続により、現在、「すらら」の出席扱いの認定率は81%という実績をあげています。
実際のお問い合わせの内訳は以下のようになります。
お問い合わせ内訳 | 割合 |
---|---|
承認された件数 | 81% |
保護者側の 学校との連携意識に 問題があり否決 |
4% |
学校側の割合で否決 | 9% |
教育委員会にて否決 | 1% |
要件定義に 当てはまらない (病欠等) |
5% |
合 計 | 100% |