発達障がいの子どもへの勉強の教え方は?種類ごとのコツを伝授
発達障がいには、自閉スペクトラム症・ADHD・学習障がいなどの種類があります。対応もそれぞれ違うため、子どもに合った指導をするのが大切です。個性的な子どもが多いため、どのように指導したらよいか悩む人も多いのではないでしょうか。この記事では、発達障がいの子に対する支援や指導法のポイントを詳しく解説します。具体的な指導や支援を知りたい人は最後までご覧ください。
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発達障がいの子どもへの勉強の指導・支援に悩んだらまずは障がいの「特性」を理解しておこう
発達障がいの子どもに接するときは、特性を理解するのが大切です。発達障がいは持って生まれた脳の働きによるものです。特性が強く、学習や社会生活に差し支えが出たときに診断されます。 厚生労働省が発達障がいの代表例として挙げているのは以下5つです。 ・自閉スペクトラム症 ・ADHD(注意欠如・多動性障がい) ・学習障がい ・チック症 ・吃音 今回は、学習での困難さが目立つ自閉スペクトラム症・ADHD・学習障がいに着目します。それぞれの障がいと特性について詳しく解説します。特定の能力に困難を示す:学習障がい(LD)
学習障がいは読み書きや計算など、特定の分野だけが苦手な特性があります。本格的な学習が始まる学童期に発覚するパターンが多いです。学習障がいでも、文字の読み書きが苦手なタイプを「ディスレクシア」、文章の読み書きが苦手なタイプを「ディスグラフィア」と呼びます。計算が苦手なタイプは「ディスカリキュリア」と呼ばれます。苦手なこと以外はそつなくこなせるため、本人のなまけによるものと勘違いされやすいです。できないことを隠そうとして消極的になる場合もあります。2つ以上の特性を持つことが多い:ADHD(注意欠如・多動性障がい)
ADHD(注意欠如・多動性障がい)の特性がある子どもは、2つ以上の特性があるケースが多いです。ADHDの特徴である不注意・多動性・衝動性に分けて解説します。 不注意タイプは集中力がなく、気が散りやすい特性が目立ちます。自分の世界に入り込み、ぼーっとしているように見える子どもも不注意が強めです。 多動性タイプは落ち着きがなく、同じ姿勢を保てません。座っていても足が動くなどじっとできないのが特徴です。衝動性が強いと、周囲からの指示が聞けず、本人が思った通りに動き回ります。一度思いついたことをよく考えることができず、すぐさま行動に移してしまうのが特徴です。知能の遅れが伴うことが多い:自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症には知能の遅れが併発するケースもあります。自閉スペクトラム症の持つ特性と知的障がいを併せ持つタイプです。自閉スペクトラム症は、強いこだわりや社会性の欠如、感覚過敏などの特性を持ちます。人と目が合いにくく、会話によるコミュニケーションが難しいです。特定の物に強いこだわりを示したり、音や肌ざわりが苦手といった感覚過敏を持ったりする子どももいます。これらの特性に加え、知能検査でIQ70未満だと知的障がいを持つ自閉スペクトラム症と分類されます。知能の遅れが伴わない自閉スペクトラム症(ASD):アスペルガー症候群
自閉スペクトラム症には、知能の遅れが伴わないケースもあります。これまでアスペルガー症候群と呼ばれていた特性です。知的な遅れはないですが、こだわりの強さや社会性に問題があるなど自閉スペクトラム症の特性があります。例えば、知識として外国語を何カ国語も習得していても、コミュニケーションには使えないといった特性です。自閉スペクトラム症の子は、見ただけでは分からない場合でも、軽く話すと少々個性的な子だと分かります。知能と社会性のアンバランスさが誤解されやすいところです。学習障がいの子どもへの指導・支援方法
学習障がいがある子どもはそれぞれ苦手なことが違うため、子どもに合わせた指導が必要です。ここでは、学習障がいがある子への指導について、苦手面に応じた支援方法を解説します。文字の読み書きが苦手:ディスレクシアの子どもの勉強方法
文字を読むのが困難な学習障がいを、ディスレクシア(読字障がい)と呼びます。このタイプは文字と発音を結びつける学習から始めましょう。普通は文字を読むとき、見た文字を脳の中で音声に変えて発音しています。自然と行っている脳の働きですが、ディスレクシアの子は特性によりうまく変換できません。文字をスムーズに音声化できるようになれば、読み書きも上達します。文字カードでひらががを一文字ずつ読む練習から始めましょう。50音が読めるようになれば、短い単語や文章にチャレンジします。教科書の文章が読みにくければ文字を大きくしたり、行間を広くとったりすると読みやすくなります。文章の読み書きが苦手:ディスグラフィア の子どもの勉強方法
文字を書くのが苦手な学習障がいを、ディスグラフィア(書字表出障がい)と呼びます。見た情報をうまく認識できない脳の特性が原因です。文字の形をとらえるのが苦手で、間違えて書いたりマスに合わせて書けなかったりします。ディスグラフィアの子どもに指導するときは線なぞりから始めましょう。直線や曲線・ギザギザをなぞることで、形をとらえる練習をします。そのあと、画数の少ない文字のなぞりを行い、視写ができるようになるまで少しずつ練習します。単調な練習に飽きるタイプの子どもには、筆記用具を変えるのがおすすめです。ホワイトボードに書いたり筆で書いたりと、楽しく練習できるよう工夫しましょう。算数の計算が苦手:ディスカリキュリアの子どもの勉強方法
計算が苦手な学習障がいをディスカリキュリア(算数障がい)と呼びます。脳機能の特性により、簡単な足し算ができない子どももいます。ディスカリキュリアの特徴は、数のイメージが持ちにくいことです。数字を書いたり読んだりできても、数の大小が分からなかったり、四則計算のどれを使ったらよいか考えられなかったりします。ディスカリキュリアの子どもには、体験を通して数量を感じさせましょう。育てている朝顔の花の数を友達と比べてみたり、重さを計る前に手で持って比べてみたりします。身近な数を意識させると、算数のイメージがつかみやすくなるでしょう。ADHD(注意欠如・多動性障がい)の子どもへの指導・支援方法
不注意や多動が目立つADHDの子どもには、学習しやすい環境作りが大切です。ADHDの子どもに対する指導・支援方法について、具体例を挙げて解説します。文章よりも絵や記号を多く使った勉強にする
ADHDの子どもには、絵や記号を多く使った学習を取り入れましょう。見たものを理解する力が強い視覚優位の子どもが多いためです。ADHDの子どもに指導する際、絵や記号などを多く使った課題を用意するのがおすすめです。分数の問題ならケーキやピザの絵を用意しましょう。漢字の学習なら意味と関連したイラストを入れると理解しやすくなります。細かく区切りつけて短く集中する
ADHDの子どもに指導するときは、取り組みやすい量の課題を数種類用意するのがポイントです。子どもによって集中できる時間が違うので、飽きずにできる量を把握し課題を用意します。5分しか集中が続かないタイプなら、1回の課題を少なくします。細かく区切って内容を変えると集中力が続きやすいでしょう。視覚的・聴覚的な外部刺激の少ない環境にする
気が散りやすいADHDの子どもは、黒板や教師が良く見える刺激の少ない席がいいでしょう。窓際や後ろの席だと余計な刺激が多いため授業に集中できません。教卓の前など、先生が良く見える位置がよいでしょう。どうしても集中できない場合はパーテーションで視界を制限するのも1つの手です。自閉スペクトラム症(ASD)の子どもへの指導・支援方法
自閉スペクトラム症の子ども には、特性を利用した指導を行いましょう。ここでは、自閉スペクトラム症の子を指導する際のポイントを2つ紹介します。指示や予定を伝えるときに曖昧な言い方にしない
自閉スペクトラム症の子どもには、曖昧な言い方を避けましょう。予定がはっきりしないと不安を覚え、パニックになる恐れがあるためです。具体的には数字で表すと分かりやすいです。例えば、「10問やったら終わりだよ」「あと5分待ってね」など数字を入れて話すとよいでしょう。ただし、伝えた予定通りにいかないとパニックになる場合もあります。時間など予定は変わるものだと伝え「だいたい10分くらい」など、少しぼかした表現も効果的です。本人のこだわりを尊重し、話し方も工夫する
自閉スペクトラム症の子どもを支援するときは、本人のこだわりを尊重しましょう。話し方も工夫すると伝わりやすくなります。例えば、時間にこだわりを持つ子どもは授業の終了時間がチャイムと同時に行われないとパニックを起こします。教師側も終了時間を守るなど、子どもに寄り添うとよいでしょう。また、聴覚過敏などで大声が苦手な子どももいます。淡々と話すように心がけ、話し声が辛いときは違う場所で休憩してもよいなど、子どもが過ごしやすいよう環境を整えましょう。発達障がいの子どもへの指導・支援方法【3つのコツ】
どの発達障がいの子にも共通する、指導のちょっとしたコツがあります。ここでは、発達障がいの子へ指導するときのコツを3つ紹介します。コツ① 「できた!」をたくさん褒めて苦手に取り組む前に自信をつけさせる
発達障がいの子どもができるようになったことをたくさん褒めてあげましょう。苦手分野に取り組むときの自信にもつながります。好きなことには集中して取り組むのが発達障がいの特性でもあります。新しい学習など、興味のあることを利用してスモールステップで取り組みましょう。出来ることが増えると自分に自信がつき、苦手なことにチャレンジする気持ちを育めます。コツ②出来ないことを厳しく叱りすぎない
発達障がいの子どもができなくても、厳しく叱らないように心がけましょう。出来ない部分があっても大目に見て、得意なことを伸ばしてあげるのがコツです。発達障がいの子どもは特性のため、何度練習してもできないことがたくさんあります。叱るだけでは子どもも理解できません。どこを直したらよいか具体的に伝え、だいたい出来たら合格にしましょう。コツ③PCやタブレット端末を利用してアプローチする
発達障がいの子どもには、デジタル機器を使った学習でアプローチしましょう。視覚に訴える教材のほうが、理解しやすいためです。自閉スペクトラム症やADHDなど、聴覚より視覚に優れた特性を持つ子どもが多めです。動画やアニメなどデジタル教材を使った学習は理解しやすく、飽きずに取り組めるでしょう。また、デジタル教材は学習障がいの子どもにも有効です。文字の拡大や音声読み上げ機能を使えば学習しやすくなるでしょう。発達障がいの特性を理解して無理のない学習を提案しよう
発達障がいは生まれつきの特性であり病気とは違います。苦手を直そうとするのではなく、特性を受け入れるのがポイントです。子どもが楽しく学習に取り組めるよう、個人に合わせた教育を心掛けましょう。まとめ
発達障がいは、同じ診断名でも一人ひとり違う特性を持ちます。この記事を参考に、診断名の大まかな特性を押さえながら、指導する子どもをよく観察しましょう。子どもに合った指導法を考えるヒントが見つかるはずです。まずはお子様がやってみようと思えるかどうか、
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学習を継続!!
「すらら」は「見る、聞く、書く、読む、話す」などの
いろいろな感覚を使った飽きない学習システムなので、
ゲーム感覚で楽しく集中して勉強ができます。
※2016年1月~2017年6月の期間ですららを3ヶ月以上継続している生徒の継続率