アクティブラーニングとは?手法や事例、導入のメリットを解説

2026/08/19(水)

授業方法/学習指導

ICT・教育DX

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それでは、今回の内容を一緒に見ていきましょう。

この記事でわかること/
解決できること

  • 生徒の主体性を引き出すアクティブラーニングの概要
  • 授業ですぐに実践できる代表的な手法
  • 学習効果を高めるメリットと導入を成功させるポイント
  • 国語・数学・英語の教科別で見る具体的な実践事例
目次

アクティブラーニングとは?従来の学習法との違いを解説


アクティブラーニングとは、生徒が受け身ではなく、主体的・能動的に学ぶ学習方法の総称です。
明確な定義はありませんが、グループディスカッションやプレゼンテーションなど、生徒が思考し、他者と対話し、表現する活動を取り入れた授業をすることを指します。
その意味で、知識の伝達を主眼とする従来の講義形式とは異なり、生徒自身が学習のプロセスに積極的に関与する点が大きな違いです。

「主体的・対話的で深い学び」を促す学習法

アクティブラーニングは、文部科学省が学習指導要領で推進する「主体的・対話的で深い学び」を実現するための重要な視点です。
これは単なる学習手法ではなく、授業改善の理念を示しています。
生徒が自ら学ぶ意欲を持つ「主体的」な側面、他者との協働を通じて考えを広げる「対話的」な側面、そして知識を関連づけて物事の本質を捉える「深い学び」の3つの要素から構成されます。

アクティブラーニング型の授業は、これらの要素を一体的に育むことを目指す学習法といえます。
主体的・対話的で深い学びについては「主体的・対話的で深い学びとは」で詳しく紹介しています。

従来の受け身な講義形式との根本的な違い

従来の一斉講義形式の授業では、教師が知識を伝達し、生徒はそれを受動的に受け取るという構図が一般的でした。
これに対し、アクティブラーニングでは学習の主役が生徒自身にあります。

教師の役割は、知識を教える「ティーチャー」から、生徒の学びを支援・促進する「ファシリテーター」へと変化します。
生徒は、課題の探究や他者との意見交換を通して、自ら答えを見つけ出していくプロセスを重視するため、知識のインプットだけでなくアウトプットが求められる点が根本的な違いです。

アクティブラーニングが重要視される背景

なぜ「アクティブラーニング」が求められているのでしょうか。
現代は価値観が多様化し、正解のない複雑な課題が次々と生まれる予測困難な時代です。こうした社会では、単に知識を暗記するだけでなく、未知のトラブルに対して周囲と協力しながら解決策を探究する能力が欠かせません。

教育現場においてアクティブラーニングが推進される大きな契機となったのは、2012年の中央教育審議会による答申(「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~)です。そこでは、生涯学び続け主体的に考える力を養うための「能動的学修」への転換が提言されました。

さらに、新学習指導要領でも持続可能な社会の担い手を育むために、主体的・対話的で深い学びの視点に立った授業改善が求められています。変化の激しい時代を生き抜く資質を育てる手法として、その重要性は一段と高まっています。

アクティブラーニングのメリットとは?

アクティブラーニングの導入は、生徒と教師の双方に多くのメリットをもたらします。
生徒にとっては、学習内容の定着率向上や思考力・表現力といった汎用的な能力の育成に効果があります。

一方で教師にとっても、生徒一人ひとりの理解度を把握しやすくなるなど、授業運営上の利点が存在します。
アクティブラーニングのメリットを理解することは、授業改善の第一歩です。

【生徒側】学習内容が定着しやすくなる

アクティブラーニングは、学習内容の定着に高い効果を発揮します。
アメリカ国立訓練研究所が提唱する「ラーニングピラミッド」によれば、講義を受けるといった受動的な学びよりも、グループ討論や自ら体験する、他者に教えるといった能動的な活動の方が記憶に残りやすいとされています。

学んだ内容について他者と議論したり、発表したりするアウトプットの機会が増えることで、知識が整理され、より深く記憶に刻まれるのです。
ラーニングピラミッドについては「ラーニングピラミッドとは?学習定着率の理論を解説」で詳しく紹介しています。

【生徒側】思考力やコミュニケーション能力が向上する

グループワークやディスカッションでは、他者の意見に耳を傾け、自ら学ぶ意義を見出し、自分の考えを論理的に説明する場面が頻繁に生まれます。
このプロセスを通じて、物事を多角的に捉える批判的思考力や、課題を解決に導く力、他者と円滑に協働するためのコミュニケーション能力が自然と養われます。

これらの汎用的なスキルは、学業だけでなく社会に出てからも必要とされる重要な能力です。

【教師側】生徒の学習意欲や理解度を把握しやすくなる

教師が一方的に教える授業では、生徒一人ひとりがどの程度内容を理解しているか把握するのは困難です。
しかし、アクティブラーニングでは生徒が活動する様子を観察したり、成果物を確認したりすることで、個々の理解度やつまずきのポイントが見えやすくなります。
これにより、適切な個別の声かけや指導が可能になり、より客観的な評価にもつながります。

【教師側】一方通行の授業から脱却できる

アクティブラーニングを取り入れることで、教師と生徒の双方向的なやりとりが生まれ、授業に活気が生まれます。
生徒からの予想外の質問や意見が飛び出すこともあり、教師自身も新たな発見を得ることができます。
教師が知識伝達者から学習の促進者へと役割を変えることで、生徒と一体となって授業を作り上げるという新しい教育スタイルを確立できます。

アクティブラーニングの課題(デメリット)

多くのメリットがある一方で、アクティブラーニングの導入にはいくつかの課題(デメリット)も存在します。
背景には、授業準備の負担増加や、一部の生徒が活動に馴染めない可能性、そしてグループによって学習効果に差が出てしまうリスクなどが挙げられます。
これらの課題を事前に認識し、対策を講じることが導入を成功させる鍵となります。

授業準備が増える

アクティブラーニング型の授業は、従来の講義形式に比べて準備に多くの時間を要します。
生徒の主体性を引き出すための課題設定、活動を円滑に進めるための進行計画、使用する教材の準備、そして活動を評価するための基準作成など、教員が行うべき作業は多岐にわたります。
特に導入初期は試行錯誤が続くため、教員の負担が大きくなる傾向があります。

授業スタイルが合わない生徒が存在する

すべての生徒がグループでの活動や発表を得意としているわけではありません。
内向的な性格の生徒や、一人でじっくりと物事を考えたい生徒にとっては、アクティブラーニングの授業スタイルが精神的な負担になることがあります。
生徒の多様な個性や学習スタイルに配慮し、全員が安心して参加できるような環境づくりや、活動方法の工夫が求められます。

生徒の学習体験に差が出る

グループワークでは、メンバーの組み合わせや議論の活性度によって、生徒一人ひとりが得られる学びの質に差が生じる可能性があります。
全員の生徒が発言することが難しいです。逆に誰も発言せずに時間が過ぎてしまったりすることも考えられます。
教師には、各グループの状況を注意深く観察し、必要に応じて介入するファシリテーション能力が問われます。

授業ですぐに使えるアクティブラーニングの代表的な手法6選

アクティブラーニングの進め方には多様な手法が存在します。
ここでは、実際の授業で比較的導入しやすく、効果の高い代表的な方法を6つ紹介します。
これらの手法を授業の目的や生徒の実態に合わせて使い分けることで、効果的なアクティブラーニングの方法を実践できます。

ジグソー法:専門家となり知識を教え合う

ジグソー法とは?アクティブラーニングの実践方法を紹介 | アチーブメントHRソリューションズ|人材育成・組織開発
ジグソー法は、1つのテーマをいくつかのパートに分け、生徒がそれぞれの専門家となって知識を持ち寄り、全体像を完成させる協同学習の手法です。
まず、各グループで異なるパートを学習し、その後、各パートの担当者が集まった新しいグループで、自分が学んだ内容を教え合います。

このワークでは、他者に教える責任感が生まれ、主体的な学びを促します。

シンク・ペア・シェア:思考を段階的に深める

シンク・ペア・シェアは、「一人で考える(シンク)」「二人組で意見交換する(ペア)」「全体で共有する(シェア)」という3つのステップで思考を深めていく手法です。
まず個人で課題を考える時間を確保するため、いきなりグループで話し合うよりも全員が自分の意見を持ちやすくなります。
ペアでの対話を経てから全体発表に移るため、人前での発言が苦手な生徒も参加しやすいワークです。

PBL(問題解決型学習):現実的な課題に取り組む

PBL(プロジェクト学習)とは?注目の理由や授業の進め方、具体例を解説 | 朝日新聞社 先生コネクト
PBL(Project-Based Learning/Problem-Based Learning)は、現実社会に即した答えのない課題を設定し、生徒が自ら解決策を探究する学習方法です。
生徒は情報の収集・分析、グループでの討議、解決策の立案と発表といった一連のプロセスを主体的に進めます。
この問題解決学習を通して、知識の活用力や探究力を総合的に育成することができます。
PBLについては「PBLとはどんな学習方法?特徴や授業の進め方を解説」で詳しく紹介しています。

ディスカッション・ディベート:多角的な視点を養う

ディベートのお題|GDでの理想的な進め方と人事の評価ポイント | 新卒のスカウト型・オファー型就活ならdodaキャンパス
ディスカッションやディベートは、特定のテーマについて肯定派(賛成派)と否定派(反対派)に分かれて意見を戦わせたり、対話を通じて考えを深めたりする手法です。
双方向のやり取りを通じて、他者の多様な視点に触れることで、自分の考えを客観的に見つめ直し、思考を広げることができます。
論理的思考力や傾聴力、説得力のある表現力を養う効果的なワークです。

ラウンド・ロビン:全員が順番に意見を発表する

ラウンド・ロビンは、グループ内で一人ずつ順番に意見やアイデアを発表していくシンプルな手法です。
発言の順番を決めておくことで、特定の人だけが話す状況を防ぎ、全員に均等な発言機会を与えられます。
短時間で多くの意見を収集したい場合や、アイスブレイクとして多様な考えを引き出したいワークに適しており、少人数のグループから大人数まで応用可能です。

KP法:紙芝居のように分かりやすくプレゼンする

KP法(紙芝居プレゼンテーション法)は、A4用紙などにキーワードやイラストを書き、それを紙芝居のように一枚ずつ提示しながら説明する手法です。
シンプルな教材で準備が容易な上、話の要点が視覚的に整理されるため、聞き手にとって非常にわかりやすく内容が伝わります。

生徒が発表する場面だけでなく、教師が説明を行う際にも活用できる汎用性の高い手法です。

アクティブラーニングの授業を成功させる5つのポイント

アクティブラーニングの手法をただ導入するだけでは、必ずしも成功するとは限りません。
生徒の主体性を真に引き出し、深い学びにつなげるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
ここでは、授業を成功に導くための5つの鍵となる視点を紹介します。

小さく始める

最初から授業のすべてをアクティブラーニングに切り替えようとすると、教員も生徒も戸惑ってしまいます。
例えば、授業の冒頭5分でペアワークを取り入れる、1つの問いについて数分間ディスカッションするなど、短時間でできる活動から始めるのが成功の秘訣です。

スモールスタートで成功体験を積み重ねながら、徐々に活動の時間を延ばしたり、内容を高度化させたりしていくことが重要です。

生徒の意見を取り入れる

生徒にとって身近なテーマや、興味・関心のある事柄を活動の題材にすることで、学習への意欲は格段に高まります。
授業のテーマ設定や活動内容の決定に生徒の意見を反映させることで、「やらされ感」が薄れ、主体的に課題に取り組む姿勢が生まれます。

アンケートや話し合いを通じて、生徒が「自分たちの授業」だと感じられるような工夫を取り入れることが効果的です。

目的の認識を持つ

活動を始める前に、「このワークを通して、どのような力を身につけてほしいのか」という授業の目的やゴールを生徒と明確に共有することが不可欠です。
目的意識がはっきりすることで、生徒は活動の意味を理解し、見通しを持って主体的に取り組むことができます。

活動が単なる作業で終わるのではなく、学びにつながっているという実感を持つことが重要です。

「主体的・対話的で深い学び」の本質を理解して臨む

アクティブラーニングは、生徒を活発に動かすこと自体が目的ではありません。
その本質は、生徒が自ら学びたいという意欲を持ち(主体的)、他者との対話を通じて多様な考えに触れ(対話的)、知識を構造化して物事の本質を理解する(深い学び)ことにあります。

この学びの質的転換を目指すという根本的な理念を教員が理解し、授業を設計することが求められます。
主体的・対話的で深い学びについては「主体的・対話的で深い学びとは?実現に必要なことや授業での具体例を紹介」で詳しく紹介しています。

ICTを積極的に活用する

タブレット端末や学習支援アプリなどのICTツールは、アクティブラーニングを効果的に進める上で強力な武器となります。
共同編集ツールを使えばグループでの意見集約が容易になり、オンラインアンケート機能を使えば瞬時にクラス全体の意見を可視化できます。

ICTを適切に活用することで、情報共有や協働作業が円滑化し、より質の高い対話や探究活動が実現できます。

アクティブラーニングの具体的な実践事例

アクティブラーニングは、特定の教科に限らず、様々な授業で実践可能です。
ここでは、中学校や高校での国語、数学、理科の3教科における具体的な実践例を紹介します。
これらの例を参考に、各教科の特性を活かした授業を組み立てることで、生徒の深い学びを引き出すことができます。

【国語】白陵中学校・白陵高等学校

白陵中学校・白陵高等学校では、評論文の読解において「ラウンド・ロビン」と「ディスカッション」を組み合わせた、生徒主体の授業を実践しています。

活動は、各自が疑問点を書き出したプリントをクラスメイトに回し、複数の生徒が回答を記入していく独自の形式から始まります。自分自身の疑問に対して、仲間の多様な視点による回答が戻ってくることで、多角的な理解が促されます。

その後、グループでのディスカッションを経て、優れた問いと答えをGoogleドキュメントで共有します。ICTを活用したリフレクションまでを一連の流れとすることで、個人の深い思考と集団での対話的な学びを高い次元で両立させています。

【数学】日本体育大学柏高等学校

日本体育大学柏高等学校の中村亮介先生は、数学Aの「確率の期待値」をテーマに、カジノの運営を疑似体験するプロジェクト型学習を実践しています。生徒はグループごとにカジノの運営側となり、サイコロを用いたゲームの賞金と参加費を設定します。この際、必ず運営側の期待値が高くなるように数値を設計させることで、確率の概念を実社会の仕組みと結びつけて理解させます。

各班の設定をクラス全体で共有した後は、他の班のカジノに挑戦するシミュレーションを行います。生徒は掲示された各班の条件から期待値を計算し、どのカジノで遊ぶのが最も有利かを判断する作戦会議を開きます。

実際にゲームを行い、最終的にどれだけ稼げたかを競い合う中で、試行回数が期待値や収支にどのような影響を与えるかを考察します。数学的な理論が現実の事象にどう反映されるかを体感的に学ぶ、能動的な授業構成となっています。

【理科】大手前高松中学・高等学校

大手前高松中学・高等学校の合田意先生は、情報科の授業において、ジグソー法とKP法を組み合わせた先進的なアクティブラーニングを実践しています。この授業では、まず生徒が教室内でペアで役割を分担し、各自がエキスパートとして担当箇所の要約をタブレットにまとめます。

その後、元のペアに戻って互いに内容を教え合うことで、教科書の内容を協働的に履修します。さらに、教師からの深い発問に対してペアで議論を重ね、疑問点を解消しながら理解を深めていくプロセスが特徴です。

最後はリフレクションを行い、学びを振り返りタブレットで提出します。ICTを有効活用しながら、生徒の主体性と対話的な学びを高いレベルで引き出している事例です。

まとめ

本記事では、アクティブラーニングの概要、メリットと課題、代表的な手法、そして授業を成功させるためのポイントについて解説しました。
アクティブラーニングは、これからの社会で求められる思考力や協働性を育む上で不可欠な学習法です。

本記事で紹介した手法や事例を参考に、まずは小さな一歩から授業改善に取り組むことが、生徒の「主体的・対話的で深い学び」の実現につながります。
このまとめが、教育現場での実践のきっかけとなれば幸いです。

執筆者

多胡 晋太郎

株式会社すららネット マーケティング本部 学校ソリューショングループ

【学校向けサービスサイト運営/教育コンテンツ企画/ホワイトペーパー制作】を担当。
すららネットは、AIを活用したICT教材「すらら」「すららi」等を通じて、【約2000校・約25万人】の学習支援に取り組んできた教育ソリューション企業。
学校・自治体への導入支援や教育現場との接点を通じて蓄積された知見をもとに、ICT教材の活用等に関する記事の企画・執筆を行っている。

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