ADHDの中学生が伸びる勉強術8選|集中できる環境づくりとタイムマネジメント

ADHDの中学生のお子さまの勉強、お悩みではありませんか?

中学生になると、教科ごとに先生が変わったり、テストや提出物が増えたり、部活も始まったり…急にやることが増えて、お子さま自身が戸惑うことも多いかもしれません。でも大丈夫!お子さまの特性を理解した少しの工夫で、勉強はきっと楽しく、そして自信につながるようになります。

この記事では、ADHDの中学生がどうして勉強でつまずきやすいのか、そして、今日からすぐに試せる具体的な勉強法や、やる気を引き出すヒントをたっぷりご紹介します。一緒に、お子さんがグングン伸びる学習法を見つけていきましょう!

ADHDの中学生がつまずきやすいポイント

中学校に入ると、ADHDの特性がより目立ちやすくなることがあります。授業そのものがわからないわけではなく、「実行機能」 と呼ばれる、物事を計画したり、段取りを考えたり、時間を管理したりする部分でのつまずきが重なりやすくなるためです。

不注意・多動・衝動性が勉強にどう影響する?

  • 不注意:黒板の文字を書き写し忘れたり、問題を読み飛ばしたり、提出物をなくしたり…。口頭での指示が重なると、頭の中が混乱してしまい、宿題の持ち帰り忘れなども起こりやすくなります。
  • 多動:じっと座っているのが苦手だったり、ソワソワして集中できなかったりします。テストの後半でケアレスミスが増えるのもこのせいかもしれません。教室のざわつきや、掲示物の多さも気が散る原因になることがあります。
  • 衝動性:「問題文を最後まで読まずに解き始める」「思いついた答えをすぐに書く」といった行動につながり、解き方や見直しの手順を飛ばしてしまいがちです。その結果、数学では符号や単位をつけ忘れたり、国語では字数制限を見落としたり…といったミスが増えてしまいます。

時間感覚のずれも影響します。宿題にかかる時間を短く見積もって、締め切り直前になって慌てたり、テストで時間配分を間違えて最後まで解き終わらなかったりすることもあります。

また、先生ごとに提出物の形式やプリントの保管方法が違うことも、整理整頓が苦手だとつまずく原因になります。これらの特性は、子どもの努力不足ではありません。やるべきことが多く、「実行機能」に大きな負担がかかっている ことで起こるのです。

思春期ならではの自己肯定感とモチベーション低下

中学生になると、テストの順位や提出物の点検など、評価される機会が増えます。頑張ってもミスや提出物の遅れで思うような結果が出ないと、「どうせやっても無駄だ…」と感じて、自己肯定感が下がってしまうことがあります。この状態が続くと、やる気も失われてしまい、勉強からさらに遠ざかってしまうことも。

ADHDの特性があると、ゴールが見えにくい課題や、時間がかかるタスクになかなか取りかかれない傾向があります。特に、すぐに結果が出ない家庭学習などは、やる気のエンジンがかかりにくくなりやすいのです。

失敗体験が重なると、学校や勉強を避けるようになることもありますが、これは怠けているわけではありません。失敗が重なることで心が疲れてしまった自然な反応です。

忘れ物や提出物の遅れは、子ども自身も自己肯定感を下げてしまう原因になるので、次のような点に注意して忘れにくくする工夫がおすすめです。

 

  • 二重管理:連絡帳に書くだけでなく、スマートフォンのリマインダーも活用して、前日と当日の朝に通知が来るように設定
  • 定位置を決める:帰ってきたら、連絡帳、プリント、かばんなど、すべての物の置き場所を決める
  • ルーティン化:夜のうちに明日の準備を8割終わらせて、朝は最終チェックだけにするルーティンを作る

 

ADHDの中学生と勉強の基本戦略

では、ADHDの特性を理解した上で、効果的な勉強法を考えてみましょう。ポイントは、脳の働きに合うようにタスクを工夫することです。具体的には、「短時間で切り上げる」「繰り返しやる」「手順や情報を目に見えるようにする」 の3つを意識します。

短時間集中と反復練習の組み合わせ

長時間の勉強は集中力が続きにくいので、10〜20分で終わるような短い学習単位に分けるのがおすすめです。小さな目標をクリアしていくことで、達成感も積み重なります。

  • 目標を明確に:「英単語を20分やる」ではなく、「英単語を10個、意味とスペルを覚える」のように、ゴールをハッキリさせると集中しやすくなる
  • 繰り返しを大切に:新しく習ったことは、翌日、数日後、テスト前…というように、何度かに分けて復習することでしっかり定着させる
  • アウトプットを増やす:教科書をただ読むだけでなく、声に出して説明したり、自分で小テストを作って解いたりすることで、より記憶に残りやすくする

視覚化と手順化で迷いを減らす

頭の中だけで物事を整理するのではなく、紙やボードを使って「見える化」することもおすすめです。

  • 手順を細かく分ける:「理科の記述問題を解く」なら、「① 設問の条件に線を引く」「②キーワードを3つ書き出す」「③1文にまとめる」のように、ステップごとに分ける
  • ノートのルールを決める:「左に問題、中央に解き方、右に見直しポイント」のように分割するなど、ノートのレイアウトをあらかじめ決めて、毎回どう書くか迷わないようにする
  • ミスを記録する:「自分のミスの型(計算ミス、単位のつけ忘れなど)」をリストアップして、見直しのときにチェックする習慣をつける
  • マインドマップや図解の活用:ノートを箇条書きにするのではなく、中心にキーワードを置き、そこから線で枝分かれさせていく「マインドマップ」を作成し、さらに色とイラストを使って視覚的に整理することで、記憶に残りやすくする

集中できる環境づくりの基本

「集中しなさい!」と言うだけでは、なかなか集中できないかもしれません。集中しやすい環境を整えてあげることが、一番の近道です。

机周りの整理整頓と視覚ノイズの削減

机の上がゴチャゴチャしていると、それだけで気が散ってしまいます。

  • 視界をスッキリと:勉強中は、今から使う教材と筆記用具だけ を机の上に置き、それ以外は不透明な引き出しやボックスにしまう
  • 収納はシンプルに:科目ごとにクリアファイルを色分けしたり、ラベルを貼ったりして、何がどこにあるか一目でわかるようにする
  • 机の位置を工夫:机を壁に向けて置くなど、視線を安定させて集中しやすくする

 

音と光の調整と座席配置

音や光の刺激に敏感な場合もあります。

  • 音の調整:テレビやゲームの音は消し、環境音が気になる場合は、イヤーマフや耳栓を試してみる
  • 光の調整:まぶしすぎず、暗すぎないように、手元にはデスクライトを使う
  • 学校との連携:学校の席の位置も集中に大きく影響するので、先生に相談して、黒板が見やすい前方や、窓や廊下から離れた席にしてもらうようお願いしてみるのも有効

学校内での環境について、「毎日連絡帳を見てもらう」「宿題の進捗をこまめに共有してもらう」など、具体的な子どもの困りごとをすぐ相談できるような連携方法を確認しておくことがおすすめです。

タイムマネジメントの基礎

ADHDのお子さんにとって、時間を管理することはとても大切です。時間を「見える化」して、迷いを減らす仕組みを作りましょう。

  • タイマーを見える化:砂時計や、残り時間が色で表示される「タイムタイマー」など、パッと見て残り時間がわかるものを使いましょう。
  • ポモドーロ・テクニック:25分勉強+5分休憩のサイクルを繰り返す方法です。集中できる時間に個人差があるので、10〜15分から始めてみましょう。

時間割とToDoリストとチェックリスト

やることをリストに書いて、頭の中を整理します。

  • ToDoリスト:宿題や課題を「具体的な行動」と「小さな単位」に分解してリストに書く

   例)「数学ワークP.42の例題とA問を解く」のように、15〜20分で終わるようにしてやる気が途切れないようにする

  • チェックリスト:「忘れ物チェックリスト」や「提出物チェックリスト」など、毎日やることをリスト化して見える場所に貼っておく

ADHDの中学生に効果的な勉強法8選

短時間集中、反復、見える化、ごほうび…これまで紹介した基本戦略を、具体的な勉強法として考えてみましょう。

  • 短時間学習と休憩のサイクル:25分集中+5分休憩を繰り返すポモドーロ・テクニックがおすすめ
  • 宿題の分割とチェックリスト管理:宿題を「今日やる分」と「明日やる分」に分けて、終わったらチェックを入れていくなど、達成感が得られる方法を探す
  • 音読と手を動かすアクティブ学習:教科書を読むだけでなく、声に出したり、書き写したりすることで、手・口・目を同時に使い集中力が続きやすくする。また、「教科書の内容を歌にする」「単語を覚えながら体を動かす」といった、聴覚や運動感覚も取り入れた学習法を取り入れることで、集中力を高める
  • 視覚的なスケジュールとカラー分類:科目ごとに色を決めて、ファイルやノート、カレンダーを色分けし、準備や予定の管理を見てすぐわかるよう工夫する
  • ごほうびとポイント制で習慣化:「25分集中したらスタンプ1個」のようにルールを決めて、ポイントを貯めて好きなことと交換できるようにするなど、やる気をアップさせる
  • 先に5分だけ着手する先延ばし対策:「まずは5分だけやってみよう」というルールにして、最初の一歩を軽くすることでスムーズに勉強を始める
  • 学習アプリと記録の活用:アプリで勉強時間を記録し頑張りをグラフにして見える化することなどで、モチベーション維持につなげる
  • テスト前はアウトプット重視:テスト前は、過去問を解いたり、自分で問題を作って解き直したりと、「解く・説明する・再現する」 練習を増やすことで点数に結びつきやすくする

 

科目別の勉強術

テストの点数や提出物の遅れを、ただの失敗ととらえるのではなく、「次はこう工夫してみよう」という学びの機会として親子で話してみることがおすすめです。

国語 読解の型と語彙の増やし方

読解は「型」にはめると集中が続きやすくなります。

  • 問題文を先に読む:最初に設問を読んで、本文のどこに注目すればいいか、目星をつけてから本文を読み始める
  • 三点マーキング:接続語(しかし、つまり)や、指示語(これ、それ)に線を引いて、文章のつながりを意識する

 

数学 手順化とミス対策のチェック

  • 手順を決める:「読む→図にする→解く」の流れを固定する
  • ミスをリスト化:「符号の間違い」「単位のつけ忘れ」など、自分のミスをリストにして、解き終わった後にチェックする習慣をつける

 

英語 単語と文法の音読と書き取り

  • 音→意味→綴り:単語は音と一緒に覚えると、記憶に残りやすくなる
  • 文法のテンプレート化:効率をよくするため、長文読解は先に設問を読んでから本文を読む

 

理科社会 図解・年表・因果関係の整理

  • 理科:頭の中を整理するために、実験の手順をフローチャートにしたり、用語を模式図に書き込んだりする
  • 社会:流れや位置関係が目で見てわかりやすいように、歴史は年表に、地理は白地図に書き込む

このように勉強法を工夫することで、勉強の成果だけではなく、「最後までやりきる」「先生に質問できた」など、頑張ったプロセスや、コミュニケーション能力といった「数値化できない頑張り」が見えるようになります。子どもの頑張りを具体的に褒めることで親子のコミュニケーションがとりやすくなるきっかけになるかもしれません。

ADHDの中学生が勉強しやすい教材は?

ここまで、ADHDの中学生のお子さまが勉強をするのにおすすめの環境づくりについて解説してきました。さらにこれらの環境づくりをしやすくするために、学習管理機能のあるICT教材を利用することもおすすめです。勉強したい内容を短い学習単位で区切ったり、視覚と音声でサポートしてくれる教材は、ADHDのお子さまにとても合っています。

そこで、次はADHDのお子さまにおすすめのICT教材「すらら」を紹介します。

ICT教材「すらら」

ADHDの子どもは、長い文章を読むのが苦手だったり、文章だけで内容を理解するのが難しかったりする傾向があります。そこで、イラストや動画で視覚的に理解できる教材がおすすめです。図解や写真の多い教材や、キャラクターが問題を説明してくれる教材など、視覚的な刺激が多いと、注意をひきつけて集中力を持続させる効果も期待できます。

無学年式のオンライン教材「すらら」は、文字・イラスト・音声を結びつけてゲーム感覚で学べる多感覚学習を採用しています。個性豊かなキャラクターが先生となり、対話形式で講義を行うなど、ADHDのお子さまが楽しく勉強に取り組める工夫が満載です。ADHDのお子さまの勉強方法にお悩みなら、「すらら」への入会を検討してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

ADHDのお子さまの学習をサポートする鍵は、「短時間集中と反復」、そして 「視覚化と手順化」 です。今日から始められる小さな工夫で、お子さまの可能性はグンと広がります。

日々の学習で、お子さまの小さな成功を一緒に喜び、ごほうびやポイント制で楽しくモチベーションを高めていきましょう。テスト前には、ただ暗記するだけでなく、過去問やミスの分析を通じて「解く力」 を鍛えることが、自信につながります。

これらの実践をサポートする強力なツールとして、ICT教材「すらら」 もぜひご検討ください。アニメーションによる分かりやすい授業や、お子さまの理解度に合わせて戻って学べる機能など、ADHDの特性に合わせた工夫が満載です。

保護者の方が「うちの子はどうしてできないんだろう」「自分の育て方が悪かったのかも…」とお子さまのことで悩む気持ちは、ごく自然なものです。お子さまを支えるために頑張っているご自身のことも、どうぞ認めてあげてください。保護者の心のゆとりが、お子さまを力強く支える土台となります。

何よりも大切なのは、お子さんの頑張りを認め、自己肯定感を育むこと。それが、学びへの意欲を長続きさせる何よりの秘訣です。焦らず、無理のないペースで、一緒に歩んでいきましょう。

 

 

監修:佐々木章太

(株)すららネット 子どもの発達支援室 室長

2015年に(株)すららネット入社、2017年より「すらら」家庭学習部門 事業責任者。
2018年に子どもの発達支援室を立ち上げ室長に就任。

不登校生のITを使った家庭学習出席扱い制度の第一人者。認知特性シリーズの学習教材開発、ほめビリティ ペアレンティングサービス開発、親子の関り方を中心とした各種イベント企画等を手掛ける。

AI教材「すらら」を通じた子どもたちの学習支援に留まらず、子育てに関する深い悩みのある保護者への支援にも注力し、より良いサービスの開発に取り組んでいる。

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「すらら」は「見る、聞く、書く、読む、話す」などの
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※2016年1月~2017年6月の期間ですららを3ヶ月以上継続している生徒の継続率

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