覚えられない漢字を攻略!認知特性の「継次処理」と「同時処理」を使った漢字学習法を紹介

「すらら」のお問い合わせ窓口には、漢字が苦手でなかなか覚えられないお子さまや、漢字の反復学習が苦手で漢字を嫌いになってしまったお子さまのご相談が多く寄せられています。学年が上がるごとに画数が増えたり、覚えるべき漢字数が増えるため、なかなかお子さまに合う学習方法が見つからないのです。

本記事では、それぞれ異なる認知特性のある「継次処理」「同時処理」に注目し、お子さまが自分に合う方法を見つけて効果的に漢字を学習するための方法をご紹介します。

漢字を覚えられない理由

漢字の学習は、多くの人にとって避けられないものです。さらに、複雑な形や音読み・訓読みなど、多様で変化にとんだ性質を持つ漢字に取り組む学習は、子どもには大きくそびえ立つ壁のように感じられるほど大変なものかもしれません。

うなだれる子ども

漢字学習の難しさ

では、子どもたちにはどれくらいの数の漢字の学習が必要なのでしょうか。

日本語における漢字の総数は約50,000字にのぼります。日常生活で頻繁に使われる常用漢字でも2,136字あり、多くの文字を習得する必要があります。この覚えるべき漢字の多さは、漢字学習が苦手な子どもにとって、さらに大きな負担になっています。

記憶の仕組みと漢字学習の関連性

まずはじめに、記憶のメカニズムについて考えてみましょう。

人間の記憶は、短期記憶と長期記憶という2つのプロセスを経て形成されます。短期記憶は、一時的に情報を蓄える役割を担い、その要領には限界があります。このため、漢字のように複雑で多くの情報を含むものは、短期記憶から長期記憶に移行するのが難しく感じられることがあります。特に、字の形、書き順、音、意味を同時に記憶するという地道で反復的な学習プロセスが必要となり、これが漢字学習をさらに難しく感じさせてしまいます。

短期記憶情報を一時的に保持する新しい漢字を
最初に覚えるステップ
として重要
長期記憶情報を持続的に保持する反復学習により
深く定着する
記憶の種類と役割による漢字学習への影響

この記憶のメカニズムから考えられた効果的な学習法として、それぞれの漢字を理解しながら反復学習することが重要と考えられています。

しかし、漢字の成り立ちをストーリーとして理解したり関連するビジュアルイメージを利用して記憶を強化することがとても役立つ子どももいます。例えば、漢字の形を視覚的に覚えるフラッシュカードの利用や、デジタルアプリを活用した学習により、知識の定着を促すことにつながるのです。

認知特性 認知処理様式の「継次処理」と「同時処理」

認知特性とは、感覚器官から入る情報を処理する能力の特性のことです。同じ情報を見聞きして理解したり、記憶したりする場合、認知特性の個人差により、脳の中の「整理」「記憶」「理解」の方法が異なるため、それぞれ得意・不得意が生じます。

さらに、認知特性の中には認知処理様式があり、私たちの脳が情報を処理するとき、「継次処理」と「同時処理」という2つの認知処理様式を利用しています。この特性を理解することでより効果的に漢字を覚えることが可能になります。漢字学習において、この認知処理様式を把握して活かすことがより自分に合う学習方法の習得につながるのです。

継次処理

継次処理は、情報を順序立てて1つずつ処理する能力を指します。漢字を一画ずつ分解して細部まで理解しながら記憶する場合、この特性が大いに役立ちます。

例えば、部首や構造を順番通りに学ぶ方法です。順序通りに数字や計算問題を解くのが得意な人にも公平に適用できるため、多くの人が使う方法で、反復練習で効果があることが実証されています。

同時処理

同時処理は、複数の情報を一括して捉え、その関連性を瞬時に結び付けられる能力を表します。全体像をイメージし、漢字の形や意味を含めてつなげながら覚えるのに最適です。図形やイメージとしての認識が得意な人に最も適していて、この同時処理は画像やストーリーを通じて記憶するのに優れています。

自分の認知特性を見つける方法

自分の優位な認知特性を把握して、それに合う漢字学習法を見つけることは、非常に効果的な学習につながります。

Q.漢字を一画ずつ書き順に沿って覚えるのが得意(もしくは好み)ですか?

  は い → 継次処理型が優位な可能性が高い

  いいえ → 同時処理型が優位な可能性が高い

Q.漢字全体をイメージでとらえるのが得意(もしくは好み)ですか?

  は い → 同時処理型が優位な可能性が高い

  いいえ → 継次処理型が優位な可能性が高い

特性に応じた学習方法を取り入れることで、学習効率が非常に向上し、漢字を長期的に記憶するのに役立てられる可能性があります。大切なのは、子どもに合う方法を見つけて実践してみることです。

継次処理を活用した漢字学習法

継次処理は情報を時間的に順序立てて理解する認知処理様式です。この特性は、順序や手順に従って物事を進めるのが得意な方にとって、特に漢字学習でその力を発揮します。ここでは、継次処理を効果的に活用するための具体的な漢字学習法について詳しく解説します。

ステップバイステップ法で進める学習

継次処理を生かすためには、細分化されたステップを順番に進めていく勉強法が有効です。この方法は、一度に大量の情報を扱うのが苦手な子どもにとって特に効果があります。最初のステップとして、漢字そのものの意味とその読み方を学びます。その後、次のステップで熟語や例文を利用して漢字の使い方を学び、最後に実際に使う場面をイメージして記憶の定着を図ります。

例えば、「日常」という漢字を学ぶ場合、まずは「日」と「常」それぞれの意味を個別に理解し、次に「日常」という言葉全体の意味を身近な例文と結び付けて把握するという流れです。こうした段階的なアプローチは、すぐに覚えやすく、忘れにくくする効果があります。

意味の理解それぞれの漢字の
意味と背景を理解
基本的な理解を助ける「日」=太陽、24時間
音読みと訓読み音読みと訓読みの確認
および理解
発音に自信が持てる「常」=「ジョウ」
    「つね」
熟語と例文の利用例文で実用的な使用を学ぶ日常的な場面での
使用を容易にする
日常生活で見る漢字
ステップバイステップ学習法の具体的な考え方

漢字のストーリー化で記憶を助ける

漢字のストーリー化は、視覚化と物語性を活用して記憶のプロセスを促進する方法です。これは、漢字の成り立ちや承継的な意味合いを自分なりのストーリーとして頭の中で描くことで記憶が鮮明になることが期待できます。

例えば、漢字の形や意味から具体的なイメージを作り出し、記憶に残りやすくする方法です。「休」という漢字は「人(亻)」が「木」にもたれかかっている様子をイメージすることで、「休む」という意味を連想しやすくし、記憶の定着を図ります。

同時処理を活用した漢字学習法

漢字は、その形が意味を持つことが多くあるので、視覚を通して漢字を直感的に記憶することが理解と定着の促進につながることがあります。

ビジュアルイメージを用いた記憶法

直感的な視覚を通して漢字を記憶する、ビジュアルイメージを用いた記憶法の活用には、漢字の形の持つ意味が漢字の理解と定着に非常に効果的です。例えば、「木」という漢字は本物の木の形に似ており、そのイメージを重ねて覚えやすくします。

この方法は特に、漢字の形状や構成を描写しやすい子どもや視覚的な学習スタイルに合う人にとって効果的です。

実際、視覚を強化した学習法は、一般的に情報の記憶定着率を約65%向上させると言われています。

漢字をまとまりとしてとらえる方法

漢字を個別にではなく、まとまりとしてとらえることも高い効果を発揮します。例えば、同じ部首を持つ漢字をグループ化して学習すると、関連性を理解しやすくなるため、記憶が長続きします。部首が意味や音を共有する場合も多いため、効率的に学習できるのです。

さらに、同じ部首や構造を持つ漢字を利用することで、言語の論理的思考能力を高めることも期待できます。漢字のまとまりを理解することは漢字学習のモチベーション向上にもつながります。

漢字グループ関連部首
水に関する漢字氵(水)さんずい海、湖、洋
木に関する漢字木   きへん林、森、机
漢字グループ別に関連部首をもとに漢字を記憶する方法

これらの方法は、漢字を単なる記号としてではなく、意味のある集合体としてとらえ、学ぶ楽しさを見いだすことにもつながります。特に、漢字の成り立ちや歴史的背景を知ることで、学習が深まり、理解が進みます。

効果的に漢字を覚えるためのツール

漢字学習を効率化するために、フラッシュカードや漢字学習アプリは非常に有効です。

日常生活での漢字の見つけ方

漢字を自然に身に着けるためには、日常生活で漢字を意識的に取り入れることが重要です。例えば、街中の看板やポスター。新聞の文字を拾い出し、わからない漢字はすぐに意味を調べることが効果的です。実際に自分が見たものは印象に残りやすく、意味や使い方をより深く理解する助けになります。また、こうした日常の中で得た漢字は、自分だけのリストとして記録・復習することで記憶の定着を促します。

さらに、図書館や書店を訪れて漢字辞典を活用することもおすすめです。例えば、信頼できる書籍を参照することで、漢字の成り立ちや変遷についても学ぶことができます。このように日常生活で得た漢字を目にするたびに振り返ることで、持続的な学習効果が期待されます。

フラッシュカードやアプリの活用

フラッシュカードは、短い時間で多くの漢字を反復して記憶するのに最適なツールです。スペース反復学習システムを採用しているアプリなど、学習の効率を大幅に向上させることができるものもあります。また、デジタルフラッシュカードも非常に便利です。

これらのツールを子どもとの遊びの時間に少しずつ取り入れることで、負担を感じることなく漢字を学ぶことができます。

まとめ

従来の漢字反復学習は、特に気にせず取り組む子どももいれば、難しいと感じる子どももいます。そのため、漢字を覚えるには、個々の認知特性を理解することが重要です。

継次処理では、漢字を段階的に学び、記憶を強化することができますが、同時処理を活用することで、ビジュアルやストーリーを駆使し、大きなまとまりとしてとらえる方法が効果的です。さらに、フラッシュカードやツールを活用することで、学習効率を高めることができます。

お子さまの特性に合う学習方法を見つけ、日常生活で漢字を意識的に見つける実践をしながら、ぜひ漢字学習を楽しく効果的に進めてみてください。

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