不登校でも出席扱いに!
〜諦めていた高校受験にチャレンジ〜

不登校でも出席扱いにできる制度があります。

不登校の生徒は、出席日数が足りないために内申点が低くなり、受験に不利になってしまうことがあります。文部科学省が平成17年に出した「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」※という指針は、不登校生徒でも自宅学習を出席扱いにできるというものです。今回は、オンライン学習教材すららの「すららコーチ」として、不登校の出席扱いに携わった先生にお話を伺いました。

※令和元年に新たに文部科学省が通知した「不登校児童生徒への支援の在り方について」が最新版となります

増加傾向にある不登校生徒への支援

先生に実際の事例を伺う前に、不登校に関する状況を整理してみましょう。 文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、令和2年度の小中学校における長期欠席者数は287,747人。そのうち不登校者は196,127人となり、不登校者の割合は全体の2.0%。前年度の181,272人(8.2%)より増加傾向にあります。近年では新型コロナウイルス感染拡大の影響も重なり不登校になる原因はさまざまですが、学校に行けない生徒が復学したり、希望する進路を選択したりするためにも、支援制度を整えていかなければなりません。
文部科学省は、家庭に引きこもりがちの不登校生徒に対し、IT等を活用した自宅学習で出席扱いにするという方針を定めました。出席扱いの要件は以下のとおりです。

  1. 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
  2. ITや郵送、FAXなどの通信方法を使った学習活動であること
  3. 訪問等による対面指導が行われること
  4. 生徒の理解度をふまえた計画的な学習プログラムであること
  5. 校長が、対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
  6. 学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
  7. 学習計画や内容が、その学校の教育課程に照らし適切と判断される場合であること
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平成17年に出された方針ですが、まだ認知度が低く、事例も多くありません。先生はどのように不登校の出席扱いという結果を導くことができたのでしょうか。

学校とは根気よくアプローチ

経験豊富なすららコーチが見守る保護者をサポートします。

「不登校の出席扱い」の案件に関わり、無事学校側にも承認されたということですが、もともとはどのような流れで先生のところにお話が来たのですか?

中学1年生の女子生徒だったんですが、お母様が文部科学省の指針のことを知っていて、子どもの将来のために出席扱いにしたいという強い考えをお持ちでした。文部科学省の条件を満たす教材で、遅れている勉強を取り戻せるものを探してすららに入会されました。私は「すららコーチ」としてこの生徒の担当になりました。

お母様がもともとご存知だったんですね。学校への申請はスムーズにいったのでしょうか?

それが、学校側にはまだまだ認知が広まっていないようで、なかなかうまくいかなかったんです。先生は公務員でもあるので、独自の判断ができないことも多く、「他の学校ではどうしているのでしょうか?」と事例や基準を求められました。文部科学省の指針は、あくまでも指針であって、どういう条件を満たせば出席扱いにできるかというのは、それぞれの学校と保護者の間で決めるものなんです。その条件をどうするかを詰めるのが一番大変でしたね。

どのように条件を詰めていったのですか?

まずは担任の先生と電話でお話して、すららがどのような教材なのかを知ってもらうことから始めました。英語・数学・国語があり、どのように勉強を進めていくか、学習履歴がどのように残るのかなどを説明し、生徒がしっかり学習していくことができるものだと理解していただきました。その後、何度かお母様や担任の先生とメールでやり取りし、1日にどのくらいの分量を勉強すれば出席扱いとするのかというルールを決めました。量が少なすぎると本人の学力が上がりませんし、多すぎると挫折してしまうかもしれません。そのさじ加減を決めるのに少し時間がかかりましたね。

最終的にはどのようなルールになったのですか?

これは、本人の精神状態や学力、学校の方針によって大きく変わるので、他のケースでは違ったルールになると思うのですが、英語・数学・国語の評価と出席扱いについて、学校側からは書面で、以下のような条件が提示されました。

学校側から出された出席扱い・評価に関する条件内容

出欠について

英語・数学・国語において、すららの各ユニットを1つ終わるごとに出席扱いとする。ただし、1日で一つのユニットが終わらなくても、それに積極的に取り組んでいる形跡があれば、出席扱いとする。
※達成状況がなく、ログインのみの場合は出席扱いと致しません。

評価について(英語・数学・国語)

  • 日々すららで勉強して板書しているノート
  • すららで定期的に行っているドリル
  • 学校で配られているプリント
  • 学校の定期テスト
  • 学校の実力テスト
  • 自分で勉強したドリル・問題集

これらを元に、他の生徒と同じように評価を行います。

今回の場合は1日につき英語・数学・国語を1ユニットずつクリアするということで、出席扱いにするということですね。たとえクリアできなくても、翌日に続きをやるなど積極的に取り組めば、出席になるという救済措置もありました。これに対して、私からは、評価の材料となる条件に対して、すららでどのように対策していけるのかをお母様を通してお伝えしました。メールでお伝えしたのはこのような内容です。

すららコーチから保護者へ向けた「すらら」での学習提案メールの内容

書面に書かれている事柄について、具体的な方法をご提案させていただきます。

①「日々すららで勉強して板書しているノート」について

1.1各教科において、すららからプリントアウトの指示があったプリントは、全てその指示に従ってプリントアウトし、答えを書き込んだ後、答え合わせをして保存しておく。
1.2英語において、すららが「この文章をノートに3回書きなさい」などの指示が出ます。指示のとおりにノートに書き出して保存しておく。

②「すららで定期的に行っているドリル」について

2.1各ユニット内のドリルをしっかり実施すること。

③「学校の定期テスト」について

3.1すららで教科書のテスト範囲を指定して学習設計することで、定期テスト対策をすることができる。

このように、学校側の条件を満たすために、すららをどう活用していけばいいのか、具体的にお伝えしました。

今回のケースでは英語・数学・国語を1日1ユニットずつクリアすれば出席扱いになるという条件ですが、ただクリアするというだけでは、レクチャーを飛ばしたり、適当に回答したりしてしまう可能性もあります。その点は担任の先生も慎重になっていました。最終的には、すららの保護者管理画面を担任の先生も見られるようにIDなどを共有することになり、先生が学習履歴や所要時間などを見られる状態にすることで落ち着きました。

なるほど、先生もしっかりと評価をするために慎重にならざるを得ないのですね。

そうですね。担任の先生は上司である校長先生を説得しなければならないですから。説得するための材料をしっかりと集める必要があったのでしょう。熱心な方で、生徒のためになんとかしてあげたいという気持ちで動いていらっしゃいました。

その他、学校と取り決めたルールはありますか?

文部科学省の指針に沿って、その他にもいろいろと決まりをつくりました。おおまかな内容は下記の通りです。こちらも、ケースバイケースなのであくまでも参考までになのですが……

その他学校と取り決めた「出席扱い」のルールについて

英語・数学・国語以外の教科の評価、出席扱いの条件については以下の通りとします。

その他の教科の評価について

  • 学校で配られているプリント
  • 実力テストや定期テスト
  • 自分で勉強したドリル・問題集
  • 実技において、自分でつくった作品を提出

これらを元に、他の生徒と同じように評価を行います。

出席扱いのその他の条件

  • 保護者が週1回カウンセリングのため学校へ出向くこと
  • 学校から自宅に週1回担任が訪問すること

すらら以外にもやるべきことはたくさんあるのですね。

そうですね。文部科学省の指針を満たすため、さまざまなルールを決め、それを書面にして校長先生、担任の先生、保護者、生徒、私(すららコーチ)で共有しました。実際、お母様は何度も学校へ行き、担任の先生とお話したようです。今回の件がうまくいったのは、お母様の熱心さのおかげだと思います。

積極的に動いたからこそ前に進めた

生徒自身はどのような気持ちだったのでしょうか?

勉強が嫌で不登校になったわけではなかったので、高校受験したいという気持ちは強くあったようです。お母様と生徒の気持ちが1つだったのもうまくいった要因だと思います。いくらお母様が積極的に動いても、生徒にその気がなかったら無理ですからね。そういう意味では、親子関係が良好であることが、不登校でも、子どもの将来を切り開いていくことにつながるのだと思います。

今、その生徒さんはどうしているのですか?

すららで学力も上がり、自信がついたせいか、少しずつ学校へ行けるようになったようです。そして、まもなく受験を迎えます。入試の結果はわかりませんが、1つ言えるのは、不登校になったときに何もしないままだったら、状況は何も変わらなかっただろうということです。お母様が積極的にアクションを起こし、すららに入会し、学校へのアプローチをしたからこそ、不登校から前に進むことができたということです。

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