【ゲームを辞めない…】ゲーム障がい(ゲーム依存症)の子どもへ親ができる3つのこと
スマホや携帯型ゲーム機でゲームをする機会が増えている昨今、ゲームをする時間をコントロールできない、ゲーム以外のことに関心を示さないなどの症状が1年以上継続して起こる「ゲーム障がい」が増えています。
ゲーム障がいについてなんとなく理解しているという人も、実際に子どもがゲーム障がいになってしまったら、どのような治療が効果的なのか、放置するとどうなるのか、さらには将来どのような影響を与えるのか、不安は尽きませんよね。
本記事ではゲーム障がいが見られる子どもへ親ができることや、具体的な治し方について紹介します。子どもがゲーム障がいになってどのように接すれば良いのかわからない人は、ぜひ参考にしてみてください。
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- 「ゲーム・スマホばかりで将来が不安になる・・」
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ゲーム障がい(ゲーム依存症)とは
ゲーム障がいは以下のように定義されています。
【ゲーム障がい(ゲーム依存症)とは】
持続的、反復的にゲームをすることにより
- ゲームに関する行動(頻度、開始・終了時間、強度など)がコントロールできない
- ゲーム優先の生活となり、それ以外の楽しみや日常活動に使う時間が減る
- 健康、家庭、学業や職場で明らかな問題が起きているにもかかわらずゲームがやめられない
などが特徴的な症状であり、社会生活や日常生活に重大な支障をもたらすものである
ゲーム障がいは2019年5月、WHO(世界保険機関)に新たに国際疾病分類として認定されました。厚生労働省の資料によると、ゲーム障がい患者数は年々増加しています。
年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 |
ゲーム障がい患者総数(人) | 251 | 302 | 366 | 538 | 856 |
(引用:厚生労働省「ネット依存・ゲーム障害の治療の実態と課題」)
ゲーム障がいの治療施設は少ないながら着実に増えていっています。子どものゲーム障がいに関しては教育現場とも連携を取りながら治療を行うことが大切です。
ゲーム障がい(ゲーム依存症)の治療施設による困りごと
ゲーム障がいの子どもに対しては対応している医療機関での治療を必要とする場合がありますが、治療施設にも困り事が存在します。
【ゲーム障がい(ゲーム依存症)の治療施設による困りごと】
- 地域の活用できる社会資源が乏しい
- 治療・支援が診療報酬に見合わない
- 家族への対応に苦慮している
- 暴言・暴力への対応に苦慮している
- 大量の課金問題に苦慮している
- etc…
ゲーム障がいは認定されたばかりの病気のため、福祉制度や施設、自助グループなどの社会資源が乏しいのが現状です。
社会資源はセーフティーネットのような役割を担う場合が多いため、整えられることでゲーム障がいの認知度が高まり、ゲーム障がいの子どもまたは予備軍への接し方が広まるようになるでしょう。
該当してる?ゲーム障がい(ゲーム依存症)が見られる子どもの5つの特徴
子どもがゲーム障がいかもしれないと思った人は、以下の特徴が子どもに見られるかどうかをチェックしてみましょう。
【ゲーム障がい(ゲーム依存症)が見られる子どもの5つの特徴】
- 外で遊ぶ機会が減っている
- 気性が荒くなった
- 日中眠そうにしている
- 常にゲームのことを考えている
- 以前より成績が下がっている
ゲーム障がい(ゲーム依存症)が見られる子どもの特徴を紹介します。
外で遊ぶ機会が減っている
ゲーム障がいの子どもは、ゲームをしている時間が楽しいため外で遊ぶ機会が減っていく傾向があります。外で遊ぶよりもゲームの方に魅力を感じるのです。
室内に閉じこもり、身体を動かさないことで視力の悪化や腰痛の症状が現れることも珍しくありません。子どもがゲームばかりして積極的に外で遊ぶことがなくなり、身体の不調を訴えている場合はゲーム障がいの可能性を考えた方が良いでしょう。
気性が荒くなった
ゲーム障がいは脳に変化をもたらすといわれており、理性を司る前頭前野の働きが悪くなることで感情を司る大脳辺縁系が優先され、感情を押さえられず気性が荒くなる傾向が見られます。
ゲームにハマりだしてから子どもが些細なことでイライラしたり、言われたことを素直に実行せず親子間の喧嘩が増えてしまったりしている場合、脳に異常をきたしているかもしれません。
脳と聞くと恐怖を感じる人もいると思いますが、適切な治療を行いゲームの利用時間を徐々に減らしていくことで、症状の改善が期待できます。
日中眠そうにしている
ゲーム障がいを発症すると、日中は常に眠そうにしていることが多くなります。
子どもがオンラインゲームをしている場合、夜に参加者が増える傾向があるため、寝る時間が遅くなる上に明るいモニターを長時間見ることでメラトニンの分泌が低下、睡眠リズムが後退し、最悪の場合昼夜逆転の生活になるでしょう。
またゲームにハマってプレー時間が長時間に及ぶ場合、十分な睡眠時間を摂れなくなると、情緒の不安定や成長の遅れが懸念されます。
常にゲームのことを考えている
子どもがゲーム障がいになると、ゲームをしているときはもちろん、ゲームをしていないときにも常にゲームのことを考えるようになります。
日常生活の中でもゲームのことばかり考えるようになってしまうと集中力や物事に取り組むやる気が低下し、日常生活に支障が出るようになるでしょう。
また他の人に何かを話しかけられてもゲームに絡めて考えるなど話が通じない面も見られるようになり、周りの人との人間関係が悪くなってしまうことも考えられます。
以前より成績が下がっている
ゲーム障がいにより、以前よりも子どもの成績が下がるという特徴も見られています。
明星大学の教育学部須藤康介氏の、東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所が実施した「子どもの生活と学びに関する親子調査 2015-2019」のデータを用いて平日のゲーム時間が成績に与える影響をまとめた資料によると、以下の結果が確認されたようです。
【平日のゲーム時間が成績に与える影響】
- 小学生:負の影響
- 中学生:平均3時間近くの層で負の影響
- 高校生:明確な影響を及ぼさない
(参照:明星大学研究紀要−教育学部 第11号 2021年3月「ゲーム時間が成績と睡眠時間に与える影響── 全国小中高生のパネルデータ分析から ──」)
ゲームに熱中するあまりゲーム障がいになってしまった子どもは、中学生の場合プレー時間の長短による影響はあるものの、成績が下がる傾向があるようです。
ゲーム障がい(ゲーム依存症)が見られる子どもへ親ができる3つのこと
子どもにゲーム障がいの特徴が見られた場合、親の対処法について紹介します。
【ゲーム障がい(ゲーム依存症)が見られる子どもへ親ができる3つのこと】
- ゲームする時間・頻度をルール化する
- 親子同士で密なコミュニケーションを取る
- ゲーム以外の興味が湧くことを見つける
順に見ていきましょう。
ゲームする時間・頻度をルール化する
子どもにゲーム障がいが見られたら、ゲームする時間や頻度を家庭内でルール化してみましょう。ここで大切なのは、親がルールを決めて子どもに守らせるのではなく、親子で一緒にルールを決めることです。具体的なルールの例は以下の通りです。
【ゲームに関する家庭内のルール例】
- 平日は1時間、休日は3時間まで
- 食事の時はゲームをしない
- 約束を破ったときは1日禁止
親が思うようにルールを決めてしまうとそれは子どもにとって押し付けに感じる上に、ハードルが高くなりやすく、結果的にルールが守られない可能性があります。「これなら守れる」と子どもが思うルールを一緒に決めることで、親子の関係性も深まる効果が期待できるでしょう。
親子同士で密なコミュニケーションを取る
ゲーム障がいを抱える子どもは、ただゲームが面白いからという理由だけでなく、他の要因でゲームに逃避してしまっている可能性があるため、子どもが気持ちを吐き出せるよう、親子同士で密なコミュニケーションを取ってみることをおすすめします。
【子どもがゲーム障がいになる要因】
- 学校でいじめを受けている
- 学校や家庭で居場所がない
- 自分の存在意義が分からない
親子間のコミュニケーションは、信頼関係を深めるのに大変効果的です。ゲームをやめるよう注意するにしても、ゲームに対して親がどう思っているのかを子どもに伝えることで、親の想いが子どもに伝わり、ゲームをやめようと思う可能性も出てきます。
頭ごなしにゲームをやめるよう叱るのではなく、親も一緒にゲームをしてみて楽しさを理解した上で、日常生活のバランスが崩れないよう取り入れていくことで、ルール作りがスムーズに行くこともあるでしょう。
ゲーム以外の興味が湧くことを見つける
ゲーム以外に子どもの興味が湧くことを一緒に見つけることもおすすめの方法です。ゲームの他に楽しいことが無いからゲームをやり続けるという子どもにとっては、ゲームから離れる良いきっかけになります。
【ゲーム以外で興味が湧きそうなことリスト】
- サッカー、野球などのスポーツ
- 読書
- 友達と遊ぶ
- プログラミング
何を楽しめるかは子どもの性格や個性によって変わりますので、色々試してみるのも良いでしょう。特にスポーツは身体を動かすため、ストレス発散や適度な疲労感により良質な睡眠を得ることに効果的です。
プログラミングとはゲームやアプリを作成するもので、2020年度から全国の小学校で教育必修化が始まりました。子どもが遊んでいるゲーム自体が高度なプログラミング的思考によって作られているためプログラミングスキルを発揮する子どもも多く、近年人気のある習い事のひとつです。
子どもがゲーム障がい(ゲーム依存症)と気づいたら?具体的な3つの治し方
ゲーム障がいの子どもの特徴を見て、自分の子どもがゲーム障がいであると気づいたときの具体的な治し方を紹介します。
【ゲーム障がい(ゲーム依存症)の具体的な治し方】
- いきなりゲームを辞めさせない
- 1日にゲームに依存している時間を計測する
- 専門機関・相談窓口を見つける
順番に見ていきましょう。
いきなりゲームを辞めさせない
子どもがゲーム障がいであると思っても、いきなりゲームを辞めさせることは解決策としておすすめできません。
ゲーム障がいになるほどゲームに夢中になってしまった原因として、ゲームが楽しいからではなく、子どもが現実の都合の悪い出来事から逃げている可能性があります。
そのような背景がある中でいきなりゲームを辞めさせてしまうと、子どもは逃げ場をなくしてしまい、激しく抵抗をして暴力的になったり精神的に追い詰められて引きこもりや不登校になることも考えられるのです。
子どものゲーム障がいを治したいと思っても、強制的な方法は辞めて、徐々にゲーム時間を減らしていく方針で治療していくと良いでしょう。
1日にゲームに依存している時間を計測する
子どもが1日のうち何時間ゲームに費やしているのか、時間を計測する方法もゲーム障がいの治療に効果的です。例えば学校から帰って寝るまでの約6時間ゲームをしている場合、単純計算で1週間で42時間、1ヶ月で180時間になります。
実際のゲーム時間を記録して具体的に計算させると、子どもはより実感してくれるでしょう。先にも紹介した、ゲームに関するルールを親子で一緒に作成する場合にも、この計測は非常に役に立ちます。
専門機関・相談窓口を見つける
子どものゲーム障がいについて悩みを抱えている場合、一人で抱え込むことはせず、専門機関や相談窓口を見つけ、有効な治療法のアドバイスを受けてみてください。
一人で不安を抱えていると状況は変わらないどころか悪化してしまう可能性もあるため、どの段階であれば相談しなければならないということは考えず、ゲーム障がいに関して不安を抱えたらすぐさま相談すると良いでしょう。
【主な支援先】
- 医療機関
- 精神福祉保健センター
- 地域の相談機関
- 民間のカウンセリング機関
- 自助グループ
- 家族会
ゲーム障がいの深刻化から、2020年には消費者庁が全国の消費生活センターの窓口機能を強化し、当事者や家族からの相談を医療機関や民間支援団体に確実につなぐ仕組みの整備を行い始めました。
子どものためにも子どもを支える家族のためにも、まずは近くの支援先に相談をしてみて、適切な案内を受けると良いでしょう。
まとめ
家の中でゲームばかりしており外で遊ぶ機会が減る、気性が荒くなるなどの特徴を子どもが示した場合、ゲーム障がいである可能性が高いです。
ゲーム障がいは脳や日常生活へ影響を与えるため、今後のことについて不安を感じる親も多いことでしょう。
ゲーム障がいは放っておくと悪化してしまう可能性がありますが、親ができることもたくさんあります。治療に関しての悩みや不安は専門機関や相談窓口に都度連絡を行い、適切なアドバイスを受けるようにしてください。
親の支えで子どもの状況が良くなることもある病気です。諦めずにゲーム障がいへの治療に取り組んでいきましょう。
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