【不登校の子どもが高校受験しない】親ができる対応や主な理由を徹底解説

「すらら」の問合せ窓口には保護者の方から不登校のお子さまの学習に関する相談を多く頂戴します。不登校の子が「高校受験したくない」と言ったら、どのような対応をすれば良いでしょうか。親御さんの多くは、将来を左右する高校進学はできるだけさせたいと考えていることと思います。

しかし、高校受験をしないと言う子どもには、何らかの原因や理由があるはずです。「高校には行きなさい」とつい反射的に言いたくなってしまいますが、なぜ高校受験をしたくないのか、もし聞いていなければ、まずは話を聞いてあげてみてください。

当記事では、不登校の子どもが高校受験しない理由や、そんな我が子に対して親ができることをまとめてみました。現在子どもの高校進学について悩んでいる方は、ご参考になりましたら幸いです。



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高校受験をしないのも選択肢の一つ!

結論から先に申し上げると、高校受験をしないのも選択肢の1つであると念頭においておくことが大切です。日本の義務教育は中学校までなので、法律上子どもは無理に高校に行く必要はありません。

また、昨今では学歴のみが全ての社会ではなくなりつつあり、中卒でもハングリー精神があれば成功を収められる可能性が高いです。このため、子ども自身に学歴社会に左右されない強い意志や目標があるなら、中卒でも問題ないと言えるでしょう。

しかし、親として中卒のリスクをしっかり教える必要はあります。高校は義務教育ではないと言いましたが、豊かな現代社会では最終学歴が中学校である人はあまり見かけません。

それに伴い、求人募集も「高卒以上」を要件として記載しているケースが多く、中卒での就職は困難を極めますまた、中卒の生涯賃金は高卒や大卒と比較すると低く、将来的に困窮する可能性も伝えましょう。

不登校の中学生が高校受験をしない理由7選

不登校の中学生が高校受験をしない理由として、下記の7つが考えられます。

【高校受験をしない理由】

  • 学校に対して良いイメージがない
  • 高校に魅力を感じていない
  • 拘束されずに自分のペースで勉強したい
  • 勉強をするよりも働きたい
  • 勉強・学歴の大切さをわかっていない
  • 心身ともに疲弊しており高校に行く気力がない
  • 不登校からでは高校に進学できないと思っている

受験しない理由を知れば、その原因を改善し高校進学を後押しできるかもしれません。それぞれの理由の改善方法も詳しく解説していきます。お子さまに行きたくない理由を聞く際の参考になれば幸いです。

①学校に対して良いイメージがない

1点目は、学校に対して良いイメージがないことです。不登校生の多くは、対人関係や人間関係に疲れています。そのため、高校に進学しても楽しい日々が待っている想像ができていない可能性があります

このような場合は、子どものペースに合った高校を探してあげてください。具体例を挙げると、毎日朝からの登校がつらい子どもには「定時制高校」があります。また、対人関係が苦痛な子どもには「通信制高校」という選択肢もあります。特に最近の通信制高校はオシャレなカフェ風の校舎に建て替えるなどして、一工夫も二工夫もされているように感じます。ぜひ一度、見学会に足を運んでみてください。もしかしたら考えが変わるかもしれません。

実際にすららの利用者で、クラーク記念国際高等学校: 通信制高校へ見学に行かれたご家族がいらっしゃいましたが、その見学会を見て高校進学、且つ全日制を選んだお話を聞いたことがあります。見学会では学校に通う生徒達が楽しそうに見学会を誘導する等しており、学校生活を謳歌している様子が見て取れたそうです。

「ここなら青春を取り戻せるのではないか」

そう思われたようです。

②高校に魅力を感じていない

高校に行くことに魅力や意味を感じていない子どもも多くいます。このような場合、明確な考えや目標を持っているなら無理に高校受験をさせる必要はないかもしれません。

しかし、そうでない場合には、高卒の肩書きが社会に出る際にどれほど役立つかを説明して、高卒資格の取得をすすめてみてはいかがでしょうか。

中学生が知っている世界は大人より狭く、「高卒」という学歴の大切さを知りません。中卒で生きていくことの大変さについて話し合ってみてください。それでも行かない選択を取るなら仕方がありません。高校卒業は社会人になっても取れる資格なので、後になってやっぱり取っておけばよかったと思っても取り返しがききます。話し合ったうえでの決定なら、応援することも1つのように思います。

③拘束されずに自分のペースで勉強したい

勉強の必要性は理解していても、高校という拘束された場所では学習したくないケースもあります。「自宅学習を行い、高卒認定を取得すれば高校に行かなくても問題はない」と考えているかもしれません。

しかし、このようなタイプの子どもは、将来的に高校に行かなかった後悔やコンプレックスに悩まされる可能性があるかもしれません。後から後悔することのないよう、子どもには「一学期だけ高校に行ってみよう」と呼びかけてください。

高卒認定の資格試験は最短でも1年生の8月なので、そこまで通ってみて高校は無駄なのか、楽しい場所なのかを判断しても遅くはありません

④勉強をするよりも働きたい

家庭の事情や勉強に対する苦手意識から、「勉強よりも働きたい」もしくは「早く自立したい」と思っているケースもあります。このような場合には、中卒雇用の現実をしっかりと教えてあげてください。

どうしても働きたいのであれば、働きながらでも通える「定時制高校」や「通信制高校」への進学を提案してみましょう。子どもの気持ちを尊重することも大切ですが、無計画なプランを立てる場合にはある程度の条件交渉も必要です。

⑤勉強・学歴の大切さをわかっていない

昨今では、ゲーム配信で大金を稼ぐYouTuberや暴走族から年収○億円といった成功者をメディアで取り上げる機会が多くなりました。このため、勉強や学歴の重要性について安易に考えてしまっている子どもが増えたように感じます。

しかし、勉強や学歴なくして成功しているのはごく一部の人間です。もちろん、そのごく一部の人間も並々ならぬ努力で成功しています。

これらのことを説明して、「血の滲む努力をできる覚悟があるのか」「失敗したときどうするのか」を話し合ってください。

⑥心身ともに疲弊しており高校に行く気力がない

高校に行きたくても、現在は心身ともに疲弊していて全てにおいて気力が湧かないケースもあります。

不登校の子どもの多くは、対人関係や集団生活に強いストレスを抱えて疲れています。疲れた状態だと将来のことを話しても、気持ちがいっぱいで何も考えられない可能性が高いです。

将来を考えるのも大切ですが、まずは疲れた心を休ませてあげてください心身ともに十分な休息を取れば、高校に行く気力が湧いてくるかもしれません。

⑦不登校からでは高校に進学できないと思っている

不登校の子どもには罪悪感を抱えて暮らしている子もいます。「自分なんか高校に行けない」「こんなに欠席してしまったら、行ける高校がない」と思い、高校受験を諦めている可能性は高いです。

しかし、実際には不登校からでも進学できる高校はあります。内申点が大きく影響する公立高校は難しいかもしれませんが、独自の評価基準を持つ私立高校であれば十分に進学可能です。

そのため、不登校からでも高校に進学できることを伝えてあげましょう。

高校受験をしない不登校の子どもに親ができること

では、高校受験をしない不登校の子どもに対して親はどのようなことができるでしょうか。下記におすすめの対処法をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

【高校受験をしない不登校の子どもに親ができること】

  • 頭ごなしに否定しない
  • 通信制高校や定時制高校の選択肢を与える
  • 中卒で働き始めるデメリットを教える
  • 高校受験を強制しない
  • 専門家に相談する

それぞれ詳しく解説していきます。

頭ごなしに否定しない

子どもの気持ちを頭ごなしに否定しないように気を付けましょう。子どもは親が思った以上に様々なことを考えています。自分なりに将来を考えて高校受験は必要がないと感じたのならば、それは立派な意志です。

子どもの意思を尊重しないことは、自己肯定感を損ないかねない上に親子関係の悪化にもつながります。将来を心配する気持ちはわかりますが、まずは一度気持ちや意思を受け止めてあげてください

通信制高校や定時制高校の選択肢を与える

一口に高校と言っても選択肢は様々で、全日制高校に通うことが全てではありません。そのことを子どもに伝えて、通信制高校や定時制高校などの選択肢を教えてあげましょう。特に最近の通信制高校は昔と比べて垢ぬけた高校が多くみられます。一度、見学会に足を運ぶなどするとイメージが変わるかもしれません。

下記に高校の種類ごとの特徴をまとめたのでぜひ参考にしてください。

高校の種類 特徴
全日制高校 平日の朝から夕方に通学する高校。出席日数が少ないと単位が取れず留年する可能性がある。
定時制高校 平日の昼から夜にかけて通学する高校。社会人も多く、様々な世代の学生が通っている。
通信制高校 動画やテキスト等で自宅学習をメインにおこなう高校。一定の課題をこなすと単位を修得できる。
チャレンジスクール 不登校などで学校に通えなかった生徒を対象とした東京都が設置する高校。午前部・昼間部・夜間部の3部制を設けている。

対人関係や集団生活が苦手で高校に進学できないお子さまには、通信制高校やチャレンジスクール等の選択も提示してみてください。

中卒で働き始めるデメリットを教える

中卒で働くデメリットをしっかりと理解させるのも1つの手です。下記に中卒で働くデメリットをまとめたので、参考にしてください。

【中卒で働くデメリット】

  • 希望の進路に進めない
  • アルバイトでも不採用になるケースがある
  • 国家資格など受験できない資格がある
  • 昇進に影響するケースもある

上記からもわかるように、中卒であることによって将来の選択肢はとても狭められます数年先の話ではなく、数十年先のデメリットまで踏まえてしっかりと説明してあげてください

高校受験を強制しない

高校受験が全てではないと親が理解するのも大切です。高校に通わずとも、高卒認定試験に合格すれば大学受験資格が得られます。

このため、自発的に子どもが学習し始めるまで待つのも1つの手です。無理に進学や勉強を強制すると、かえってやる気をなくしてしまうケースもあるのでよく話し合って決めていきましょう。

専門家に相談する

不登校の専門家に相談することも大切です。子どもが高校に進学しないという問題は親にとっては重大な悩み。その悩みの大きさから、時には親子間の大きなトラブルになってしまうケースもあります。

このような場合には、無理に家庭内で解決しようとせずに専門家に相談してください。不登校の生徒の進学先に詳しい専門家であれば、様々な進路や説得法の提案ができます。

高校受験をしない不登校に関するよくある質問

最後に、高校受験をしない不登校に関するよくある質問に回答します。

【高校受験をしない不登校に関するよくある質問】

  • 高校に行かない人の割合は?
  • 不登校でも行ける全日制高校はある?

不安な気持ちを少しでもやわらげるためにも、よくある質問に目を通しておきましょう。

高校に行かない人の割合は?

文部科学省の「高等学校教育の現状について」によると、令和2年度の高等学校等への進学率は98.8%となっており、約9.9割の中学生が高校へ進学していることがわかります。

高校に進学していない子どもは極めて少ないのです。

不登校でも行ける全日制高校はある?

不登校でも行ける全日制高校はあります。しかし、公立の全日制高校では出席日数が影響する内申点が加味されるので、不登校の子どもの合格は難しいケースが多いです。

その一方で、私立の全日制高校の場合には独自の評価を設けている場合が多く、欠席日数が合否に影響しないことがあります。入学試験の結果のみで合否を判定している高校であるかどうか、事前に学校説明会や学校のホームページで調べてみましょう。

まとめ:中卒のデメリットをよく説明し、子どもに合った高校への進学や高卒認定の取得をすすめよう

当記事では、高校受験をしない不登校の中学生について解説してきました。高校は義務教育ではないため、子どもの強い意志や目標があるなら無理に行かせる必要はないでしょう。

しかし、深い理由がなく「なんとなく高校が嫌」という気持ちから受験を拒否する子どももいるので、中卒のデメリットを深く理解させておく必要があります。定時制高校や通信制高校など、子どもにとって抵抗のない進学先を提案してみるのも1つの手です。

高卒と中卒とでは多くの場合、雲泥の差があります。できれば高校進学や高卒認定取得を目指せるような流れに持っていってほしいと思います。



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